生態別のコバエ対策
対策と駆除①卵
コバエの大量発生を防ぐなら、卵のうちに駆除するのがベストです。しかし、コバエの卵は非常に小さく1mm程度しかありません。卵の色も半透明なので、肉眼で確認するのは難しいでしょう。このためコバエの卵対策として大切なのは、しっかり清掃してコバエの産卵場所を作らないことです。
対策と駆除②サナギ
コバエは非常に成長サイクルが早い虫です。「気づけばもうサナギになっていた」ということも珍しくありません。コバエのサナギは卵より少し大きく、見た目は黒ゴマや白ゴマ、米粒に似ています。台所などに落ちているなら、サナギや抜け殻の可能性が高いです。早急に掃除機などで除去し、しっかり密封してから捨てましょう。
コバエのサナギは、どの種類も数日で羽化します。回収が終わったら抜け殻も一緒に早急に処分しましょう。
コバエのサナギは硬い殻で覆われているから、殺虫剤が効きにくいんだ。だから抜け殻ごとまとめて処分する撃退法が有効なんだよ。
対策と駆除③成虫
成虫の撃退法として、殺虫剤による駆除が有効です。コバエの殺虫剤は多種多様の市販品が流通しており、トラップ型、スプレー型、捕獲型の3種類があります。トラップ型や捕獲型はコバエが発生しやすい場所に設置し、スプレー型は飛びながら移動するコバエに噴射するのが基本です。ただし、市販の殺虫剤のなかには、4種類すべてに対応していない製品もあります。購入前に確認しておきましょう。
ハエタタキは有効?無効?
ハエタタキは、ハエの成虫の撃退法として名前があがるアイテムです。しかし、ハエは飛びながら方向転換ができるほど飛行能力に長けています。飛行能力に加え、体が小さく肉眼で確認しにくいコバエを駆除するのは難しいでしょう。コバエの成虫の駆除は、スプレー型の殺虫剤を用いるのが無難です。
種類別のコバエ対策
①ショウジョウバエがいなくなる方法
コバエのなかでもショウジョウバエは、特によく見かけられる種類です。研究も進んでおり、世界で2500種、日本では311種存在することが確認されています。ショウジョウバエの好物は、腐敗した野菜、過熟した果物、アルコール類、乳製品、味噌やしょう油などの発酵物などです。屋内ではキッチンの三角コーナーやリビングのゴミ箱など、生ゴミを集積・廃棄する場所でよく見られます。
ショウジョウバエは卵をどこに産む
ショウジョウバエはコバエ類のなかでは研究が進んでいて、どこから飛来するか、交尾後、卵をどこに産むのかについても解明されています。屋内では生ゴミを捨てるキッチンの三角コーナーやリビングのゴミ箱のほか、アルコール飲料の空ビンや熟し過ぎた果物に卵を産みつけることが多いです。野外では食材を扱う施設や、貯木場の丸太の腐った樹皮から大量発生した例があります。
ショウジョウバエの効果的な対策と駆除
効果的なショウジョウバエ対策として、徹底的な清掃・掃除があげられます。特に、ショウジョウバエの発生源となる生ゴミを入れるゴミ箱は、蓋つきのものを使い、こまめに出すことです。調味料や食品にも集まるため、「食後の食器はすぐに洗う」「野菜や果物は常温で放置しない」など、普段から清潔な環境を維持することを心がけましょう。
めんつゆトラップが効果的
ショウジョウバエ対策として、よく用いられているのが「めんつゆトラップ」です。ショウジョウバエの調味料のにおいを好む特性を利用した手作りのトラップで、家庭にある材料だけで作成できます。めんつゆトラップを成功させるポイントは、うまく引き寄せるために、においが強い濃縮タイプのめんつゆを使うことです。ほかのコバエ類には効果が薄いので注意しましょう。
ショウジョウバエがどこから飛んでくるのかを把握してから、設置する場所に決めるのも成功のポイントですよ。
めんつゆトラップの材料
- 空のペットボトル(500mL):1本
- めんつゆ(濃縮タイプ):適量
- 水:めんつゆの倍量
- 洗剤:少量
めんつゆトラップの作り方
- ペットボトルの底を、5cmくらいの高さで切り出す
- 水を1cmくらいの高さまで入れる
- めんつゆを加え、しっかりかき混ぜる
- 洗剤を数滴たらして、表面に膜が張ったら完成
- 完成後は任意の場所に、1週間配置し、その後は早急に処分する
- 処分する際は、古新聞などで水分を吸収後、ビニール袋などで密閉してゴミに出す
めんつゆトラップの設置は一週間を越えると、どこからか卵を産みつけられて、コバエの新たな発生源になる恐れがあるんだよ。
②ノミバエがいなくなる方法
ノミバエは体長2mm前後と、コバエのなかでも特に小さい虫です。このため、どこから侵入してくるのかがわかっていても、防ぎにくいという厄介な特徴を持っています。しかも、ノミバエは生ゴミや汚物が堆積する場所を好み、集まる特性を持つため、実際に飛びながら菌をまき散らしている恐れがあります。大量発生して自在に飛び回る姿も、見る人に不快感を与えるでしょう。
