オキナワスズメウリってどんな植物?
オキナワスズメウリ(沖縄雀瓜)は、熱帯原産のウリ科の植物です。暑さに強く沖縄や琉球諸島では自生が見られます。つる性で、夏には緑のカーテンとして人気がり、秋には小さな可愛らしい実が成ることからリュウキュウオモチャウリとも呼ばれます。冬には枯れる一年草ですが、栽培は難しくないのでガーデニング初心者でも育てることができます。
オキナワスズメウリ(沖縄雀瓜)の基本情報
学名 | Diplocyclos palmatus |
和名 | リュウキュウスズメウリ(琉球雀瓜) |
科名 | ウリ科 |
属名 | オキナワスズメウリ属 |
生体 | つる性一年草 |
花期 | 7〜9月 |
結実期 | 8〜10月 |
実 | 毒性 |
葉の特徴
オキナワスズメウリの葉は、深い緑色で、表面がざらつきます。互生につき、長さ幅ともに10cmほどの心形で、掌状に5~7中裂します。ちょうど手を開いたような形です。裂片は卵状披針形で先がとがり、縁にはノコギリのような細鋸歯があります。
花の特徴
オキナワスズメウリの花は、花冠が5つに裂けたような広鐘形で1cm前後の小さくて白い姿をしています。雌雄異花(しゆういか)で、雄花と雌花を同一株につけます。雄花の花糸は短く、雌花には仮雄しべが3個あります。この仮雄しべは、葯(やく)や花糸が退化したもので、雌雄異花の雌花にみられます。
実の特徴
オキナワスズメウリは、花を咲かせたあと実をつけます。2cmほどの小さな実で、白い縦線が入ります。成熟とともに緑色から赤色へと変化していきます。「リュウキュウオモチャウリ」とも呼ばれるのはこの可愛らしい実の姿に由来します。
毒性
オキナワスズメウリの実にはククルビタシンEという毒性成分が含まれるため、食べることができません。間違って摂取してしまうと、唇のしびれや下痢、嘔吐など中毒症状を引き起こします。このため中国では「毒瓜」と呼ばれています。見た目の可愛らしさから、つい手を伸ばしてしまいそうになりますが、小さな子供がいるご家庭は口に入れないよう気を付けましょう。
オキナワスズメウリの育て方
オキナワスズメウリは雄花と雌花が咲いて結実する雌雄異花なので、一株から栽培することができます。冬には枯れる一年草ですが、翌年は種から生長する姿が見れます。夏は生い茂る葉、秋は可愛らしい実の収穫と、季節が変わるたびに楽しむことができオキナワスズメウリの育て方をご紹介します。
置き場所
オキナワスズメウリは沖縄や琉球諸島に自生するだけあって、太陽が大好きです。日差しにやや弱い植物のように、夏場は半日陰や室内に移動といった気配りは無用です。つる性の植物なので支柱やネットなどを設置し、日光のたっぷり当たる場所へ置いてあげましょう。
水やり
オキナワスズメウリは、春から夏にかけて気温が上昇するとともに、つるが勢いよく生長します。たくさんの花や実をつけるためには水分は欠かすことができません。地植えの場合には土が乾いたら与える程度、鉢植えの場合には朝夕1日2回は水やりをしましょう。
肥料や用土
オキナワスズメウリは、とても強い植物です。地植えの場合には肥料を与える必要はありませんが、鉢植えの場合のには少量の緩効性固形肥料を施した用土を使用します。花つきが悪い場合には、リンを多く含む液体肥料を週に1~2回与えるとよく咲くようになります。
収穫時期
実の収穫時期は8~10月です。成熟とともに緑色から赤色へと変化することから、ハロウィンやクリスマスリースの材料として人気があります。クリスマスに2色にする場合には、実が熟す時期をずらさなければなりません。収穫時期を考えながら育てるのも楽しいですね。また、緑色で収穫して、黄色を経て赤へ変わるようすを見るのも楽しみ方のひとつです。
種
翌年用に種を採りましょう。 収穫した赤い実を放置しておくとドライフルーツのように乾いて、指で強く握りつぶすと破れます。 1つの実に10粒くらいの種が入っているので、きれいに洗って陰干しをし、種まきする時期がくるまで冷蔵庫に保管します。
種まき
種まき時期 | 5月中旬 |
