ムベ(郁子)とは?
「郁子」や「野木瓜」と呼ばれている植物
ムベは「郁子」や「野木瓜(ヤモッカ)」と呼ばれ、花木、庭木、果樹に分類されるつる性の植物で、日本や中国、台湾などが原産地です。果実はアケビに似て食べることもできるため、地方によってアケビと一緒にされることもありますがアケビではありません。ムベの根や茎は利尿作用があり、野木瓜という生薬になっています。
基本情報
名前 | ムベ(郁子、野木瓜) |
学名 | Stanutonia hexaphylla |
別名 | トキワアケビ |
分類 | アケビ科/ムベ属 |
形態 | つる植物 |
原産地 | 日本、中国、台湾など |
つるの長さ | 3m以上 |
開花時期 | 4月~5月 |
収穫期 | 10月~11月 |
特性/用途 |
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特徴
特徴1.生息地
ムベの木はもともと暖かい地方(関東より南)に自生していましたが、あるていどの寒さに適応できる丈夫さがあり、今では東北地方の一部にも生息しています。ムベの木は森の中で見られるほか、観賞用、生け垣などに利用され親しまれています。
特徴2.ムベの木
ムベの木(つるの長さ)は成長すると3m以上になり、太さは約8mm、ほかの樹木や植物に絡まって広くつるを伸ばし光合成します。つるの特性をいかし、棚を作ってつるを這わせ日よけにすることもできますが、そのさい冬でも日当たりがよい場所を選んで棚を作ります。
特徴3.花
開花時期は4月~5月で、扇状に開いた葉の付け根部分にたくさんの花が固まってつきます。ガクの部分が花弁状になった花は、真正面から見ると星のような形で、花びらの外側が白や淡いクリーム色、内側は白、緑、赤や紫がかったものがあり、花のあと結実します。
特徴4.受粉
ムベの品種には葉のサイズや形、果実のサイズや色など数種類あり、家庭で果実を収穫したいときはよく苗を選んで購入します。ムベの木はアケビと同じく、多くが自家不結実性で自家受粉ができないため、確実な収穫を望む場合はほかの株を植えて他家受粉させるか、人の手で人工授粉します。
特徴5.結実後の果実
結実した果実の大きさは約5cmほどで、形は卵形、色は始め緑色から秋になると紫色に変わり完熟します。完熟した果実の果肉は透き通った白い色で、黒い種がたくさんあり少し食べにくいですが、果肉はほのかな甘みがあります。
ムベの育て方①「栽培方法」
ムベは日本の在来種で昔から暖かい地域に自生していますが、自家栽培もしやすい植物です。ムベの木の基本的な栽培方法、置き場所や水やりなどはつぎの通りです。
栽培カレンダー
栽培方法1.置き場所
日当たりのよい場所
ムベは日当たりのよい場所を好みます。地植えの場合、苗の植え付けは日がよく当たる場所を選び、挿し木したプランターや植木鉢に植え付けした株は、日光の当たる場所に移動して管理します。
栽培方法2.水やり
地植えの水やり
植え付け直後に水やりする以外、水やりの必要はありませんが、乾燥しやすい土質などによって水やりが必要です。
鉢植えの水やり
鉢の土が乾き白っぽくなったら水やりのタイミングで、時間帯は朝か夕方、鉢の底穴から水がでてくるまで水やりします。
栽培方法3.肥料
地植えの肥料
肥料を与える時期は2月と10月。2月は鶏糞などの寒肥を株元に施し、10月は有機質の肥料を施肥します。
鉢植えの肥料
肥料を与える時期は2月・6月・10月。地植えと同じく2月は寒肥、6月と10月は通常の施肥を株元に施します。肥料は有機質肥料か速効性の化成肥料を使用し、粒状タイプが使いやすくおすすめです。
栽培方法4.種から育てる
種からでも育てられる
種から育てるときは、果実から取りだした種をプラポットやプランターに撒いて育てます。植え付けのタイミングは種を取りだしたあとすぐか、翌年の3月に撒き、種から成長し収穫まで数年必要です。
ボタニ子
つぎのページでは、植え替えの仕方を紹介します。
ムベの育て方②「植え替え」
鉢植えにした株は数年経つと根が詰まってくるので、一回り大きな鉢に植え替えし、土中の通気と水はけをよくします。
育て方1.土の用意
土の配合
植え替え用の土は、保水性があり水はけがよいものが適しています。土の配合は、腐葉土と赤玉土(小粒)を3:7の割合でブレンドし使います。
育て方2.移植
移植のやり方
移植の時期は開花前の3月が適し、株の状態にもよりますが2年に1回植え替えします。移植のやり方は以下の通りです。
- 鉢の底を持って株を取りだす
- 1/3ほど土を残して根を軽くほぐす
- 新しい鉢にネットと鉢底石を入れる
- 苗の高さを調節しながら土を入れて移植
- 移植後、水をたっぷり与える
ムベの育て方③「手入れ」
ムベの栽培には定期的な手入れが必要で、手入れには結実をうながす「人工授粉」と、つるを伸ばすための「剪定」があります。
手入れ1.人工受粉
人工受粉のやり方
別々の株同士を受粉させたほうが結実しやすく、花が咲いてから3日以内に受粉作業をおこないます。花の中から雄花だけを取りだして雌花に花粉をそのままつけるか、専用の刷毛で雄花から花粉を取り、別の株の雌花に塗りつけます。
手入れ2.枝(つる)の剪定
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混んだ枝と新しい枝を剪定
剪定のタイミングは1月~3月中と6月~7月。冬の剪定は前年に伸びて混んだ枝を切り、夏前の剪定は新しく伸びた枝に葉を5枚ほど残して切り詰めます。
ムベの増やし方「挿し木」
ムベを増やす方法は「種まき」「挿し木」「とり木」などがありますが、ここでは挿し木のやり方を紹介します。
挿し木のやり方
1.時期
- 3月下旬…前年の枝を使って挿し木
- 6月~7月…春に伸びた枝を使って挿し木
2.やり方
- 枝の節を2~3個残して切る
- 枝についている葉を2/3ほど取る
- プランターなどに培用土を入れ、枝を挿す
- 根づくまで半日陰で管理
まとめ
最近ではおもに観賞用として栽培されることが多くなっているムベですが、自家栽培でも3年ほどで果実が収穫できます。ムベの苗木はネットでも購入可能!秋の楽しみにおすすめの果樹です。
出典:写真AC