ノミバエは卵をどこに産む
ノミバエが卵をどこに産むかというと、非常に多彩です。家庭内において発生源となりやすいのは、キッチンの三角コーナーやリビングのゴミ箱などの生ゴミが堆積しやすい場所、汚物やヘドロが付着しやすい排水口です。種類によっては動物のフンに産卵するので、ペットがいる家庭も気をつけましょう。また、肉類などの食品に卵を産みつけることもあります。この場合は「ハエ症」の原因になるので要注意です。
ハエ症とは、ハエの卵や幼虫が体内に入ることで、腹痛や下痢を引き起こす病気のことです。
日本で起こるハエ症の約半数の原因は、ノミバエだといわれているんだ。
効果的な対策と駆除
ノミバエの対策として、真っ先にあげられるのは発生源となりやすい場所の清掃です。「生ゴミは溜めずにすみやかに出す」「風呂場やトイレなどの水回りを定期的に清掃する」など、常に清潔な環境維持を心がけましょう。徹底的に駆除したいときは、専門業者に頼むのも効果的です。予防対策としては、アロマオイルが効果を発揮します。小皿にオイルを垂らすか、ディフューザーに入れて使うとよいですよ。
アロマオイルと湯を混ぜたものを、発生源になりやすい場所にスプレーするのも効果的ですよ。
ノミバエが嫌う香りは、ペパーミント、ラベンダー、ローズマリー、ユーカリだよ。好みにあわせて使おうね。
③キノコバエがいなくなる方法
キノコバエは同じコバエ類でも、ショウジョウバエやノミバエとは好物が異なる虫です。成虫は腐敗した植物や樹皮、幼虫はキノコの菌糸を餌とします。このため家庭内では鉢植えの観葉植物周辺で発生することが多いです。気温30℃、湿度70%という高温多湿な環境を理想とするため、梅雨時~夏の時期にかけて盛んに活動し、繁殖します。
キノコバエは梅雨時~夏以外の時期でも、気温30℃、湿度70%という条件がそろうと繁殖するから注意してね。
キノコバエは卵をどこに産む
キノコバエが交尾後、卵を産みつけるのは、有機物を豊富に含み、適度に湿った土壌です。家庭内では鉢植えの観葉植物、腐葉土を入れたカブトムシやクワガタムシの飼育ケースが該当します。理由は有機物がキノコバエの餌になるからです。コバエが卵をどこに産むのかは、コバエの好物によって決まりますが、キノコバエは土中に産むため、卵や幼虫を見つけるのはコバエのなかでも難しいといわれています。
効果的な対策と駆除
キノコバエがどこからか家に侵入した場合、鉢植えの観葉植物を発生源とすることが多いため、観葉植物の管理の徹底が対策の基本となります。植え替えの適期は土を入れ替えて、卵のついた土を除去しましょう。有機肥料の使用を控えるのもおすすめです。キノコバエの幼虫が餌とする土中の有機質を減らせます。虫除け効果がある木酢液の定期散布も効果的ですよ。
木酢液は、水で200倍~500倍に希釈し、霧吹きで葉面に定期散布します。散布の頻度は、1日~3日に1回のペースがベターです。
小さい鉢植えなら水没法がおすすめ
ミニ観葉植物など、小さい鉢植えなら「水没法」での駆除がおすすめです。鉢植えが完全に入るサイズの容器を用意して鉢植えを入れた後、鉢植えが沈むまで水を入れます。しばらくすると、土中に潜んでいたキノコバエの卵や幼虫が浮いてくるため、網などですくい取り、すみやかに処分しましょう。その後は鉢植えを取り出して、外でしっかり乾かせば作業完了です。
④チョウバエがいなくなる方法
チョウバエは湿気が高い場所を好むコバエ類です。このため家庭ではキッチン、トイレ、風呂場などの水回りで多く見られます。泥状の有機物を餌とするため、ヘドロが付着するキッチンの排水管のほか、毛髪や石けんかすなどの汚れがつく風呂場や洗面台がおもな発生源です。
チョウバエは卵をどこに産む
チョウバエが卵をどこに産むかというと、キッチンの排水口や排水管、風呂場の浴槽の空洞部分の底、トイレの水洗タンクなどです。チョウバエはヘドロや汚泥が蓄積しやすい水場に産卵します。特に普段汚れが目につきにくい排水口や排水管は、チョウバエにとって格好の産卵場所となるため、注意が必要です。
効果的な対策と駆除
チョウバエの餌や繁殖場所となるヘドロや汚泥をためないように、水回りの定期清掃を徹底します。排水管は市販のパイプクリーナーで汚泥を除去しましょう。チョウバエの卵と幼虫は60℃以上の熱に弱いため、湯をかけて流す方法も効果があります。ただし、湯の温度は60℃でとどめましょう。60℃以上の熱湯にすると、配水管が傷んでしまうからです。
ボタニ子
次は「コバエの駆除におすすめの殺虫剤3選」だよ。
コバエは家庭だと、生ゴミや水回り、観葉植物に集まる種類が多いから、これらを重点的に掃除しよう。