桜の剪定方法
桜の剪定に必要なもの
必要な道具
- アルコールや熱湯で消毒したハサミやノコギリ、またはチェーンソー
- ハシゴや脚立
- 園芸用の手袋
- 長袖長ズボン
- 癒合剤
桜を剪定するときに雑菌が入ると枯れることもあるため、使用するハサミやノコギリなどの道具はあらかじめ熱湯やアルコールで消毒しておきます。高い場所の枝を剪定する必要がある場合、ハシゴや脚立が必要です。怪我の防止のため、厚手の手袋、長袖長ズボンの着用がおすすめです。強剪定したあとに塗る防腐剤も用意しておきましょう。
強剪定って?
強剪定とは、太い枝を短く切り詰めることです。樹形が変わるほど多くの枝を落とすことも、強剪定と呼ぶことがあります。
細い枝の剪定方法
桜の細い枝の剪定方法は、剪定ばさみで切るのが一般的です。細いか太いかはだいたいの判断ですが、親指くらいの太さなら剪定ばさみで根元から切ってしまいましょう。切り方の注意点は枝に対して、直角に切ることです。直角に切ることにより、傷口の面積が小さくなります。切った枝の断面に心材がある場合は、消毒のために防腐剤をぬってください。
ボタニ子
ボタ爺
ギザギザの切り口は、あとでノミやナイフで傷口をまっすぐにしておくとよいぞ。消毒剤が塗りやすく、浸透しやすいからの。
心材(しんざい)とは?
木の断面の中心で、色が濃くなっている部分を心材と呼びます。死んだ細胞の集まりで、おもに木がたっていることを支えます。
太い枝の剪定方法
太い木を剪定することを、強剪定といいます。樹形が変わるような数を剪定するときも、強剪定といいますが、どちらも素人には難しいでしょう。自宅の庭の桜の枝が、隣りの家の庭や道路に張り出して迷惑をかける場合は、強剪定しなければなりません。剪定方法はノコギリで切れる枝であればよいですが、難しい場合はチェーンソーを使用します。
ボタニ子
太い枝を剪定するのは、高い場所が多いから注意点があるわ。危ないから1人で行わず、誰かと一緒に脚立やハシゴを使用してね。
ボタ爺
やむなく高い場所や太い枝を強剪定する場合は、無理をせず業者や地方自治体に相談するのがよいの。
バークリッジ剪定法
太い枝を剪定する際の注意点に、バークリッジ剪定法というものがあります。剪定する太い枝のもとにシワが寄っている部分がありますが、その部分を必ずの残すというものです。植木にはカルスという新生細胞があり、自然に剪定された場所を癒合して治す働きをします。太い木を剪定する場合は、このシワの部分を残し、さらに消毒用に癒合剤をぬるとよいでしょう。
桜の剪定に適した時期
3月・4月・5月・6月
桜の剪定は春~秋の時期は不向きです。暖かくなりはじめる3月ごろ蕾が膨らみ、地域差はありますが4月ごろは開花時期です。この時期は生育が盛んなため、剪定をすると樹液が大量に流れ出てしまいます。植木にとっての剪定は、外科手術と同じです。樹液が流れ出すぎると大量出血と同じことになってしまいます。5月~6月も葉桜になり生育期にあたるため、剪定は避けましょう。
ボタニ子
桜の花が咲いていたり葉桜になったりする時期の、3月~6月は枝が見えづらいわね。どの枝を剪定したらよいか、わらかないわ。
ボタ爺
暖かくなって病害虫も活発になる時期だの。もしも桜の木の中に病害虫が入りこんだら、広がりやすくなってしまうぞ。
11月
桜の剪定に特に向いている時期は、11月です。桜は落葉樹で、冬の休眠期に向けて葉が落ちます。枝が見やすくなり枯れ枝や枯れる可能性のある枝など、剪定するべき枝が探しやすいです。晩秋にあたる11月は病害虫の活性も落ち、さらに桜も完全に休眠しているわけではないため、万が一病害虫の被害にあいそうになっても抵抗する力があります。
ボタニ子
剪定に向いている時期ではあるけれど、間違っても手で折ったりしちゃだめよ。傷口がギザギザになるわ。
12月~2月
11月に剪定できなかった場合、止むを得ず12月~2月に剪定する場合もあります。この時期は、桜は完全に休眠しているため、抵抗力が低くなっていますが、3月や4月に剪定するより負担が少なくてすみます。枯れ枝も見つけやすいでしょう。心材が出るような強剪定をする場合は、必ず消毒用に防腐剤をぬってください。もしも病害虫の被害にあった場合、枯れる可能性があるからです。
桜の剪定の注意点と剪定後の手入れ
剪定しすぎない
桜の剪定の適期である11月ごろに剪定したとしても、樹形が変化するほどの強剪定はおすすめできません。庭に植えた桜が道路や別宅の庭などに迷惑をかけてしまう状況であればしかたありませんが、そうなる前に小枝の段階で剪定をしておくのがおすすめです。剪定は樹木にとって手術にあたります。いくら防腐剤をぬったとしても、傷口が多すぎると木が弱って枯れる可能性があります。
桜を剪定した切り口を見る
桜の枝、特に太い枝を強剪定すると切り口の色が違うことがわかります。これは桜に限ったことではなく、樹木によく見られることです。中心が色濃く変色しており、周囲が白っぽい色をしています。中心を心材、周辺の色の白い部分を辺材(へんざい)といいます。心材はすでに死んだ細胞でできており、樹木を支えるのが仕事です。辺材は生きた細胞でできています。
心材には抵抗力がない
辺材は生きている細胞で、病害虫に対して抵抗する力があります。しかし、中心の心材はすでに死んだ細胞で、病害虫にかかると抵抗ができず腐敗する原因になります。これは桜に限ったことではなく、樹木全般にいえることです。剪定した切り口の中心が色濃い場合、防腐剤を塗って保護することが必要です。できれば剪定した枝にはすべて、防腐剤をぬるのをおすすめします。
トップジンMペースト(日本曹達)
参考価格: 2,343円
日本曹達の殺菌剤、トップジンMペースト1kgはオレンジ色をした防腐殺菌剤です。剪定した樹木の切り口に塗ることで、腐敗や病害虫から植木を守ります。墨汁を混ぜるとなお殺菌作用が強くなるためおすすめです。200gの小さいサイズもあります。
桜を剪定して理想の樹形を楽しもう
桜は春を代表する樹木の一つで、毎年花を楽しませてくれます。庭に植えてもよいですし、桜並木を見るのもよいでしょう。しかし、花が咲いたらそれで終わりではなく、晩秋の剪定によって理想の樹形を保てます。太い枝は切るのが大変ですが、若木のうちに枯れ枝をとり小枝を剪定して樹形を整えておくと、次の年もまたきれいな樹形の桜を楽しめます。
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剪定ばさみで切りにくい場合は、ノコギリを使用しましょうね。のこぎりの切り口は、ギザギザになりやすいから注意点があるわ。