種まき用土 | ピートモスやバーミキュライト、小粒赤玉土など |
覆土 | 10mmくらい |
水やり | 1日2回 |
発芽温度 | 25℃ |
発芽までの期間 | 2週間 |
発芽率 | 6~7割 |
植え替え時期 | 本葉が2枚(子葉と合わせて4枚) |
種まきはゴールデンウイーク後が良いでしょう。種まき用のポットに1つずつ育てます。本葉が2枚出た頃に苗を定植しますが、オキナワスズメウリは移植を嫌いますので、なるべく土を落とさず根を崩さないようにして植え替えてあげましょう。発芽率は環境によりますが6~7割程度とかなりの高確率で育ってくれます。
オキナワスズメウリを枯らさないコツ
枯らさないコツは、十分に水を与えることです。オキナワスズメウリは春から夏にかけて、つるが勢いよく生長するので水分が多く必要になります。葉が生い茂る夏場はとくに蒸散するため、水分不足になりがちです。土が乾かないようにたっぷり水をあげましょう。
枯れる原因
オキナワスズメウリは害虫もつきにくく、病気にも強い植物なので枯れる原因としてまず考えられるのは根詰まりでしょう。鉢植えで葉が黄色くなり、鉢の底から根が出ているのであれば、植え替えが必要になります。水やりをしても鉢の中に根が回り水が吸えない状態です。1~2回り大きな鉢の底に緩効性固形肥料を施した用土を入れ、根を傷めなように植え替え、水をたっぷりあげましょう。
実を楽しむ緑のカーテン
見た目も涼しく、リラックス効果も得られる緑のカーテン。さらに、秋には可愛らしい実が成る「リュウキュウオモチャウリ」は、実も楽しめる緑のカーテンとして人気があります。緑のカーテンとは、つる性の植物をネットなどに這わせ覆ったものです。たくさん茂った葉が室内に入る日差しを防ぎ、水分を蒸散させることにより建物の壁の熱の上昇を抑えます。このような、つる性の植物とはどのような特徴があるのでしょうか?
つる性の植物の特徴
つる性の植物の茎は軟弱で、自ら自立することができません。そのため巻きひげを他の物体や植物に巻きつけながら茎を高い場所へ伸ばします。茎の生長するスピードが速いのは、直立する植物のように茎を太く丈夫にするためにエネルギーを使う必要がないからです。
巻きひげとは
巻きひげとは、つる性植物の茎や葉の一部が細く特殊に変化したものです。ひげを旋回運動させながら伸ばし、ほかの物に触れると巻き付いて茎をその場所に固定します。ウリ科の植物、キュウリ・ヘチマ・カボチャ・ニガウリ・ヒョウタンなどの巻きひげは茎が変化したものとされています。
設置場所
鉢植えにする場合には、緑のカーテン用に鉢とネットがセットになっているものが便利です。ネットには天井から釣りさげるタイプや支柱を立てるタイプがあるので設置する場所に応じて選びましょう。
剪定ってなに?
剪定と聞くと、優雅な和風庭園や、シンメトリーなイングリッシュガーデンというような形を美しく整えるイメージがありませんか?しかし、剪定とは見た目だけでなく、植物の枝を切ることにより生長を促進したり、病気や害虫の繁殖を予防する効果もあります。ではオキナワスズメウリの剪定とはどのようにするのでしょうか?
オキナワスズメウリの剪定方法
オキナワスズメウリはつる性の植物なので、茎を高い所へ伸ばす習性があります。しかし、ただ上に伸びたのでは緑のカーテンは作れません。ネットの網目に沿って茎を扇型になるように這わせてあげます。一番太い親づるを摘心し、養分を小づる、孫つるに配分し育てます。ネットに沿わない余分な葉はカットして形を整えましょう。十分に栄養がいきわたれば、秋にはたくさんの実が成り楽しむことができます。
まとめ
今回は可愛い実が人気のオキナワスズメウリをご紹介しました。冬には枯れてしまいますが、春には種をまき、夏には緑のカーテンで涼み、秋には収穫時期を迎え、冬にはリースを飾る。一年を通して楽むことができるオキナワスズメウリ。ぜひ自分の育てた実で部屋を飾ってみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC