チャイニーズハットとは
チャイニーズハットとは、シソ科ホルムショルディア属の常緑低木のことで、別名「タヒチアンハット」とも呼ばれています。ガクの形が中国の帽子に見えることが名前の由来で、初夏~秋にかけて蝶々が羽ばたくような姿の愛らしい花を咲かせます。耐寒性に弱いため冬越しには注意が必要ですが、花姿が美しく育てやすく、観賞用として人気です。
流通しているのは2種類
チャイニーズハットとして流通しているのは「ホルムショルディア・サンギネア」と「ホルムショルディア・テッテンシス」の2種類です。サンギネアの英語名は「Chinese hat」といい、インド・ヒマラヤが原産で、花色はオレンジや黄色をしています。テッテンシスは熱帯アフリカ原産で、花色はピンクや紫色をしており、英語名は「Tahitian hat」です。
ボタニ子
チャイニーズハットの花言葉
チャイニーズハットの花言葉は「かわいらしい」と「着飾る」です。「かわいらしい」は中国の昔ながらのコロンとしたかわいい帽子を思わせるガクの様子に、「着飾る」はリボンのように華やかな花をたくさん咲かせる様子にそれぞれ由来します。すてきな花言葉を持つチャイニーズハットは8月10日の誕生花でもあり、贈り物にもおすすめです。
チャイニーズハットの特徴
①花の咲き方
チャイニーズハットは花の咲き方がとてもユニークです。まず花のように見える五角形のガクが開き、中心部分に蕾がつきます。蕾は徐々に濃く色付き、やがて雄しべや雌しべを長く伸ばして開花します。花が散った後もガクはしばらく色付いていますが、徐々に緑白色に変色していき、その様子は何とも神秘的です。開花時期は2カ月ほどですが、ガクも含めると長く楽しめます。
ボタ爺
常緑樹だから通年楽しめ、花やガクは主役にもわき役にもなるんじゃ。鉢植えにして庭に飾っても、寄せ植えにしてもかわいく仕上がるぞ!
②葉
チャイニーズハットはシソ科ということもあり、葉の形はどことなく紫蘇に似ています。種類によって葉の縁にはギザギザが多いものや少ないタイプがあります。枝に対生につく葉は楕円状で、色は濃い緑色です。緑色が美しく、花とのコントラストがとてもすてきです。
③樹高
チャイニーズハットは低木であり、環境によっては3m以上にまで成長します。ただし日本では冬越し対策の関係もあり、基本的に庭に地植えするのではなく鉢植えで育てるため、剪定によってコンパクトに整えるのが一般的です。半つる性で成長もよく樹形も整えやすいことから、さまざまな花と一緒に寄せ植えにするのもおすすめです。
チャイニーズハットの育て方【栽培カレンダー】
開花時期について
開花時期はテッテンシスとサンギネアで異なります。テッテンシスは7月~8月の暑い時期に咲き、環境によって秋まで咲き続けます。サンギネアの開花開始時期は秋の終わりごろです。次々と花開き、寒い時期である12月ごろまで花を咲かせます。2種類を寄せ植えにしておくと、夏~冬の長い間花を楽しめます。
チャイニーズハットの育て方【日常管理】
①準備
必要なもの
- チャイニーズハットの苗
- 植木鉢
- 用土
- 鉢底石と鉢底ネット
チャイニーズハットの苗は3月終わりごろから出回り始めるため、そのタイミングで元気のよいものを購入しましょう。天気や季節によって置き場所を自由に移動させやすい、鉢植えでの管理をおすすめします。植木鉢の大きさは、苗のサイズよりひとまわり大きいものを準備してください。
用土の準備
市販の草花用培養土を使用するのが簡単でおすすめです。自作する場合は水はけのよい土になるように配合しましょう。赤玉土7:腐葉土2:ピートモス1などが適しています。
②栽培環境
日光を好むため、日当たりのよい場所で管理しましょう。サンギネアは日光を浴びると花色が濃く、日にあまり当たらないと薄くなります。夏の高温には強めですが、日差しが強すぎて乾燥がひどい場合は、木陰などに移動させてください。暖地であれば庭に地植えしたり外で管理したりして冬越しできますが、冬の寒さは苦手なため、基本的には室内で管理しましょう。
