銀杏に含まれる栄養価
銀杏はいちょうの実の種部分だけを食べるため、可食部分はとても小さいです。小さな銀杏の中には体の健康維持に必要な栄養が含まれているだけでなく、栄養の種類が豊富な点も魅力です。さらにそれぞれの栄養成分が高い効能を発揮するため、日本では「食べる栄養剤」として古くから活用されています。ここでは、どのような栄養が含まれているのか見ていきましょう。
①デンプン
銀杏の栄養価で特に目立つのがデンプンです。デンプンはタンパク質のもととなる栄養素ですが、1日の摂取量目安は成人男性が60g、成人女性が50gで銀杏だけでは補えません。ただし、タンパク質は野菜だけでなく肉やたまご・牛乳などにも多く含まれるため、銀杏と別の食材でバランスよくとるのがポイントです。
主な効能
タンパク質のもととなるデンプンは、体の組織を動かすエネルギーになる重要な栄養素です。脳を動かすにもエネルギーが必要で、デンプンが多く含まれる銀杏を食べると、頭の回転がよくなり仕事の効率をアップさせる効果があるとされます。ただし、食べ過ぎると肥満の原因になる可能性があります。
②カロテン
カロテンは色の濃い野菜に多く含まれる栄養価ですが、銀杏の可食部分にも100gあたり260㎍(マイクログラム)のカロテンが含まれています。カロテンの1日の摂取量目安は成人男性が500~550㎍、成人女性が400㎍です。カロテンが多いニンジンやホウレン草などと一緒に銀杏を食べるのがおすすめです。
主な効能
銀杏に含まれるカロテンは、体の中に取り入れられるとビタミンAに変わるため、目の疲れをすっきりさせたり免疫力をアップさせたりする効果があるといわれています。さらに近年の研究で銀杏に含まれるカロテンには、活性酵素を抑える働きがあることがわかっています。
③ビタミンC
銀杏のビタミンCは体の中でつくれない栄養素で、食事で摂取する必要があります。ビタミンCの1日の摂取量目安は成人で100mgのため、100gあたり20mgのビタミンCを含む銀杏ですべてを補うよりも、ほかの食材と一緒に目標摂取量をクリアするのがおすすめです。
主な効能
銀杏のビタミンCには、体に嬉しい効能がたくさんあります。特に注目されているのが免疫力のアップで、積極的にビタミンCをとれば風邪などの病気にかかりにくくなるといわれています。さらに肌の活性化に欠かせないコラーゲンをつくるのがビタミンCです。きれいな肌を目指したい女性にも嬉しい効果が期待できます。
④カリウム
カリウムは、体の中の余分な老廃物を排出してくれる栄養素の1つです。カリウムの1日の目標摂取量は2000mgですが、銀杏には100gあたり580mgのカリウムが含まれています。そのため旬の食材としても美味しい銀杏ですが、カリウムの補給としても役立つおすすめの秋食材です。
主な効能
銀杏のカリウムには、血液中に含まれる余分な塩分(ナトリウム)を外に排出してくれる効果があるとされます。ただし腎臓に持病がある人が食べ過ぎると「高カリウム血症」を引き起こす危険があります。
⑤マグネシウム
マグネシウムは和食食材に多く含まれており、普段から和食中心の食事をしていれば意識しなくても不足することのない栄養素です。目標は成人で240~290mg、銀杏には100gあたり42mgが含まれているため、みそ汁やご飯に銀杏を加えるだけでも目標摂取量は簡単にクリアできます。
主な効能
銀杏のマグネシウムは、骨や歯を作る働きがある栄養素です。そのため成長期の子どもたちだけでなく、加齢で骨密度が気になる高齢者なども1日に摂取すべき目標量がやや高めに設定されています。さらにマグネシウムは神経の刺激ホルモンに効果があるとされるため、積極的にとるとストレスを感じにくい体になることが期待されます。
⑥リン
リンはもともと人間の体内に存在する栄養素で、最大800gあるうちの8割をリン酸カルシウムとリン酸マグネシウムで占めています。銀杏には100gあたり83mgのリンが含まれていますが、1日の目標摂取量は成人で800~1000mgのため、ほかの食材と一緒に目標量をとるのがおすすめです。
主な効能
銀杏にも多く含まれるリンは、骨や歯をつくるのに欠かせない栄養素です。リンは筋肉細胞や内膜細胞、さらに細胞内の潤滑油としての役割を果たす細胞外液にも存在するため、体の中のさまざまな細胞機能の維持に効果を発揮するといわれています。
⑦葉酸
葉酸には血液を作る作用があり、妊娠を希望する人や妊娠中の人が積極的にとったほうがよいといわれる栄養素です。銀杏に含まれる100gあたりの葉酸は36㎍のため、1日の目標摂取量の240㎍をクリアするには、ほかの食材と一緒に取り入れる必要があります。
主な効能
葉酸は血液をつくる働きのある栄養素で、貧血気味のときに意識してとるようにすれば貧血によるめまいや吐き気を抑える効能があるとされます。さらに新鮮な血液を定期的につくってくれるため、生理前・生理中の冷え性やPMS(生理前症候群)でみられる体の不調を整える効能も期待できます。
⑧食物繊維
銀杏に含まれる食物繊維は、おなかの中の不要なものを外に排出してくれる栄養成分です。銀杏の可食部100gに対する食物繊維の量は2.2gで、1日に必要な食物繊維(成人男性20g以上、成人女性18g以上)を補うのは難しいといえます。食物繊維は不足しがちな栄養でもあるため、意識してとることが重要です。
主な効能
銀杏に含まれる食物繊維は、おなかの調子を整える効能が期待できます。成人の目標摂取量は1日20g以上です。ただし銀杏だけで目標摂取量をクリアするのは不可能のため、キャベツ、レタス、キノコ、大根など食物繊維が豊富な旬野菜と一緒にとるのがおすすめです。