春の高山植物図鑑31選!春は登山・山歩きをしながら花を観察しよう

春の高山植物図鑑31選!春は登山・山歩きをしながら花を観察しよう

春の山歩きをしていると、突然目の前に花畑があらわれることがあります。高山植物は生育期間が短いため、いっせいに花が咲くのが特徴です。厳しい冬を越え、開花した高山植物は春を告げる使者です。色や形、特徴を知っておくと登山や山歩きがさらに楽しくなるでしょう。

記事の目次

  1. 1.春の山を彩る高山植物
  2. 2.春の高山植物【白い花】
  3. 3.春の高山植物【黄色い花】
  4. 4.春の高山植物【ピンクの花】
  5. 5.春の高山植物【紫色の花】
  6. 6.春の高山植物【青い花】
  7. 7.春の高山植物【そのほかの色】
  8. 8.春を告げる高山植物を愛でよう

春の高山植物【ピンクの花】

①アカハナユキワリソウ

Photo by pika1935

ユキワリソウはキンポウゲ科ミスミソウ属の春の野草です。まだ雪が残っている時期にいち早く雪を割るように花を咲かせることから、この名前がつきました。花色がとても豊かな草花で、ピンクのほかに、白や紫、青や複数の色が混ざったものなどがあります。一重、八重、千重など花の形も豊富です。花茎は10cm程度で、先に3個~7個ほどの可憐な花を咲かせます。

②イワウチワ

イワウチワは、半日陰の岩場を好んで生え、葉がうちわの形に似ているのが名前の由来です。草丈は10cmくらい、花の直径は2.5cm~3cmでピンク色が多いですが、ごくまれに真っ白な個体もあります。イワウメ科イワウチワ科の春の野草で、日本固有種です。イワウチワは変種が3種類ほどありますが識別が難しく花ではほぼ見分けがつかないため、葉の特徴と自生している場所で判断します。

ボタニ子

ボタニ子

イワウチワのほかに、トクカワソウというのとオオイワウチワっていうのがあるの。自生地が違うそうだけど、見分けるのは難しそうね。

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イワウチワの育て方!かかりやすい病気や予防法も解説
イワウチワは日本の山林に自生する野花のひとつです。温度と湿度の管理が大変ですが、ポイントをおさえれば育て方そのものは難しくはありません。この記事ではイワウチワの育て方を解説します。水やりの仕方や病気の予防法も解説するので、参考にしてくださいね。

③タマサキサクラソウ

タマサキサクラソウは草丈が低めの草花が多い高山植物の中では、かなり大きい春の野草です。タマサキサクラソウは別名、プリムラ・デンティキュラータといいます。手毬のようなぽんぽんとした丸い形に小さな花が集まり、花茎は20cm~45cmと大型です。花色は多く、ピンクのほかに濃い紅色、赤、白、紫、ラベンダー色などがあります。ネパールや中国のヒマラヤ山脈付近が原産地です。

④ツガザクラ

Photo by Kabacchi

ツガザクラは、針葉樹のツガに葉の形が似ていることと、花が桜のような淡いピンク色をしているのが名前の由来です。ツガザクラの葉は地を這うようにして岩陰に自生し、花茎は濃いピンク色をしています。平成31年には、愛媛県新居浜市の銅山峰の自生地が国の天然記念物に指定されました。ツツジ科ツガザクラ属の草花で日本固有種です。

⑤ムシトリスミレ

ムシトリスミレは、タヌキモ科ムシトリスミレ属の食虫植物ですが、図鑑にも載っているれっきとした高山植物です。外来種のムシトリスミレは園芸種として市販されていますが、この種はほとんど出まわりません。亜高山帯~高山の岩場に自生している日本固有種です。ムシトリスミレは1本の花茎に花は1輪で、ピンク~紫色の花が咲きます。

ボタニ子

ボタニ子

葉が長い楕円形をしていてね、タンポポみたいに地面に沿って丸くロゼット状に広がるの。その葉には細かい毛がびっしり生えているのよ。

ボタ爺

ボタ爺

その毛の先には粘液がついててな、ムシが触ると動けなくなるんだの。それを栄養として吸収するんだ。

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ムシトリスミレとは?虫の捕らえ方など特徴や上手な栽培方法を解説!
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⑥ヤマイワカガミ

ヤマイワカガミはヒメイワカガミの変種で、イワウメ科イワカガミ属の春の野草です。自生地は中部東海地方に限られ、静岡県や山梨県で見られます。花は1cm~1.5cmのラッパ型で、花びらの先が細かく裂けているのが特徴です。花茎は10cm~20cmで5個~10個の花をつけます。日本の固有種で、淡いピンク色のほかに白いものも多いです。

春の高山植物【紫色の花】

①アツモリソウ

アツモリソウはラン科アツモリソウ属の山野草で、北上するほど低山や里山で見られます。袋の形をした部分が、平敦盛(たいらのあつもり)のホロが風で膨らんだようすに似ているのが名前の由来です。花は3cm~4cmで花茎は30cm~40cmです。アツモリソウは盗掘、乱獲されることが多い植物で、1997年に特定国内希少野生動植物類に指定され、違反して採取すると罰則があります。

