ヤブニッケイ(藪肉桂)とは?樹木の特徴や用途、ニッケイとの違いを紹介

ヤブニッケイ(藪肉桂)とは?樹木の特徴や用途、ニッケイとの違いを紹介

ヤブニッケイは、クスノキ科クスノキ属に分類される常緑高木です。樹皮が黒みがかった色をしているため「クロダモ」とも呼ばれており、木材としても利用されています。そんなヤブニッケイの葉や花の特徴や名前の由来、ニッケイとの違いなどを紹介します。

記事の目次

  1. 1.ヤブニッケイ(藪肉桂)とは
  2. 2.ヤブニッケイの特徴
  3. 3.ヤブニッケイとニッケイの違い
  4. 4.まとめ

ヤブニッケイ(藪肉桂)とは

Photo by harum.koh

ヤブニッケイは関東以南に広く分布している常緑高木で、樹高が15mほどまで成長するのが特徴です。庭木やシンボルツリーとして育てられる以外に、樹木が建築材や器具材として利用されています。ヤブニッケイには「ナンジャモドキ」や「クロダモ」などさまざまな別名がつけられており、古くから人気の高い植物です。

ヤブニッケイの基本情報

科名 クスノキ科
属名 クスノキ属、ニッケイ属
和名 藪肉桂
別名 ウスバヤブニッケイ、クロダモ、クスタブ
ナンジャモドキ、マツラニッケイ
開花時期 6月
形態 常緑高木

ヤブニッケイの名前の由来

ヤブニッケイは漢字で「藪肉桂」と表記されます。「肉桂」という同じクスノキ科クスノキ属に分類される植物に対して、香りがやや劣っていたために「藪」と頭について「ヤブニッケイ」と名付けられました。山や林に自生している性質から「ヤブ(草や木が生い茂っている場所)ニッケイ」と名付けられたという説もあります。

別名や方言名がたくさんある

ヤブニッケイには別名や方言名がたくさんついています。沖縄地方では「シバカーシララ」「スーマピンガヅギ」「ジコーミギー」「ウフバーシバキ」などさまざまな名前で呼ばれています。また、ヤブニッケイの樹皮が黒みがかっているため「クロダモ」という別名でも親しまれているのです。名前がよく似た植物に「シロダモ」があります。以下の記事も参考にしてみてくださいね。

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ヤブニッケイの用途

ヤブニッケイは比較的丈夫な植物のため庭木として育てたり、公園や庭園のシンボルツリーとして植えられたりしています。また乾燥に強い性質を利用して、防風防潮林としても利用されている植物です。加えてヤブニッケイの樹木は建築材や器具材、装飾材や家具材などさまざまな用途で使われています。

ヤブニッケイの特徴

ヤブニッケイは沖縄や九州地方など、日本では関東以南に広く分布している植物です。また海外では台湾や中国にも生息しており、防風林や公園樹として利用されています。そんなヤブニッケイの葉や花、実や幹の特徴について見ていきましょう。

ヤブニッケイの葉は卵のような楕円形で、濃い緑色です。葉の表側は「三行脈(さんこうみゃく)」という性質から、線が3本入ったような見た目なのが特徴です。葉の裏側は、細かい毛が少し生えており、淡い黄色や黄緑色をしています。常緑性のため、いつでも美しい葉が楽しめるのが魅力で、葉の長さは5cm〜15cmほどの大きさです。

ヤブニッケイは6月〜7月にかけて、花弁が6枚の淡い黄緑色の花を咲かせます。1cmほどのとても小さな花であまり目立ちませんが、1つの茎に5個〜13個の花をつけるのが特徴です。雄しべが12個ついており、花弁が完全に開花しないため、雄しべが花弁に包まれているような咲き姿をしています。

ヤブニッケイは、花後の10月〜11月にかけて楕円形の実をつけます。ヤブニッケイの実は、はじめは鮮やかな黄緑色ですが熟してくると色が濃くなり、最終的には黒紫色になるのが特徴です。熟した実の中には種子が入っています。種子からはリラックス効果があるといわれる香りがするため「香油」としても利用されています。

クロダモという別名で呼ばれているとおり、ヤブニッケイの樹皮は黒みがかっています。幹の表面に凹凸がなくなめらかな手触りが魅力で、切り口は白黄色をしているのが特徴です。材の密度が高く、ほのかに優しい香りがするため、家具材や建築材としても人気があります。

ヤブニッケイとニッケイの違い

Photo by harum.koh

ニッケイもヤブニッケイと同じ「クスノキ科クスノキ属」に分類されている植物です。しかし、生息場所や葉の形、香りに違いがあるので見分けられます。ヤブニッケイとニッケイの違いについて紹介します。

生息場所

ヤブニッケイは関東以南に生息していますが、ニッケイの生息場所は限られており、沖縄本島と徳之島、久米島にしか自生していません。ニッケイは寒さに弱いため、基本的には暖地にしか自生していない植物です。しかし、ニッケイは江戸時代から栽培されている植物なので、管理方法によっては寒冷地に生えている場合もあります。

見た目

ヤブニッケイとニッケイは、葉で簡単に見分けられます。まず、ヤブニッケイは楕円形の葉をしていますが、ニッケイは葉の先端が細く伸びるような形をしているのが特徴です。葉の裏側は、ヤブニッケイは薄い黄緑色でニッケイは白みがかっており、毛が全く生えていません。葉脈も、ヤブニッケイは模様が見える程度ですが、ニッケイは葉脈に凹凸があります。

香り

ニッケイは、料理の香りづけやスパイスとして利用されている植物です。ヤブニッケイは、香りの強いニッケイに比べてややが劣るために「ヤブニッケイ」と名付けられた由来があり、名前のとおり強い芳香はしません。

まとめ

ヤブニッケイは乾燥に強く育てやすい植物のため、庭木やシンボルツリーとしても人気があります。また、樹木を木材として利用したり、種子を香油に加工したりするなどとさまざまな利用方法があるのも魅力です。関東以南に自生しているため、ぜひヤブニッケイを探してみてくださいね。

Alisa.
ライター

Alisa.

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