バオバブとは
名称 | バオバブ(英名:Baobab)(学名:Adansonia) |
園芸分類 | 観葉植物、多肉植物 |
形態 | 高木、低木 |
原産地 | アフリカ、マダガスカル、オーストラリア |
耐暑性/耐寒性 | 強い/普通 |
科目・属 | アオイ目アオイ科・バオバブ属 |
サバンナ地帯に広く分布
バオバブは、アオイ目アオイ科バオバブ属の木です。品種は約12種類あり、乾燥したサバンナ地帯に広く分布します。生息地はアフリカやインド、オーストラリア、マダガスカル地方です。「詳しくは知らないけれど、バオバブという名前だけはどこかで耳にしたことがある」という方もいるでしょう。マダガスカル地方にはバオバブ街道という並木道もあり、地元の人々にとっては馴染みの深い樹木です。
名前の由来
バオバブという名称は、アラビア語で「多数の種の父」という言葉をあらわす「ブー・ヒバフ」からきています。また、上下が逆さまになったような見た目をしていることから「アップ・ダウン・ツリー」とよばれることもあります。バオバブはセネガルでは国のシンボルツリーです。
不思議な見た目
バオバブは不思議な形をしています。幹はとても太く、平均すると直径が10mほどあり、高さも約30mにまで成長します。種類により異なりますが全体的に巨大でずんぐりした形状をしているため、初めて目にするとインパクトやその存在感に圧倒されるでしょう。樹齢もとても長く、平均すると300年~500年で、樹齢が長い個体だと約6000年と推定されるものもあります。
言い伝え~悪魔の木~
独特の見た目から、バオバブにはさまざまな言い伝えがあります。中にはバオバブは悪魔の木であるというものもありますが、これは「悪魔が地面から木を引き抜いて、逆さまに突き刺したような見た目をしている」というものが広まったものです。マダガスカルのバオバブ街道は、有名な物語「星の王子さま」にも登場しますが、巨大すぎて星を壊すと紹介されています。実際には精霊が住むというよい言い伝えもあります。
バオバブの木の特徴と活用
木の特徴①大量の水分を蓄える
乾燥して植物が育ちにくい環境の中でも、バオバブは幹の中に大量の水分を蓄えることが可能です。大きい個体でなんと約10tもの水分を貯められるのです。現地では不足しがちな水分ですが、これらは人々や動物たちの貴重な資源となります。物語や言い伝えの一部ではあまりよく描かれていないバオバブですが、実際は生活に欠かせない重要な役割を担っています。
木の特徴②幹で光合成する
バオバブは幹で光合成を行います。通常、木々や植物は葉の中に葉緑体があり、そこで光合成を行います。しかし、葉の中では蒸散と呼ばれる水分を外に出す動作も行われます。この構造だと乾燥地帯で生きるバオバブにとって、貴重な水分を外に逃がしてしまうことになるのです。サバンナ地帯で強く生き抜くために、バオバブは太い幹の表面に葉緑体を持っています。枝や葉の数はあまり多くはありません。
木の特徴③軽くて柔らかい材質
バオバブの木は見た目こそ巨大で、いかにも固く重い材質をしているようにみえますが、実際は軽くて柔らかいという特徴を持っています。幹の中には大量の水分を蓄え、押すとくぼみができるほどの柔らかさです。蒸散を防ぐため、乾季には葉をすべて落として日照りを耐えしのぎます。
木の活用①繊維の利用
バオバブの幹繊維を利用して、現地ではロープなどの紐に加工します。柔らかく軽い素材のため扱いやすく、かごやバッグ、洋服などの装飾品としても利用されます。そのほかには紙や住居の屋根部分にも使われるなど、活用方法は幅広いです。さまざまものに加工できるバオバブの木は、現地の人々の生活に必要不可欠であるといえます。
木の活用②倉庫や休憩場としての利用
枯れた空洞状態のバオバブの幹は、倉庫などの貯蔵庫としても利用されます。また、暑さをしのぐ休憩場としても使われることもあります。幹の太さを利用して、バオバブはさまざまな空間に有効活用されているのです。
バオバブの花の特徴と活用
花の特徴①1日で枯れる
バオバブの花は開花期間が非常に短く、咲いている姿はなかなか見られません。一般的に花が咲いて24時間以内に枯れ、気候や環境の条件にもよりますが長くても3日以内には枯れてしまいます。そのため、バオバブの花には花言葉がありません。
花の特徴②咲き方は品種により異なる
バオバブの品種は約12種類あり、咲き方が異なります。大きく分けると、丸みを帯びた花を咲かせる品種と、細長い花を咲かせる品種の2種類です。花の色は白色や黄色、オレンジ色、赤色などで、品種により違いがあります。花が咲く短い期間にとても甘い香りを放ちます。
丸みを帯びた花びら~アフリカバオバブ~
アフリカに自生する種であるアフリカバオバブは、丸みを帯びた花を咲かせる特徴があり、地面の方向に向かって下向きに白い花をつけます。ディエゴバオバブ、グランディディエバオバブも、同様に丸い形の花を咲かせます。花色は白やクリーム色です。
細長い花びら~マダガスカルバオバブ~
マダガスカル地方に自生する、マダガスカルバオバブという品種は細長く大きい花をつける特徴がある品種で、非常に鮮やかな赤色の花を咲かせます。フニーバオバブやザーバオバブも同様に細長く大きな花びらを咲かせ、花色は黄色やオレンジ色です。
花の活用:蜜の利用
バオバブの花からとれるハチミツは近年人気を集めています。花の開花期間が短いため、採集できる期間も限られます。ハチミツの味は黒糖のような深みのある味わいであり、現地の一部では昔ながらの製法で採集が行われています。