イヌビワ(犬枇杷)とは?
日本の比較的暖かい地域(関東~九州地方、沖縄)の他、台湾、韓国にも分布しているクワ科の落葉低木で、10~12月頃になるとビワやイチジクに似た形状の実が熟してきます。熟した実は黒色に近い紫色をしており食べられます。「イヌビワ」という名前は、ビワに似た実をつけるが味はそれほどでもない(ビワより味が劣る)というところからきています。
イヌビワの特徴
イヌビワは雌雄異株です。花は隠頭花序(いんとうかじょ)といわれるもので、外からは見えないつくりとなっています。一見すると果実のように見える点が特徴でもあります。イヌビワはイヌビワコバチの習性を利用し受粉が行われていますので、イヌビワコバチがいないと結実しません。
イヌビワの基本情報
名前 | イヌビワ(犬枇杷)別の名前/コイチジク、イタビ |
学名 | Ficus erecta |
分類 | 落葉低木/クワ科、イチジク属 |
大きさ | 2~5m |
花 | 開花時期4~5月、隠頭花序 |
果熟時期 | 10~12月 |
雌雄株の見分け方
雌木と雄木の見分け方としては実の開口部分を観察する方法があります。雌木についている実の方が雄木のものより狭いためです。しかし、実の大きさは木によっても異なるので、雌木と雄木の見分け方としては完璧ではありません。ただし、冬に実(越冬果嚢)をつけているのは雄株のみなので、冬まで待てば雄株の特定は可能です。
イヌビワコバチとの関係
一見すると丸い果実のように見えてしまうイヌビワの花は、外からは見えません。そのため、一般的な花のように風や蝶などにより運ばれた花粉での受粉もできません。
イヌビワの場合、花粉の運び手役は花の中を出入りできるイヌビワコバチという特別なハチのみです。このハチの習性を利用することでイヌビワは実をつけることが可能となります。また、幼虫がイヌビワの中で育つイヌビワコバチの方も、イヌビワがないと生き延びることができないため、イヌビワとイヌビワコバチとは共生関係にあるといわれています。
イヌビワの花と受粉
イヌビワの花は隠頭花序で、外見が実のように見える花です。イチジクの果実を小さくしたような形状をしており、イチジクと同様に花を外から見ることはできません。そのため花と実を外見で見分けるのはとても難しく、開花している様子や受粉後の状態を知るには切断して見ないと分かりません。
受粉の仕組みと花言葉
イヌビワの花は受粉の仕方もかなり特徴的で、イヌビワコバチが先端の開口部分から出入りすることによってのみ行われます。そのため、イヌビワはイヌビワコバチがいないとタネをつくることができません。ちなみに、イヌビワの花言葉は「あふれる思い」です。
ボタニ子
次ページからはイヌビワの実と食べ方を紹介します。