クリスマスツリーの歴史
なぜ、もみの木やもみの木の仲間がクリスマスツリーに使われるようになったのでしょうか。ここでは、クリスマスツリーの歴史を見ていきます。
キリストの降誕祭
後から始まったクリスマスツリーの習慣
クリスマスツリーは、キリストの降誕祭のお祝いに飾られる木です。実は、クリスマスツリーで祝う習慣がはじめからあったわけではなく、各地に根ざした習慣や祭りを取り込んだ結果、クリスマスツリーで祝うようになりました。
起源は冬至の祭り
ゲルマンの冬至の習慣を取り入れた
ゲルマン民族の間では、冬至は太陽が生まれ変わるときと考えられていました。巨木を倒し丸太で火を起こして太陽の再生を祈願し、祝っていたのです。丸太はリボンで結ばれたり常緑の葉が飾られたりしました。キリスト教は、その習慣を取り入れます。丸太の形はクリスマスケーキのひとつ、ブッシュド・ノエルに伝わり、冬至の祭りの妖精は北欧サンタの起源と考えられています(どちらも諸説あります)。
もみの木はクリスマスカラーの「緑」
キリスト教が樹木を飾ることを取り入れた理由のひとつは、緑に託す意味が共通するからでした。緑は力強い生命力、再生と永遠の命を表す色「エバーグリーン」といわれています。ちなみに、クリスマスカラーの赤は愛を、白は清らかさを表します。
なぜもみの木が使われた?
樫の木からもみの木に変わった伝説
太陽や巨木への信仰は世界各地にみられ、北欧神話でもイグドラシル(世界樹)から力を授かった神々が世界を統べていました。人間を神々への生贄として吊るしていた樫の木を、この根強い風習に挑んだキリスト教の宣教師が切り倒しました。すると切り株からもみの木が芽吹き、もみの木は「奇跡の木」とされた、という伝説が残っています。もみの木はキリスト教のシンボル的な木といえるでしょう。
もみの木で祝い始めたルターの逸話
もうひとつ、宗教改革者マルティン・ルターのエピソードも知られています。ミサの帰り道にもみの木の森で星のきらめきに感動したルターは、家庭で子どもたちと共にもみの木にろうそくを灯して祝い始めたという逸話です。もみの木は、祝い事に用いるのにふさわしいとされているのでしょう。
三角形の樹形の美しさ
もみの木の樹形は円錐形です。この三角形がキリスト教の「三位一体」を表しているとの意味付けもあります。クリスマスツリーが世界中に普及したのは、シンプルな樹形の美しさによるものといわれています。
好みのクリスマスツリーも見つけてみよう!
キリスト教は木を取り入れ、もみの木でツリーをつくり降誕祭を祝うようになりました。その土地土地の「身近なもみの木」を使ってクリスマスを祝ってきたのです。さまざまな種類のもみの木がある理由です。樹形は似ていても、それぞれは違います。比較的どのような木も手に入れられる現代では、好みの木を探してクリスマスツリーに仕立てるのも面白いかもしれませんね。
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出典:写真AC