ハーブ類の挿し木(挿し芽)とは
挿し木(挿し芽)できるものとできないものがある
挿し芽できるもの
ハーブ類は挿し木(挿し芽)で増やすことができるものが多くあります。多年草のミント類、ハーブゼラニウム、ローズマリーなどは種から育てるのは時間がかかるので挿し木(挿し芽)で増やすことが一般的です。
挿し芽できないもの
逆に花が咲いて実がつくと枯れてしまうハーブは挿し芽で増やすことができません。コリアンダーやパセリ、キャラウェイなどのセリ科のハーブ、バジルやルッコラ、カモミールなどはこれにあたり、種で増やします。
簡単に増やすことができる
挿し木の作業は切ってさすだけです。もちろんコツやポイントはあります(あとでご説明します)が、とても簡単で誰にでもおこなえます。また親株と同じ形質をもった苗を一度にたくさん増やすことができます。種から増やすよりも成長も早く、育て方も簡単です。
ハーブ類の挿し木(挿し芽)に適した時期
挿し木(挿し芽)に適した時期は春と秋です。挿し穂が発根しやすい成長期が適した時期です。ハーブ類は春〜秋が成長期ですが、真夏は水切れをおこして枯れやすいので、春と秋がおすすめです。また日本の高温多湿に弱いハーブも多いので、真夏は避けたほうがよいです。
ハーブ類の挿し木(挿し芽)に適した土
用土には通気性、排水性、保水性がよく、雑菌のない清潔な土が適しています。水にさして根を出してから植える場合はハーブ用の培養土を使うとよいでしょう。発根するまえに植えつけ、土で発根させる場合は、挿し木(挿し芽)用の土というものが売られているので、こういったものを使うと根がでないということが少なく失敗しにくいです。
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重鎮時容量 | 5ℓ |
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ハーブ類の挿し木(挿し芽)の方法
それでは具体的にハーブ類の挿し木(挿し芽)の方法をご説明していきます。方法も育て方も簡単です。
挿し穂をきりとる
挿し穂には、成長期に摘み取った茎を使います。その年に伸びた新しい茎を選ぶようにします。10〜15cmほどの長さに節の上で切り取り、下の方の葉をとりのぞいて水にさしておきます。葉がたくさん残っていると、茎から吸収する水分より葉から蒸散する水分の方が多くなり枯れてしまいます。茎の硬いローズマリーやラベンダーなどの茎は水揚げしやすいように斜めに切ります。
水ざしして植え付ける
切りとった挿し穂を水につけます。ミントやレモンバーム、タイムなど茎が細くやわらかいハーブ類の挿し穂は1〜2週間で発根するので、発根したらハーブ用の培養土などに植えつけます。ゼラニウムやローズマリー、ラベンダーなどの茎が太かったり、固かったりするものは水挿しで発根さすのではなく、1時間ほど水につけておいた後、土に挿して植えつけます。
土にさす
水挿しした後の挿し穂を土に植えつけます。さし床にする土は表面を平らにならして、上から水をかけて全体に湿らせておきます。挿す深さは少し深めにして、茎からの水の蒸散が少なくなるようにします。植える間隔は葉と葉が触れ合う程度の間隔でさします。少ないスペースでたくさん植えることができますので、一度にたくさんの苗を作ることができますね。発根したら広い場所に植え替えましょう。
水やり
植えつけてしばらくは半日陰(明るい日陰)において、たっぷり水をやり乾かさないようにします。新芽が出たら日当たりのよいところにうつして育てましょう。
根が出ないときは?
新しい茎を選んでいるか?
切りとった茎から根が出ない場合は、新しい茎を選んでいない場合があります。古い茎ではなく成長期の新しい茎(その年にのびた新しい茎)を挿し穂にしましょう。
水やりの方法
新しい茎を選んでいるのに根が出ない場合は、土に挿した後の水やりの方法が適切ではないのかもしれません。水やりは、挿し穂がしおれない程度におこないますが、さし床の中が過失になると酸素不足で呼吸ができず、発根障害を起こして根が出なくなってしまします。乾燥しすぎても枯れてしまいますが、常にべちゃべちゃの状態はよくないということです。
ミント類の増やし方
ミントの種類
ミント類には25種類ほどの種類があり、どれもさわやかな清涼感のある香りや風味があります。ペパーミント、スペアミントなどが有名です。ペパーミントは日本ではハッカとよばれるもので、スースーする感じの清涼感のある風味があります。ガムや歯みがき粉に使われています。スペアミントはそれほどスースーする感じがない風味で、料理やお茶に使われることが多いミントです。
ミント類の増やし方
ミント類の種は小さくて、株になるまでの成長が遅いので、挿し芽で増やすのがおすすめです。 ペパーミント、スペアミント、アップルミントなどいろいろな種類があるので少しずつ集めてみるのもよいですね。またミント類を地植えにするのは要注意です。ミントは丈夫で地下茎がよく伸びてどんどん広がります。他の植物を全滅させてしまうこともあるので、鉢植えやコンテナに植えるか庭の端に植えることがおすすめです。
ミント類の挿し木(挿し芽)の方法
ミント類は挿し芽に適した植物です。挿し木(挿し芽)には新しく伸びた枝を切り取ります。下の方についている葉をとりのぞいて、水にしばらくさしておきます。1週間ほどで根が出てくるのでハーブ用の培養土に植え付けます。しばらく半日陰で、水やりはたっぷりとかかさないようにします。2〜3日で根が落ち着くので日当たりのよいところにうつして育てます。根が出てから植え付けるので、水やりを適度におこなえば失敗はありません。
ハーブゼラニウムの増やし方
ハーブゼラニウムとは
ハーブゼラニウムとは、ゼラニウムのなかでとくに芳香の強いものをいいます。ハーブとして使われるものはセンテッドゼラニウムともよばれるもので、エッセンシャルオイルなどに使われます。ストレスや不安を緩和する効能があります。ゼラニウム類は一般的に挿し木(挿し芽)で増やします。 ヨーロッパの窓辺に赤やピンクのゼラニウムが咲きこぼれているのは有名ですが、丈夫で挿し木でどんどん増やすことができるからですね。
ハーブゼラニウムの挿し木の方法
挿し穂(挿し枝)をつくる
太くて新しい茎(木のように硬くなっていない茎)を7〜8cmくらい節の上で切りとって挿し穂(挿し枝)にします。下の方の葉はとりのぞきます。葉が3〜5枚残っているとよいでしょう。たくさん残っていると枯れてしまいます。1時間ほど水揚げしてから、さし床にさし、たっぷり水をあげます。2〜3週間で発根しますが、発根するまでは半日陰で管理します。
土を変える
挿し穂(挿し枝)を植えつける土は、挿し木(挿し芽)用の土か赤玉土などがよいですが、発根したら培養土に植え替えましょう。
乾かし気味に管理するのがコツ
ゼラニウムは乾燥に強く、高温と多湿に弱いので、挿し穂(挿し枝)が発根するまでの間もやや乾燥気味に育てます。その方が早く発根します。2〜3週間ほどで発根しますので、発根したら培養土に植えかえます。ハーブゼラニウムはゼラニウムのなかでは、水を好む品種なので水挿ししますが、そのほかのゼラニウムは挿し穂を水につけずに乾燥させて土に挿すことを推奨されるほど乾燥気味を好む植物です。
まとめ
ハーブ類の挿し木(挿し芽)の方法とポイントとコツ
- ハーブ類には挿し木できるものとできないものがある
- ミント、ゼラニウムは種より挿し木で増やすのがおすすめ
- 挿し木に適した時期は春と秋
- 根が出ないときは水やりのしすぎ?
- その年に伸びた新しい茎を使うのがコツ
- ハーブ類の挿し木は方法も育て方も簡単
出典:筆者撮影