オオウバユリとは
夏の湿った林の中で他の植物とは違い、ひときわ大きく茎を伸ばしている植物がオオウバユリです。オオウバユリはテッポウユリに似た花を、1株にたくさん咲かせます。花の姿を見ればユリの仲間のように感じますが、オオウバユリは種で増える多年草になります。球根で増えるユリ属とは、大きな違いですね。
オオウバユリの名前
オオウバユリは花が咲く頃に葉が枯れて、なくなってしまっていることが多いといわれていました。ここから、老婆の姿を想像したようです。「歯(葉)のない老婆」これが「大婆百合」とついた由来です。実際には花が咲いている時にも、葉はしっかりとあります。
オオウバユリの基本情報
科名 | ユリ科 |
属名 | ウバユリ属 |
学名 | Cardiocrinum cordatum var. glehnii |
草丈 | 150cm~200cm |
花期 | 7月下旬〜8月上旬 |
花の色 | 白・黄色 |
オオウバユリの生息地
オオウバユリの生息地は広く、北海道から中部地方にまで分布しています。日の当たる場所というよりも、やや湿った林の中や草地を好みます。オオウバユリに近い植物で、ウバユリというものがあります。このウバユリも生息地は広いものの、生息地が関東から九州方面で、オオウバユリとは生息地が全く違っています。
オオウバユリの花言葉
オオウバユリの花言葉を紹介します。オオウバユリには、威厳・純潔・無垢という花言葉があります。人が足を踏み入れないような山の中で真っすぐに茎を伸ばし、みごとな花を咲かせている姿を見ると、威厳などという花言葉がついたことも納得できますね。
オオウバユリの蒴果
夏に花を咲かせたオオウバユリは、種も落として冬には枯れてしまいます。殻だけとなったオオウバユリの蒴果(さくか)は意外なところで利用されています。それは、生け花です。割れた実の形が変わっていてよいとされ、生け花を楽しんでいる方には人気があるようです。
ボタニ子
ボタ爺
蒴果とは、熟した実が割れ、中から種が出てくるもののことじゃよ。
アサガオも蒴果になります。
オオウバユリの特徴
花の特徴
花期になると、1本のオオウバユリには10輪ほどの花が咲きます。中には20輪もの花を咲かせる、みごとなオオウバユリもあります。花の時期である7月~8月、オオウバユリの群生地は素晴らしい景色になります。1つが10cm〜20cmほどの長さの花は、茎に対してほぼ直角に咲いています。これは、総状花序(そうじょうかじょ)と呼ばれる咲き方です。
ボタ爺
総状花序とは、花柄(かへい)のある花が茎の下から上へと均等に咲いていくことを言うんじゃ。
ボタニ子
花柄って何なの?ボタ爺。
ボタ爺
花柄とはの、主となる茎から枝分かれして、花を支えている茎のことを言うんじゃよ。
種の特徴
オオウバユリは花を咲かせた後は実を付け、その実の中にたくさんの種を作ります。種が熟すと写真のように実が裂け、中から種が落ちていきます。多年草であるオオウバユリは、種を落とすと枯れてしまいます。
オオウバユリの一生
オオウバユリは、約8年もの時間をかけて生育し花を咲かせます。長い年月をかけて咲いた花は、5日ほどで終わってしまいます。オオウバユリのように一生に1度だけ花を咲かせ、実の中に数多くの種を作る、そして種を落とした後は枯れてしまうような植物のことを、一回繁殖型といいます。
アイヌ民族との関わり
アイヌ民族は、旧暦の4月(現在の4月下旬~6月上旬)を「少しウバユリを掘る月」として、山でオオウバユリを探し始めました。そして、旧暦5月(現在の5月下旬~7月上旬)は、「本格的に掘る月」として、オオウバユリを盛んに採取していました。
アイヌ民族の使い方
オオウバユリの鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根部分を加工することにより、デンプンを取り出すことができます。オオウバユリのデンプンは良質なため、アイヌ民族は団子として食べたり、下痢止めの薬として使ったりしていました。
ボタニ子
ボタ爺、鱗茎って何?
ボタ爺
鱗茎とはの、養分を蓄えて厚くなった葉が、茎の周りに重なり合って球状になったもののことじゃよ。
玉ねぎや百合根も鱗茎なんですよ。
ボタ爺、蒴果って何?