ココスヤシとは
ココスヤシは、温暖な地域では公園や街路樹、庭のシンボルツリーとして植えられています。名前に「ヤシ」が入っていることと、姿がヤシの木と似ているため間違えられそうですが、ココスヤシとヤシの木は種類が違います。
基本情報
名称 | ココスヤシ・ココス椰子 |
学名 | Butia yatay / Butia capitata |
分類 | ヤシ科ブティア属 |
原産国 | アルゼンチン、ウルグアイ |
耐寒性 | 強い |
ココスヤシとヤシの木の違い
世界中の熱帯、亜熱帯に広く分布しているヤシ科の植物は、2000~3000種あるといわれています。一般的にヤシの木と呼ばれているものはヤシ目ヤシ科に分類され、総称としての呼び名です。一方のココスヤシは、ヤシ科ブティア属です。同じ科であっても、属は異なる点を覚えておきましょう。
耐寒性の違い
ココスヤシは耐寒性があり、路地植えなら−5~6℃でも越冬が可能です。街路樹や庭のシンボルツリーとして利用されるのは、耐寒性が強いことも理由の1つからです。一方のヤシの木は、熱帯地方が原産のため耐寒性はなく、日本の気候下では路地植えでの越冬はできません。
高さの違い
ココスヤシは、成長すると5~10mほどの高さになります。ヤシ科の中でもそれほど大きくはなりません。しかし、ヤシの木は大型になると30mを超えることもあります。
実の付き方の違い
ココスヤシとヤシの木との大きな違いは、実の形状です。ヤシの実といえば堅い殻の大きな実を思い浮かべるかもしれません。しかしココスヤシの実は、直径が3cmほどと木の大きさに比べてかなり小さめです。花が終わったあとびっしりと実を付ける姿は、ヤシの木と大きく異なります。
ボタニ子
ココスヤシの特徴
ココスヤシを自宅で育てるなら、特徴を知っておくと安心です。ココスヤシの変化に戸惑うことなく、適切な対処もできるでしょう。
花の特徴
ココスヤシは、7~8月にかけて花を咲かせます。緑色の仏炎苞(ぶつえんほう)が伸びてくるため、大きな蕾に見えるかもしれません。仏炎苞は1mほどの大きさになります。苗が充実していれば2~3本出てくることもありますよ。
堅い仏炎苞が裂けると、小さな花が稲穂のように開いてきます。実を付けるまでは小さな花が散らばり、庭に植えていると掃除が大変になることもあります。実を収穫しないのであれば、開花前に仏炎苞を切ってしまっても問題ありません。
葉の特徴
ココスヤシの葉は、銀色がかった緑色の長い羽状複葉(うじょうふくよう)です。ヤシ科の植物特有の魅力的な姿の葉ですよ。常緑のため冬でも落葉せず、青々と茂っています。
実の特徴
ココスヤシは花の時期を終えると、小さな実を付け始めます。開花から実が熟すまでは1カ月ほどかかります。はじめはドングリのように頭の先端が尖った形をしていますが、熟してくると丸くなり、緑色から黄色、赤みのある橙色に変化していきます。
ボタニ子
実を付けてずっしり垂れ下がる様子は、まるでブドウみたいだね!
実の香り
一房から大量の実がなっている姿は、なかなかの迫力です。熟すにつれ甘い香りがしてくるため、思わずうっとりしてしまう人もいるでしょう。うっとりするのは人間だけではありません。ハチやアリも甘い匂いに誘われて集まってくるため、実を収穫するときは刺されないように注意しましょう。
実を味わえる
甘い香りが魅力のココスヤシの実は、そのまま食べられます。ココスヤシの実は繊維が多く、硬いパイナップルのような食感です。熟すと濃厚な甘さになり、味はマンゴーに似ています。しかし、種が大きいため、味わえる部分は少ないです。実を食べるというよりも、果汁を吸う感覚でココスヤシの甘さを楽しみましょう。また、種と実を分ける作業は少々たいへんですが、ジャムに加工もできますよ。
成長の特徴
ココスヤシは成長速度が遅く、環境や根の健康状態にもよりますが、年に5~10cmほどしか成長しません。新芽の成長速度も遅いため、短期間で葉が増えることもないのです。発芽率はそれほど悪くはないため種からでも育てられますが、ココスヤシの特徴的な形になるまでは長い時間がかかります。
成長速度が遅いからといって、育っていないわけではないのね。気長に大きくなるのを待ちましょう。
ずっとヤシの木だと思っていた木は、実はココスヤシだったんだね!