ベチバーの精油と香り
精油に使用する部位
ベチバーの根には強い香りがあり、アロマオイルや化粧品の原料などとして使用される精油に加工されます。ベチバーの根茎を乾燥させ、蒸して蒸気を冷やすことで精油を分離させる水蒸気蒸留が主な生産方法です。平均的な採油率は1~1.5%ほどといわれます。
精油の特徴
精油は粘度の高いドロドロした琥珀色(こはくいろ)の液体で、品質の高い精油は18~24カ月の根から抽出されるものとされます。ハイチ、レユニオンで特に高品質の精油が、インドでは野生のベチバーから蒸留されるものもあり、高い価値がつくオイルです。
精油の蒸留方法
ベチバーのオイルをつくる手順をご紹介しましょう。まず根を掘り起こし、きれいに洗って乾燥させます。根を細かく切り刻み水に浸してから蒸留するのがポイントです。蒸留には最大24時間を必要とし、蒸留された液体は精油と蒸留水に分離します。油の部分のみを取り出したものがベチバーのオイルとなり、数カ月熟成させ香りを調整して完成です。
精油の成分
ベチバーは栽培地により含まれる成分の分量は異なりますが、一般的に100以上の成分を含む複雑な精油です。主にベチベロール(Vetivelol)などのセスキテルペンからなり、もっとも含有量の多いはイソバレンセノール(Isovalencenol)で、含有量は約15%です。他にもクシモール約15%(Khusimol)、α―ベチボン(α-Vetivone)、β―ベチボン(β-Vetivone)などの成分も含まれます。
香りの特徴
ベチバーの香りはかなり特徴的で、「土っぽい」「埃っぽい」「深い」「甘い」「スモーキー」などと表現され、単独では好き嫌いが分かれるでしょう。ベチバーのオイルは年月を経ることで豊かな芳香に変化するのが特徴で、香水のベースノートとして重要な役割を果たします。有名な「シャネルNo.5」として使用されているのもベチバーです。
香りのノート
香りのノートは揮発性の速度によってトップ、ミドル、ベースの3つに分類されます。トップは匂いを嗅いで最初の20分ほど、ミドルは4時間ほど、ベースは6時間以上も香り続ける香りです。この3つのノートを上手く調和させることでブレンドを完成させます。
香りの系統とブレンド法
アロマオイル香りの系統は下の図の通り7つに分類され、隣り合う香りのブレンドが相性がよいとされています。もちろん隣の系統以外のオイルのブレンドも大丈夫なので、相性のよい香りを見つけてください。ベチバーの香りは強いので使用量には注意が必要です。ごく少量からの使用をおすすめします。
ベチバーと相性のよい香り
ベチバーの香りは他のノートとあわせることでより豊かなアロマを楽しめます。ベチバーの香りにはサンダルウッドなどのオリエンタル系、ジャスミンなどのフローラル系の香りとの相性がよいといわれ、柑橘系ともよく調和します。より深い香りを楽しむならスパイス系のシナモンとのブレンドがおすすめです。
ベチバーの効果と効能
消臭と虫除け効果
ベチバーの根には高い消臭効果が認められ、その効果の高さは活性炭の1.3~1.5倍ともいわれます。このベチバーの根の消臭効果を利用して消臭剤が作られています。また、ゴキブリなどの害虫を寄せ付けないという効果も確認されています。
アロマテラピー効果
アロマテラピーでのベチバーの効果と効能は、滋養を与え、やる気を回復させる、土の力強さに現れています。体の熱を冷まし、高ぶった神経をやさしく落ち着かせてくれる成分を含み、やる気を取り戻すために背中を押してくれるアロマです。気が焦って地に足がつかないと感じるときに使ってみてください。
次のページでは、ベチバーの使い方をご紹介します。
出典:作者作成