ボタニ子

ボタニ子

アツモリソウは色も豊富で紫だけじゃなく、白や緑、黒に近い赤などもあるの。袋の部分と花びらの色が違ったり、斑点があったりするわ。

ボタ爺

ボタ爺

不思議な形のアツモリソウは、専門の図鑑が出ているくらいマニアには人気があるんだの。

ボタニ子

ボタニ子

だからといって、野生に生えているものを持って帰ってはだめよ。ルールは守りましょうね。

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ラン科の中でも最も大きな花を咲かせ、その特徴的な見た目から自生するアツモリソウは乱獲や盗掘で絶滅危惧種に指定されるほど。そんなアツモリソウとはいったいどんな植物なのでしょうか。名前の由来、分布や見分け方、気になる育て方も紹介します。

②オキナグサ

Photo by KOREA.NET - Official page of the Republic of Korea

オキナグサは日当たりのよい場所を好む、キンポウゲ科オキナグサ属の植物です。絶滅危惧種に指定されています。近年里山の管理をする人が減り、土地が荒廃して減ったのが原因です。しかし、全草毒草有毒で家畜が食べないため、牧草地などに群生している場所もあります。オキナグサの実は白い毛で覆われており、それを老人「翁(おきな)」の白髪に見立てたのが名前の由来です。

ボタニ子

ボタニ子

オキナグサって下を向いて咲くのよ。紫色の花びらに見えるのは実はガクで、花びらはないんですって。

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フワフワとした白い毛と情緒ある花の姿が人気のオキナグサは、観賞用として栽培する人も多いのですが、育て方にはコツが必要です。そこでオキナグサの基本的な育て方と栽培方法を、水やりや肥料など管理のコツとあわせてわかりやすく解説します。

③カタクリ

Photo by ai3310X

カタクリは昭和40年代までは、東京の里山でも見られた高山植物ですが、土地開発などで数を減らしました。カタクリは花が咲くまでに7年~8年もかかる多年草です。花を咲かせても次の年に栄養が足りなければ、葉を1枚だけ出して花を咲かせる栄養をためます。ユリ科カタクリ属で花は花びらとガクが大きく反り返るのが特徴です。

ボタニ子

ボタニ子

カタクリの根茎ってすごく深いところにあるんですって。この根茎からとったでんぷんが本当の片栗粉なのよ。

ボタ爺

ボタ爺

市販されている片栗粉は、ジャガイモのでんぷんが主原料だぞ。

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カタクリの育て方!季節ごとの水やりのコツや種まきや分球での増やし方
カタクリは、春の訪れと共にピンク色や黄色の花を咲かせる球根植物です。開花が終わると地上部が枯れ込み、初夏には休眠期に入ります。育て方が比較的簡単で、植えっぱなしでも毎年開花を楽しめるのが魅力です。そんなカタクリの育て方や、増やし方をみていきましょう。

④ミヤマオダマキ

ミヤマオダマキは里山に生える普通のオダマキよりも小ぶりです。そのため別名はヒメオダマキといいます。オダマキの原種と考えられる、キンポウゲ科オダマキ属の多年草です。草丈は15cm~20cmで、本州の中部以北の高山~北海道に自生しますが、北海道では海岸の岩場でも生息しています。紫色が主ですが、白やピンク、赤などもあります。

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ミヤマオダマキとは?その特徴や育て方を解説!オダマキとの違いは?
ミヤマオダマキは、鮮やかな青紫の花をうつむき加減に咲かせます。花姿がかわいらしいと注目を集めています。しかし、その可憐な見た目とは裏腹に過酷な環境で育つということをご存じでしょうか。今回は、そんなミヤマオダマキの特徴や自宅での育て方を紹介します。

⑤ムラサキケマン

Photo by harum.koh

ムラサキケマンは湿った土地を好む、里山の山野草です。ケシ科キケマン属で、全草がやわらかいのが特徴です。花は2cmほどの筒の形をしており、花先は花びらが開き、後方は袋状になっています。種は触るとはじける蒴果(さくか)です。種にはエライオソームというアリが好む物質がついており、アリに運んでもらって、子孫を増やします。

ボタニ子

ボタニ子

花が咲く前のムラサキケマンの葉はセリに似ているの。でも毒草だから食べちゃだめよ。

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ムラサキケマンの育て方!花や種などの特徴と増やし方のポイントを解説
ムラサキケマンは日本全国で見られる植物です。赤紫色の個性的な花を咲かせます。育て方は難しくないので初心者でも栽培できるでしょう。ムラサキケマン花をたくさん咲かせる育て方のコツは、2回ある発芽時期と、増やすための種の取り方です。

⑥ラショウモンカズラ

ラショウモンカズラはシソ科としては大きな花を咲かせる、ラショウモンカズラ属の山野草です。花は個性的で唇の形をしており、下唇が発達して前に出て、色も白地に濃い紫の斑が入ります。ほかの部分は青紫色です。草丈は20cm~30cmで日当たりのよい場所を好みます。羅生門で渡邊綱(わたなべのつな)が切り落とした、鬼または鬼女の腕に例えた名前がつけられました。

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ラショウモンカズラとは?名前の由来や特徴・見分け方・育て方を紹介!
ラショウモンカズラは青紫の花が特徴の多年草です。そんなラショウモンカズラについての、名前の由来、特徴、見分け方、花言葉や、上手に育てる方法、増やし方について解説します。ラショウモンカズラの育ててみて、自宅で山野草を鑑賞しましょう。

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春の高山植物【青い花】

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