サガリバナとは
サガリバナは熱帯・亜熱帯地方に自生する植物です。初夏の夜に数時間だけ花を咲かせ、明け方には散ってしまう儚い花ですが、沖縄では初夏の風物詩とされています。また、近年では開花する姿を観察するツアーや観察会が人気があります。
サガリバナの基本情報
学名 | Barringtonia racemosa |
英名 | Common putat |
別名 | サワフジ、舞香花 |
科名 | サガリバナ科 |
属名 | サガリバナ属 |
分布 | 奄美大島~沖縄諸島 |
形態 | 常緑低木 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
開花期 | 初夏~夏 |
花の色 | 白色、ピンク色 |
名前の由来
サガリバナを漢字で書くと「下がり花」です。枝から垂れ下がるように、花が咲くことから名前が付けられました。開花時期のピークになると、木の全体から無数の花が垂れ下がり、その姿は圧巻です。
花言葉
サガリバナの花言葉は、「幸運が訪れる」です。サガリバナは夜に開花して、明け方には花が落ちてしまいます。その一夜限りの花に出会えること自体がとても珍しく幸運なため、幸運が訪れるとされています。
分布域・自生地
サガリバナの分布域は熱帯・亜熱帯地方です。日本では奄美諸島から沖縄諸島にかけて分布し、海外では東南アジアの広い地域にも分布しています。湿地帯を好み、マングローブ沿いやその後背地に多く見られます。栽培も可能で、独特な花の性質から、園芸愛好家からも人気がある植物です。
熱帯植物の仲間
サガリバナは約300種類あるサガリバナ科の植物です。サガリバナ科の植物は、どの種類も熱帯・亜熱帯地方に自生する植物です。日本では2種類が自生し、サガリバナのほかに、コバンノアシが八重山諸島で見られます。
サガリバナの利用方法
サガリバナはその特徴から花ばかりが注目されますが、沖縄など暖かい地域では、街路樹や公園の緑化植物として利用されています。また、花を楽しむために温室などを利用して園芸植物として栽培もされています。
サガリバナの花について
花の特徴
サガリバナの花は、20~60cmほどの花序に10~30個ほど連なって咲きます。花弁(花びら)は4枚で、白色をしています。雄しべは白色や淡いピンク色で、この雄しべに隠れて花弁があまり目立ちません。細い雄しべはたくさんあり、遠くから見るとまるで綿毛のようです。また、開花するとバニラに似た特徴的な香りを放ちます。
開花時期
開花時期は地域によってやや異なりますが、沖縄では6~8月の初夏から夏が開花時期です。現地の梅雨明けから開花が始まり、7月ごろにピークを迎えです。梅雨明けは年によってズレるため、年によってはスタートが遅れて、9月ごろまで開花が続くこともあります。沖縄では季節の風物詩として、昔から親しまれています。
開花時間
サガリバナの開花時間は夜間のみです。19~21時ころから開花が始まり、真夜中になると満開になります。満開になると、バニラに似た香りが辺りに立ち込め、香りにつられて虫や小動物が集まってきます。咲き始めから満開になるまで、わずか数時間しかかかりません。
散る時間
サガリバナは、真夜中に満開を迎えますが、夜明けと共に徐々に散り始めます。日が完全に登りきるころにはすべての花が散ってしまいます。満開になっている時間はわずか数時間で、これが「幻の花」と呼ばれている理由です。マングローブ沿いに生えたサガリバナの花が散ると、川面にたくさんの花が浮かび、幻想的な光景が見られます。
出典:筆者撮影