ハコベってどんな植物?
ハコベの特徴
ハコベ(繁縷)は、ナデシコ科ハコベ属の植物で、主に雑草として扱われています。春の七草のひとつで、通称ハコベラ(はこべら)と呼ぶこともあります。草丈は低く、他の雑草に混じりながら咲いているので、うっかりすると咲いている姿を見落としがち。
それもそのはず。ハコベの花は白く小さく、ナズナと一緒に生えていると、どうしてもナズナのほうに目がいってしまうので、ハコベの存在に気づかず通り過ぎてしまうこともある、存在感の薄い植物です。ですが白い花のひとつひとつには清楚感があり、なんとなく好感が持てる、そんな植物でもありますよね。
ハコベの名前の由来は?
ハコベのことをハコベラと呼ぶことも
ハコベのことをハコベラ(はこべら)と呼ぶことがありますが、このハコベラは一体どこから付いたのでしょうか。有力な説は葉配り(はくばり)が転じて”はくべら”となり、更に転じてハコベラと呼ばれるようになったといわれています。当時は「葉配りが利いている」などと、使用されていたそうですね。
万葉集にも登場
また、ハコベは万葉集に「波久倍良(はくべら)」の名で登場したり、島崎藤村の詩に登場したことで、一躍脚光を浴びた草花でもあります。代表的な詩は「小諸なる古城のほとり雲白く遊子悲しむ緑なす繁縷(はこべ)は萌えず若葉も籍くによしなし」など。
正岡子規の俳句「カナリアの餌に束ねたるはこべかな」より、小鳥の餌として人気の雑草としても注目を集めました。小鳥を飼育している家庭では、はこべは餌として重宝しますので、ぜひ探してみてくださいね。
ハコベの花言葉
ハコベの花言葉は以下の通り。
- ランデブー
- 密会
- 愛らしさ
- 初恋の思い出
- 追想
ハコベに似た3種類の仲間
コハコベ
コハコベは、代表的なハコベの一種。ハコベ属の植物は、約120種類ほどあるのですが、その中でも主に、ただの”ハコベ”を指すときは、コハコベのことを示す人が多いほど、ハコベの中でもメジャーな種類ですね。越年草で、よく枝分かれしながら密集した群落を作ります。
そのため引き抜くのが厄介な雑草として嫌われがちですが、小鳥の餌や、春の七草として食べられますので、引き抜いたついでに七草粥として食べてしまうのも、なかなか粋な発想だといえますが、いかがですか?
ミドリハコベ
ミドリハコベの特徴は、全体的に柔らかい草であることが挙げられます。葉は卵型で短い柄を付けながら生長していきます。主に春から夏にかけて姿を現し、直径約6〜7ミリの小さく白い花を咲かせます。花びらは細く、一見10枚あるように見えますが、実は5枚の花びらが裂けているため、10枚あるように見えるのです。
また、雄しべの先端も3つに分かれており、コハコベが3〜5本なのに対し、ミドリハコベは8〜10本と多いのが特徴のひとつともいえます。コハコベによく似ていますが、ミドリハコベはがく片が花弁より短いので、そこを意識すれば簡単に見分けられますね。
イトハコベ
イトハコベは、ハコベの近縁種のなかでも全体的に細さが際立つ品種です。まさに”イトハコベ”の名に相応しいほど葉や茎がとても細く、イトハコベが、か弱げに風に吹かれている風景には、どこか哀愁を感じますね。低地の湿地帯に生える多年草で、草丈は30〜50センチほど。上部で枝分かれしながら、すくすくと育ちます。
周りの植物に埋もれがちですが、けして細いからといって自立できないわけではなく、凛とした佇まいで身を潜めている、そんな植物です。
ハコベの育て方のポイント3つ
この章ではハコベの育て方についてご紹介していきます。ハコベの育て方はいたってシンプルかつ簡単なので、ガーデニング初心者にぴったりですよ。また、小鳥の餌としても重宝しますので、小鳥を飼育している人は餌代の節約にもなりますので、積極的にチャレンジしてみて下さいね。
地植えの場合
地植えの場合、ハコベの育て方のコツや知識は、ほぼ不要です。ほとんど手を加えずに放置していれば、すくすくと生長していきます。見栄えを気にする人は、茎が伸びすぎたタイミングで剪定を行いましょう。ハコベは湿り気の多い地を好みますので、土の乾燥さえ気をつけていれば、ほぼ失敗せず、丈夫に育ちます。
花が咲いたあとは地面に種をこぼしますが、そのまま放置しておけばまた同じように生えてきますので、ハコベの地植えはズボラさんにもおすすめですよ。
プランター(鉢植え)で育てる場合
ハコベを一年中育てたい人は、プランター(鉢植え)で育てることをおすすめします。湿り気のある土にハコベの種を撒き、うっすらと土を覆います。こうすることで、約2〜3日ほどで発芽します。発芽したあとは霧吹きなどを使用して、乾燥しない程度に水を与えて下さい。根腐れ防止のため、くれぐれも水の与えすぎには気をつけましょう。
花が咲き終わったら種を取り、同じ要領で育てて下さい。真夏の蒸し暑い時期や極寒期を除いて、ほぼ一年中楽しむことができます。
まとめ
ハコベは目立たない小さな白い花の雑草ですが、120種類もの近縁種を持つ、古くから日本に馴染みのある草花。その控えめな佇まいは多くの詩人にも愛されており、ハコベが咲くと、春の訪れを感じますよね。白く小さな花を眺めるのもよし、小鳥の餌として栽培するのもよし。様々な楽しみ方のできる草花なので、ぜひこの記事を通して、ハコベを身近に感じていただけたら幸いです。
出典:筆者撮影