③植え付け・植え替え
植え付け
植え付けの適期は4月~5月ごろです。植木鉢に鉢底ネットと石を敷き、用土を6割ほど入れたら、真ん中に苗を置きましょう。鉢の縁から2~3cmの高さを目安に上から土を足してください。土表面をかるく整えて完了です。
植え替え
植え替えの適期も植え付けと同様に4月~5月ごろです。根詰まりや生育悪化などで枯れてしまわないためにも、2年に1回を目安に植え替えましょう。古い鉢から株を取り出したら、根を傷つけないように軽く周りの土を払い、一回り~二回り大きめの鉢に植え替えてください。
④水やり・追肥
水やり
チャイニーズハットは乾燥が苦手です。特に生育期間中は水を必要とすることから、土表面が乾ききる少し前には水やりしましょう。夏は乾きやすいため、水切れに注意が必要です。ただし、冬は寒いほど生育が緩やかになり水をあまり必要としなくなります。水やりは控えめにしてください。冬でも暖かな環境下で育てる場合は、成長にあわせて水やりの仕方を変えましょう。
ボタニ子
花に直接水をかけると、しおれたり枯れたりする原因になるよ!株元に水をかけるように気をつけてね!
追肥
4月の植え付け以降~9月にかけて、追肥を施します。固形肥料を1カ月に1回か、液肥を1~2週間に1回水代わりに与ましょう。ただし、肥料過多になると徒長する恐れがあります。肥料の量は少なめに調整してください。35℃を越える環境下では株が弱りやすく、肥料を与えるとさらに弱ったり枯れたりすることがあるため、暑い日には肥料を控えましょう。
チャイニーズハットの育て方【特別な手入れ】
①剪定
半つる性の植物のチャイニーズハットは、放っておくとツルが伸びすぎるため、剪定作業が必要です。植え替え時の4月~5月か、夏の開花が終わった9月~10月ごろが適期です。全体の1/3の高さになるように、バッサリとカットしましょう。剪定することで成長や花つきがよくなります。適期以外でも生育期であれば、樹形を軽く整える程度の剪定はしても大丈夫です。
②冬越し
常緑樹らしく葉を残したまま冬越しさせたいのであれば、室内の日当たりのよい場所で管理します。10℃~15℃あるのが理想です。5℃以下でも冬越しはできますが、葉を落とし休眠状態に入ることを覚えておきましょう。霜に当たると枯れるため、寒冷地では特に注意が必要です。
③病害虫対策
病害虫には強く被害を受けにくいですが、強いて挙げるなら「ハダニ」に気をつけましょう。特に暑く乾燥している環境下で増えやすいため、風通しのよい湿潤な環境をづくりに努めてください。葉の裏に霧吹きなどで水をかけると予防になります。増えやすく成長を妨げ枯れる原因にもなることから、見つけ次第すぐに捕殺しましょう。
④増やし方
チャイニーズハットを増やすなら、挿し木が簡単でおすすめです。その年に伸びた枝を8~10cmほどの長さ(2~3節あれば十分)で切り取り、一番下の葉を切り落とします。赤玉土や鹿沼土、挿し木用の土などの清潔な土を用意し、切り落とした部分の節が土に埋まるように挿してください。適期は5月~6月で、剪定時にカットした枝を使うのもおすすめです。
育て方のコツを知ってチャイニーズハットを栽培!
チャイニーズハットは、蝶のように華麗な花姿がとても魅力的です。鉢植えにするのが基本ですが、庭やベランダ、室内などあらゆる場所に置いて楽しめ、その場を華やかに彩ってくれます。難しい手入れもないため、初心者でも簡単に育てられます。いろいろな草花との寄せ植えにも相性のよいチャイニーズハットを、ぜひ育ててみてくださいね。
英語名は違うけど、日本ではどちらも「チャイニーズハット」という名前で流通していることが多いよ!