ウスバサイシンとは
ウスバサイシンは風邪をひいたときなどに生薬として用いられ、「勇気」という花言葉を与えられています。そんな頼もしいイメージとは異なり、ウスバサイシンの花はとても地味で目立たない姿をしています。今回はウスバサイシンの特徴とその仲間、そしてその違いや見分け方を見ていくことにしましょう。
名前
ウスバサイシンは漢字だと「薄葉細辛」、ウマノスズクサ科カンアオイ属に分類される多年草です。カンアオイの仲間と比較すると葉が薄いため「薄葉」、細い根っこを噛むとピリッとした刺激を感じるため辛みがあることから「細辛」と名付けられました。
学名
学名は“Asiasarum sieboldii(アズィアサルム スィーボルディー)”でシーボルトが発見したアジアのカンアオイ属という意味を持ちます。カンアオイは漢字で「寒葵」、冬の寒い時期でも枯れにくく、葉も緑のまま残ることが特徴です。
サイシンとカンアオイの違い
前述の通り、カンアオイは常緑の植物で、冬場にも枯れることはありませんが、ウスバサイシンは冬になると地上部がすっかり枯れてなくなってしまいます。これがカンアオイとウスバサイシンの違いであり、見分け方のポイントです。
植物としての特徴
日本では関東から中国地方にかけての山地の木陰を好んで自生する多年草で、根元からのびる10cmほどの葉柄の先端にハート型の葉をつけます。3~5月頃になると地面すれすれの位置に暗紫色の地味な花がつきます。
花の特徴
扁球形の筒状の額筒をもち、包口は広いのが特徴です。萼裂片(がくれつへん)は広い角度で分岐し、幅広い丸みのある三角形で先端はつまんでとがらせたような、ハート型に近い形です。
ボタニ子
萼筒(がくとう)とは:萼を構成する萼片(がくへん)がくっつきあって筒状になった部分のことを指します。
ボタニ子
萼裂片(がくれつへん)とは:萼筒の裂片(れつへん)で切り込みがある部分のことです。
種の特徴
花が終わると種は真下の地面に落下します。この種には蟻が好む物質がついていて、蟻に運ばれて拡散します。この種が落ちても内側の胚が未発達で湿った土中で胚が成長し発芽します。発芽適温は15℃で50日程度、10℃あるいは25℃では100日でも成熟しないといわれます。
次のページでは、ウスバサイシンの仲間についてくわしく解説します。
出典:写真AC