ブドウの自宅栽培【開花後~収穫】
花房の成形
花房の成形を行うと実が成長しやすくなり、甘くておいしいブドウが収穫できる可能性が高まります。花房の成形は花が咲きはじめてから実が大きくなる間に行います。花房の根元にある副房を取り除き、伸びすぎた花房の先端をカットしてください。
摘芯
摘芯は枝の伸びすぎを抑えるための作業です。さらに、葉や枝を伸ばす栄養が果実に回りやすくなるため、適度に行うとよいでしょう。棚にしげって混みあっている葉を取り除きます。葉を取り過ぎると返って実の成長に影響が出てしまうため、何枚か残します。
袋かけ
袋かけはブドウに付いた実を保護するために行います。かける袋の素材は紙やポリ袋がありますが、防水加工が施された透明なポリ袋を使用すると、中身が見やすくて便利です。風で飛ばされないよう、針金を使って房に袋の口をしっかりと結びつけます。一度袋をかけたら、収穫するまで外しません。
収穫のタイミング
ブドウは夏から秋にかけて収穫シーズンです。収穫のタイミングは、一粒食べてみて甘みを感じられるかで判断しましょう。ブドウは房の上から熟成されるため、味見するときは下のほうの実で確かめるとよいです。十分熟成しているのが確認できたら、ハサミで慎重にヘタを切り取って収穫します。
ブドウの自宅栽培【病気対策】
ブドウはもともと病害虫がつきやすい作物のため、対策には十分注意を払います。病気は5~7月の雨が多い時期に発生しやすく、放っておくとほかの樹木にも広がります。病気の発生を確認したら、まず発症部分をすべて取り除き、適切な薬剤を散布してください。雨が降る時期の前に、予防のため薬剤を散布しておくことも重要です。
灰色カビ病 | 葉や花穂、実に名前のとおり、灰色のカビが発生する病害 |
晩腐病 | ほとんどの品種に発生。葉に褐色の不規則な斑点が現れたり、花穂が黒っぽく変色したりする |
べと病 | 特に欧州系の品種に発生。初期症状は葉や新しい目に淡い黄色の班点が現れ、やがて真っ白なカビのコロニーが広がる |
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灰色カビ病やうどんこ病の治療に効果を発揮する、水和性の薬剤です。1.2gの個包装になっているため、必要な分量だけ使いやすくなっています。ミツバチやクモといった周囲の有益な昆虫に害がなく、オーガニック栽培でも安心して使用できます。
ブドウの自宅栽培【害虫対策】
春の暖かい時期になると、害虫被害が発生しやすくなります。害虫を見つけたらただちに駆除し、数が多いときは薬剤を使って除去しましょう。つるの中に卵や幼虫が潜んでいる場合もあるため、剪定の際はふくらみやこぶを見逃さないようにします。
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スミチオン乳剤は、ブドウトラカミキリが発生する前に、樹木全体を防除するための消毒剤です。ブドウウスカシバやアブラムシの仲間にも駆除効果が期待できます。液体タイプのため、水で1000倍に希釈して使用してください。
ブドウスカシバ
ブドウスカシバは5~6月ころになると枝の中に産卵し、幼虫が新しいつるを食べてしまいます。発生するとつるに大きなふくらみができるため、冬の剪定時に見つけましょう。ふくらみを発見したらすぐに枝を落とすか、ナイフでつるを裂いて中の幼虫を駆除します。
ブドウトラカミキリ
ブドウトラカミキリは剪定後の枝を枯らしてしまうため、放っておくと果実の数を減らしてしまう厄介な害虫です。4~5月に新しいつるがしおれている場所から根元のほうに辿っていくと、1~2cmの幼虫が見つかります。産卵期にあたる前年の8~9月か、初春に予防対策を行いましょう。
フィロキセラ
ネアブラムシは体長1mmほどで、薄い羽をもつアブラムシの一種です。フィロキセラとも呼ばれており、発生すると葉や枝にこぶを作ります。ネアブラムシに抵抗性のある樹木と接ぎ木することで予防可能です。
ブドウの育て方に関するQ&A
ブドウの花が付かないときは、どう対処すればいい?
ブドウの花や実がつかない場合、肥料を与えすぎている可能性があります。植え付けから何年たっても花が咲かないときは、一旦肥料を中止してみるのも手です。
種なしブドウはどうやって作る?
種なしブドウを作るためには「ジベレリン処理」を行います。ジベレリン液にブドウの房を浸すことで、種がないまま果実だけ成長させられます。ジベレリン処理を行うタイミングは花が咲いた段階です。1度目は開花3日以内、2度目の処理は10~15日以内に行ってください。
ブドウの増やし方は?
ブドウは挿し木や接ぎ木で増やせます。挿し木の場合は秋の剪定時に切り取った枝を保存し、3月ごろになったら土に挿して根付くまで管理します。接ぎ木の場合、用意した台木と主に育てている樹木の枝を切り取り、切り口を密着させて固定してください。病害に抵抗性がある台木と接ぎ木させることで、病気を予防することも可能です。
ブドウ栽培のコツを覚えれば自宅でも収穫できる!
ブドウを自宅で栽培するときは、生育に適した土壌や環境での管理が重要です。また、こまめに病害虫のチェックを行い、発生を予防しましょう。初心者でも育て方が比較的容易な品種を選び、ひとつひとつの工程を確実に行っていけば、自宅でもブドウを収穫することは難しくないでしょう。育て方のコツを覚えて、ぜひブドウ栽培に挑戦してみてください。
出典:写真AC