トネリコとは?樹形など庭木としての特徴をご紹介!シマトネリコとの違いは?

トネリコとは?樹形など庭木としての特徴をご紹介!シマトネリコとの違いは?

神話やゲームに登場するけど実物はあまり見かけないトネリコ。実は日本に昔から生息し、人々の生活にも関わってきました。トネリコの特徴や、植木としてメジャーな近縁種・シマトネリコとの違いを解説します。トネリコの特徴をつかんで、見かけたら気付いてあげてくださいね。

記事の目次

  1. 1.トネリコを見てみよう
  2. 2.「トネリコ」の語源
  3. 3.トネリコのある景色
  4. 4.トネリコの親戚たち
  5. 5.おわりに

トネリコのある景色

はさ木としての利用

新潟県の田園地帯。水田が広がる平地を電車の車窓から眺めると、道に沿ってまっすぐな樹形の木が並んでいるのが見えます。かつて日本各地の田園地帯に見られたという、はさ木並木です。

ボタニ子

ボタニ子

特徴的な樹形だね。太い幹がまっすぐ伸びて、こんもりと葉っぱが茂ってる。ところで「はさ木」ってなに?

「はさ木」(または「はざ木」)は漢字で「稲架木」。そのまま、稲を架ける木という意味です。刈り取った稲を干して乾かす作業を「はさかけ」といいますが、昔は「はさ木」どうしの間に横木を渡し、その上にはさかけしていました。

ボタニ子

ボタニ子

そうなんだ。なんで「はさ木」にトネリコが選ばれたんだろ。

湿った環境を好み水田の近くに植えられること、柱のように真っ直ぐな樹形になるため横木を渡しやすいこと、成長が早く頑丈な大木になること、などが理由として考えられます。

ボタニ子

ボタニ子

トネリコの特徴とか、好きな環境とかをよく知ってたのかな。昔の人の知恵だよね!

トネリコの親戚たち

トネリコは日本の中部地方以北に分布しますが、トネリコの近縁種も加えるとその分布は亜熱帯にまでおよびます。形の違いや見分け方、利用方法を比べてみましょう。

シマトネリコ

シマトネリコ 5号 全長70CM前後 8本以上の株立ち

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基本データ

  • 標準和名:シマトネリコ
  • 学名:Fraxinus griffithii
  • 分類:モクセイ科トネリコ属
  • 分布:沖縄、台湾、フィリピン

名前に「島」とつくように、琉球諸島や台湾に分布しています。トネリコは落葉樹ですが、シマトネリコは常緑樹です。

Word Check

  • 落葉樹(らくようじゅ):冬に一斉に落葉して春に新しい葉をつけることで、毎年葉を更新する木。
  • 常緑樹(じょうりょくじゅ):冬に一斉に落葉しない木。落葉しないわけではなく、2〜3年で全ての葉が入れ替わっている。

白い花が咲き、植木に使われる

https://www.uekipedia.jp/常緑広葉樹-サ行/シマトネリコ/

シマトネリコの花(庭木図鑑植木ペディアより引用)

シマトネリコは樹高15m以上に生長し、株立ちの樹形になります。

ボタニ子

ボタニ子

公園の植木でたまに見かけるね。白い花が綺麗!

トネリコの花は花弁が無く、茶色い雄しべが目立ちます。一方シマトネリコの花には白い花弁があり、5〜6月に樹冠を彩ります。

トネリコよりも厚手の葉

花が咲いていない時期の見分け方のポイントは葉の厚み。トネリコの葉は淡い緑色をしており薄手です。一方シマトネリコの葉は厚みがあり表面がテカテカしています。

ボタニ子

ボタニ子

なんでシマトネリコの葉っぱはテカテカしてるんだろう?

それはシマトネリコが亜熱帯の常緑樹であることに関係します。冬に葉が凍ったりしないので、一年中葉を茂らせて光合成ができます。その代わり、直射日光や風、害虫などにさらされる期間も長いので、葉っぱ一枚一枚の強度を上げる必要があります。シマトネリコの葉がテカテカしているのは、葉を保護するクチクラ層が厚く発達しているためです。

ボタニ子

ボタニ子

常緑樹は葉っぱの寿命が長いから、それだけ厚く丈夫にしておきたいんだ!

一方落葉樹は、多少葉が傷ついたところでどのみち冬に落葉します。つまり、葉っぱ一枚一枚をあまり頑丈にしても栄養の無駄遣い。そのため落葉樹のトネリコは、常緑樹のシマトネリコよりも葉が薄手になっています。

庭木や街路樹に多い

シマトネリコはもともと本州に分布しない植物ですが、トネリコよりも都市の環境に強く、冬に葉が散らず、花も楽しめるため、庭木や植木によく使われます。ただし生長が早いため、庭木として植える場合は十分なスペースを確保しましょう。大型化させたくないのであれば、園芸店や造園業者に相談して剪定をおこない、樹形を整えましょう。

トネリコとシマトネリコの見分け方まとめ

  • 花:トネリコは花弁が無く、茶色い雄しべが目立つ。シマトネリコは白い花弁をつける。
  • 葉:トネリコは落葉樹で葉は薄い。シマトネリコは常緑樹で葉が厚くテカテカしている。

アオダモ

https://www.uekipedia.jp/落葉広葉樹-ア行/アオダモ/

アオダモの花(庭木図鑑植木ペディアより引用)

基本データ

  • 標準和名:アオダモ
  • 学名:Fraxinus lanuginosa f. serrata
  • 分類:モクセイ科トネリコ属
  • 分布:北海道、本州、四国、九州、南千島、朝鮮半島

バットの材料になる

アオダモは山地に生える落葉樹です。アオダモの「ダモ」は、トネリコの別名「たむき」が訛ったものです。材が丈夫で、硬式野球のバットに使われます。

イチローのバット、再び黒に 背景にアオダモ消滅 :日本経済新聞
2016年の記事です。植物の資源量がスポーツにも影響する例です。

近縁種との見分け方

葉の形や樹形はトネリコによく似ていますが、花が咲けば違いは一目瞭然。トネリコの花には花弁がありませんが、アオダモは白く細長い花弁をたくさんつけます。シマトネリコとの見分け方は、落葉樹か常緑樹か。アオダモは落葉樹である点がシマトネリコと違います。亜熱帯原産のシマトネリコより寒さに強いため、北日本ではシマトネリコよりも庭木や植木に向いているでしょう。

おわりに

トネリコの葉(庭木図鑑植木ペディアより引用)

トネリコにはニカワやワックス、はさ木などの利用方法があり、昔から人々に親しまれてきました。鮮やかな花こそ咲きませんが、青々とした葉は庭木としても鑑賞できます。ただしもともと湿地の植物なので、都市部での栽培難易度は高め。亜熱帯原産の近縁種シマトネリコの方が庭木としてはメジャーですが、生長が早く大型化しやすいので剪定が必要です。

ボタニ子

ボタニ子

街路樹や植木で見かけるのは、だいたいシマトネリコなんだね。でもトネリコの柔らかそうな葉っぱとか、地味だけどふさふさの花とかも、綺麗なんだろうな。

庭木や公園ではシマトネリコに押されがちですが、植物園や昔の景観が残された地区などでは立派なトネリコに遭遇することがあります。本記事で触れた新潟県夏井地区のはさ木並木や、岐阜県関市の名無木などは、トネリコとノスタルジックな風景の相性が抜群です。

ボタニ子

ボタニ子

見かけた時にすぐ気付けるように、葉っぱや花の形を覚えておきたいね!

なお植物の基本データ(標準和名、学名、分類、分布)は、山と渓谷社「山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物」(第3版, 2010年)によりました。

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くらどに屋
ライター

くらどに屋

会社の方に畑を1アール借りていろいろやってます。趣味は農業・読書・陶芸・株式投資。

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