花びらのはない植物とは?
多くの人が思い浮かべる花には、花びらがあるでしょう。しかし、花びらのない植物もあります。花びらがなくても「花」なのです。
花びらとは
花びらとは、花弁ともいいます。多くの植物には花びらがあります。雄しべや雌しべの周りについていることが多く、植物によって形も色も違うのが特徴です。
花びらがある理由
植物に花びらがある理由は、雄しべや雌しべを守ったり、種をつくるのに必要な虫をひきつけたりするためです。雨が降ると、雄しべや雌しべに付いた花粉を守るために花弁を閉じる花もあります。また虫を媒介として花粉を運ばせ、子孫を残していく花は、虫が好むような色や姿で媒介者を引きつけるのです。
花びらがない理由
植物の中には、花びらがない植物があります。なぜ、花びらがないのかは諸説ありますが「退化した」「もとからつくる能力がない」などが理由です。一般的に花びらがないといわれている植物は風媒花が多く、樹木ではスギなどの針葉樹、草本ではイネ科に多く存在しています。また、隠花植物も花びらが存在しないといわれています。
風媒花とは
風媒花とは、風を媒介にして花粉を運ばせ、その後果実が実り種ができる植物のことです。花粉症で有名なスギなどが風媒花です。風媒花は、虫に頼る必要がなく子孫を残せるため、花びらがないといわれています。
隠花植物(いんかしょくぶつ)とは
隠花植物とは、花が隠れている植物、花をつけない植物のことです。植物の中には、花を持たずに種子ではなく胞子で繁殖する植物がいます。これらの植物が隠花植物です。現在は、あまり使われることはありませんが、シダ類やコケ類がこの隠花植物に分類されています。
花びらのない植物<広葉樹>
よく見かけられる広葉樹にも、花びらのないものが多くあります。「ずっと花びらだと思っていたものが、実は違った!」ということもよくあります。
①アケビ
学名 | Akebia quinata |
分類 | アケビ科アケビ属 |
種類 | つる性落葉低木 |
花期 | 4月~5月 |
アケビは、日当たりのいい山野に自生しているつる性の樹木です。果実が食用となりスーパーで購入できますが、種子は苦いため食べないことが多いです。アケビには、小葉が5枚集まって付く特徴があります。また、よく似ている植物に小葉が3枚のミツバアケビがありますが、両種は小葉の数で見分けられます。
アケビの花
アケビは雌雄別の花ですが、受粉方法についてはよくわかっていません。アケビには花びらのように見える3枚のものがありますが、これは花びらではなくがく片です。つまり、花ではなく葉です。葉が色づいたものが、花びらのように見えています。
②クヌギ
学名 | Quercus acutissima |
分類 | ブナ科コナラ属 |
分類 | 落葉高木 |
花期 | 4月~5月 |
クヌギは、果実がドングリの樹木の1つです。クヌギのドングリは、ドングリの中でも大きい形をしており、花が咲いてから、翌年の秋に熟すのが特徴です。また、クヌギの葉はクリの葉によく似ていますが、クヌギの葉とクリの葉では葉の鋸歯(きょし)の部分の色が異なります。
クヌギの花
枝からぶら下がっている穂のようなものが、花だね。
クヌギの花は、雄雌別の風媒花です。クヌギは花びらがない花でもあり、4月~5月に葉の展開とあわせて、地味な花が咲きます。クヌギの花は地味なため、花期を迎えてもあまり目立ちません。
③アカメガシワ
学名 | Mallotus japonicus |
分類 | トウダイグサ科アカメガシワ属 |
種類 | 落葉高木 |
花期 | 6月~7月 |
アカメガシワは、山野や道端などに生えている樹木です。生命力も強く、種子は高温に晒されると発芽する特徴があります。そのため、山火事などが起こった場所では一気に繁殖していく樹木です。アカメガシワの葉は、カシワのように大きくなります。そのため、名前に「カシワ」とつけられたといわれています。
アカメガシワの花
雌雄異株のアカメガシワにも、花びらはありません。穂状の花序をつけ、雄花では黄色いやくが目立ちます。花の色自体は白色で、たくさんの小花を枝先につけるのが特徴です。
3枚のピンク色をした花びらがありますよね?これは、花びらではないのですよ。