オレンジの小花の咲く雑草
道ばたで見かけられる雑草の中でも、赤やオレンジ色の花はとても目立ちます。赤やオレンジ色の雑草にはヒガンバナなどもありますが、白や黄色の花の咲く植物に比べるととても少数です。赤系の花が少ないのは、自然界において虫たちが赤系の花を認識できず、寄ってきてくれないことが理由とされています。
オレンジの小花の咲く雑草①ナガミヒナゲシ
学名 | Papaver dubium |
和名:別名 | 長実雛芥子 |
分類 | ケシ科ケシ属:一年草 |
原産地:分布 | 地中海地方:日本(本州全土) |
草丈 | 15~60cm |
開花時期 | 4~5月 |
食用 | 不可 |
特徴
ナガミヒナゲシは、2000年代に入ってから道ばたやアスファルトの横などでよく見かけられるようになった特定外来種です。強い繁殖力から問題になっている雑草でもあります。鮮やかなオレンジ色の花は、ポピーのような外観で見た目はかわいらしいですが、ほかの植物を攻撃するアレロパシー物質を根から出すため、生態系に影響を与えることを危惧されています。
食用以外の楽しみ方
ケシ科の外来種であるナガミヒナゲシは、1つの果実に、文字どおりケシ粒のような小さい種を1500ほど内包しています。繁殖を防ぐためにも花が咲いているうちに切りとり、種を作らせないことが大切です。美しい造形の花はすぐに散るため切り花には不向きなのですが、薄い花弁は押し花にぴったりです。
オレンジの小花の咲く雑草②スイバ
学名 | Rumex acetosa |
和名:別名 | 蓚、酸い葉、酸模(スカンポ)、ルメックス |
分類 | タデ科 |
原産地:分布 | 北半球温帯地域:日本(北海道~九州) |
草丈 | 30~100cm |
開花時期 | 5~8月 |
食用 | ジャム、スープ、サラダ、ハーブティー |
特徴
スカンポの別名をもつスイバは「酸い葉」と当て字がされるほど、とても酸っぱい植物です。19世紀に園芸種として持ち込まれた外来種で、旺盛な繁殖力があり、一地域に固まって地下茎を伸ばして繁殖するタイプの雑草です。ルメックスや赤すじソレルという名称で園芸種も流通しています。
食べ方
スイバは日本ではあまりなじみがありませんが、ヨーロッパでは古くからよく料理に使われている野菜です。強い酸味を生かしたジャムやスープはもちろん、パイ、オムレツ、ボルシチなどいろいろな料理に活用できます。国によってはチョルバ、サルマーレといった料理名がついているものもあります。
青い小花の咲く雑草
青い花の清涼感は、園芸種でも雑草であっても変わりません。抜き取って処分するよりも、一度は花瓶に生けて愛でるのも素敵です。
青い小花の咲く雑草①ツユクサ
学名 | Commelina communis |
和名:別名 | 露草 |
分類 | ツユクサ科ツユクサ属:一年草 |
原産地:分布 | 日本、東アジア:日本全土 |
草丈 | 15~50cm |
開花時期 | 6~9月 |
食用 | おひたし、天ぷら、炒めもの |
特徴
夏のころに咲くツユクサの青く小さい花は、早朝に咲き、昼頃にはしぼんでしまうことから儚げな印象があります。しかし、雑草としての性質はたくましい部類です。日本古来の在来種で、道ばたでよく見かけられる花です。こぼれ種の発芽率もよく、毎年同じ場所に増えていきますよ。
食べ方
ツユクサの葉は、ほかの雑草とくらべてアクが少なく、青菜類のように料理に使えます。おひたし、天ぷら、炒めもの、サラダなどほとんどの料理に手間なく応用できますよ。アウトドアなどで見かけた際は、サバイバル料理としてツユクサ料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。
青い小花の咲く雑草②オオイヌノフグリ
学名 | Veronica persica |
和名:別名 | 瑠璃唐草(ルリカラクサ)、星の瞳 |
分類 | オオバコ科クワガタソウ属:二年層 |
原産地:分布 | ヨーロッパ:日本全土 |
草丈 | 10~20cm |
開花時期 | 2~5月 |
食用 | 不可 |
特徴
道ばたなどでよく見かけるオオイヌノフグリは、ヨーロッパからやってきた外来種です。青く小さい花は、触れると花弁がすぐに落ちて頼りない感じですが、繁殖力たくましい帰化植物でもあります。名前は結実した種が犬の陰嚢に似ていることが由来ですよ。
食用以外の楽しみ方
上の画像は、名前の由来になったオオイヌノフグリの種です。食用にはならず、切り花にすることも難しいため、じっくり観察するのもおすすめです。植物としてはとてもおもしろい造形で、海外では花の中にキリストの顔が見えるということから「ベロニカ」という別名を持っています。
青い小花の咲く雑草③スミレ
学名 | Viola mandshurica |
和名:別名 | 菫、すもうとり草:マンジュリカ |
分類 | スミレ科スミレ属:多年草 |
原産地:分布 | 日本在来:日本全土、中国、朝鮮半島 |
草丈 | 10cm |
開花時期 | 4~5月 |
食用 | 砂糖漬け、天ぷら、おひたし、酢のもの、椀だね |
特徴
群生するような繁殖力ではありませんが、スミレも強健な雑草の1つです。スミレが広域に分布する理由は、スミレ科の種にはアリが好む「エライオソーム」という物質が付着しており、これを運ばせることによって繁殖地を広げているからです。そのためスミレの生えている場所には、よくアリの巣がありますよ。日本の固有種もありますが、外来種も多く野生化しています。
食べ方
スミレの花の香りと花弁の紫色を楽しむには、砂糖漬けが一般的です。市販されていますが手作りも可能です。スミレの花弁をゆすいで乾かし、卵白を塗って砂糖をまぶします。この状態でしっかり乾燥させれば完成です。小さい花弁をそのまま味わうのもよいですが、ケーキのトッピングや紅茶に浮かべるのもおすすめです。葉も美味しく食べられます。
まとめ
道ばたで見かけられる小さい花たちを紹介してきました。食べられる雑草が多いことに驚くかもしれません。また、雑草というと外来種のイメージが強いですが、日本の在来種の植物もたくましく生き抜いています。散歩の際には、雑草探しをしてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC