アケビの特徴とは
皆さんはアケビを見たことがありますか。都会ではなかなか目にすることのない植物ではないでしょうか。果物として売られているアケビを買って食べることも少ないですね。アケビは山などに自生していることの多い植物です。アケビ農家は年々減少しているため、いまや高級食材となりました。
「通草」「木通」
アケビを漢字で書くと「通草」「木通」です。「木通」は漢名で、特に木部を意味しています。「通草」はアケビのつるが空洞になっていて、空気が通ることからちなんで付きました。
アケビの由来
アケビの名前の由来はいくつかあります。果実が熟して口を開く様子が「あくび」に似ているところからアケビになった説が有名です。また、「開け実」と呼ばれていたものがいつからか「あけび」になった説も有名です。どちらにしても「アケビ」とは、不思議な響きのある言葉ですね。
アケビの木
アケビの木は元々山野の雑木林などに自生している落葉つる性低木です。そのため、暑さにも寒さにも強いとされています。木の高さは1m以上に育ちます。落葉した冬の木はまるで枯れているように見えます。
木全体を指す場合、「アケビカズラ」と呼ぶことも
春の季節を迎えると、枯れ枝から突然芽吹く新芽がとても可愛らしい姿です。アケビの木全体を呼ぶ場合、「アケビカズラ」といいます。左巻きに成長していくアケビカズラの風情は盆栽でも人気があります。
木通は漢方薬にもなる
木通はアケビの木部を指しますが、アケビの茎を輪切りにして乾燥したものを木通と呼びます。漢方薬として処方されます。
木通の効能① 利尿
利尿作用のある木通は、排尿痛や膀胱炎に効果のある竜胆瀉肝湯に含まれています。
木通の効能② 抗炎
木通の抗炎症作用は、湿疹、じんましん、アトピー性皮膚炎などに効果がある消風散に含まれています。
木通の効能③ 鎮痛
木通は鎮痛作用もあり、慢性頭痛や神経痛に効果があります。
つるは工芸品になる
アケビのつるはさまざまに加工されます。バッグ、かご、丸皿、ランプシェードなど最近は和のインテリアとして人気があります。福島県南会津では、アケビのつる細工は、伝統工芸として認定されるほどです。アケビの他に、またたびや山ぶどう、クルミなどのつるを使用しながら作製されます。使いこむほど光沢を増していく蔓細工はやや高価ですが、「一生もの」というほど丈夫です。
北海道には自生していない
寒さに強いアケビですが北海道には自生していません。アケビの北限は青森県です。ただし、三つ葉アケビは北海道南部に自生しているとされています。北海道の厳しい寒さと積雪がアケビの自生には向かない気候でした。北海道でアケビの栽培を行っている場所もありません。北海道ではアケビはやはり珍しい植物といえます。
アケビの開花時期
アケビの開花時期は4月から5月です。アケビの花が咲く季節は、東北地方の本格的な春の訪れを感じる季節ではないでしょうか。
アケビの花
花は雄花と雌花に分かれて咲きます。紫色や薄紫色の小さい花は、光沢があって蝋細工のようですが、花弁はなく3枚の萼片から構成されます。顔を近づけるとほんのり柔らかい芳香がします。アケビの花の季語は春です。
雄花と雌花の見分け方
雄花は3枚の花びら(萼片)の中心部が丸く球状になっています。雌花は花が大きく放射状に中心部が広がっています。
花の見頃は
アケビの花持ちは1週間以上と比較的長く咲き続けます。見頃になるのは咲き始めてから3~4日くらいです。アケビの花は下を向いて咲くことが多いので、足を止めて下から覗いて下さい。他の花にはない個性的なアケビの花に魅せられることでしょう。濃い紫色のつぼみは小さすぎて気が付かないことも多いです。
実がなるには混植が必要
アケビは自家不結実性
自宅のアケビが結実しないのは何故かと、疑問に感じている人は多いのではないでしょうか。アケビは自家不結実性であり、1本では実がなりにくい特徴があります。実をつけるためには、異品種の混植が簡単な方法です。アケビの受粉の詳しい仕組みは解明されていないので、1本でも実をつける場合もあります。自宅の庭にスペースがあれば、アケビと三つ葉アケビを混植すると実がつきやすくなります。
出典:写真AC