シンゴニウムの葉のトラブル対策
シンゴニウムは生息地では大きな木に着生し、気根を出しながら空中の湿度をもらいつるを伸ばしてどんどん成長します。そのため直射日光には弱いという点を生かし、室内観葉植物として育てる時には「耐陰性」が強くあまり日光を必要としないと考えられがちです。
葉が枯れる
シンゴニウムの葉が枯れるという現象には二つのパターンがあります。野外の半日陰で夏越ししている株には見られない現象ですが、室内で栽培している場合に葉が枯れることがあります。
下葉が枯れる
下葉が急激に枯れてしまうのは根腐れが原因のことが多いです。根が腐り始めると水分を吸収できずに根が呼吸できずに腐敗してしまい、結果として根についた腐敗菌に近い下葉が腐り始めて葉が枯れてしまいます。完全に枯れていない場合は植え替えで枯死させないで済むこともありますが、時期的に越冬の時期は難しいといえます。
上部の新芽が枯れる
上部の新しい葉が縮れたり黄色くなっている場合は、ほとんどのケースは水やりの不足なので適正に水やりを再開すればそれ以上は葉が枯れずに元気を取り戻します。切り方は黄色になった葉を茎の部分から切り取りましょう。
葉がしおれる
葉がしおれる原因のひとつは越冬の時期の室内の温度が低すぎる場合におこることがあります。特に冬場、暖房を切った夜間温度は特に窓が近いとかなり低くなります。窓から離れたテーブルの上にシンゴニウムの鉢を置くとよいでしょう。また、湿度が低すぎるとシンゴニウムでも葉が薄めの種類は葉がしおれることがあります。枯れた葉の切り方は茎の付け根からカットします。
つるが伸びすぎる
日があまりなくてもシンゴニウムは育ちますが、どうしても「ひょろひょろ」として、ひ弱に徐長してしまうことがあり、見たところも形がよくないので、その場合は切り戻しをして株を更新させます。切り方は伸びたつる根元から切り、そのつるはメネデール溶液につけて「挿し穂」として挿し木に使います。
シンゴニウムの増やし方
シンゴニウムの増やし方は二通りあります。切り戻しを兼ねた剪定で出たつるを挿し木にするやり方と、株が大きく充実している場合の株分けです。
増やし方①時期
シンゴニウムの増やし方は、5月~9月の成長期に挿し木や株分けで行います。新しい葉も元気に育ち、つるも伸びる時期なので失敗は少ないですが、真夏は植物にとって過酷なので、盛夏になる前かいくぶん暑さが和らいできた時期が最適です。
増やし方②準備するもの
- 挿し穂(つるや葉がついた枝)
- メネデール溶液(発根促進のため)
- 清潔な用土(挿し木用の土や赤玉土)
- 消毒したはさみ
- 挿し木用のポット(苗を育成するため)
- 観葉植物用培養土(発根して植え付けるときに使います)
- 植え付け用の鉢(2号~3号鉢)
増やし方③手順
挿し木のやり方
- 切り方は、清潔なはさみで切り戻した伸びすぎのつるや混み合った枝をカットします
- 挿し木用の挿し穂を、メネデール溶液に半日くらい漬けます
- 育苗用のポットに土を入れて挿し穂をさします(挿し木)
- 水をたっぷり与えて半日陰で育てます
- 乾燥させないように水やりをすると1か月程度で発根します
- 発根したら観葉植物用の土を使い植え付けます(鉢は小さめがおすすめです)
株分けのやり方
- 切り方は、株を見て1株ずつに分かれそうな位置を確認します
- 鉢から静かに株を抜いて、手で株を分けます
- 根の切り方は、古い根が茶色かったり黒い部分があればはさみでカットします
- 植え付けと同じように、鉢底石を入れ培養土を足します
- たっぷりと水やりをして半日陰で育てます
シンゴニウムの越冬の方法
シンゴニウムは熱帯アメリカ原産なので耐寒性は弱いのですが、室内で夜間温度が15℃を切らないように管理すれば冬越しもできます。暖房が効きすぎる場所より、柔らかな日ざしが当たるような場所を選びましょう。
失敗しない冬越しのやり方
管理する場所と温度
シンゴニウムの生育適温は15℃~30℃ですが、温室のような日ざしがたっぷり過ぎる場所は適していません。室内のレースのカーテン越しの柔らかな日ざしが感じられる場所がよいでしょう。寒さには弱いので、越冬させるには夜間の暖房が切れたときに15℃を割らないようにしましょう。
越冬のやり方(温度・場所)
- 15℃~30℃で越冬ができます
- 窓のそばは夜間に冷え込むので、テーブルの上に置きます
- 冷え込む部屋の場合は、段ボール箱などで囲います
越冬中の水やり
越冬中はシンゴニウムは休眠期なので水やりは乾いていてもすぐには与えません。乾いてから2~3日してからたっぷりと与えますが、鉢受け皿に水をためないようにしましょう。根が加湿状態になると根腐れをおこします。ただ冬の室内は暖房で乾燥しているので水やりとは別に2~3日ごとに霧吹きで葉水を与えます。
越冬中の水やりのやり方
- 用土が完全に乾いても2~3日は水やりはしません
- 鉢受け皿に水をためないようにしましょう
- 2~3日ごとに霧吹きで葉水を与えます
- 休眠期は液体肥料を水代わりに与えるのNG
まとめ
シンゴニウムはさまざまな葉色の種類があり、あまり日光を必要としない観葉植物なのでインテリアの一部として育てたくなる植物です。増やし方も簡単で、生育期に挿し木で増やすことができ楽しみが多い植物です。寒さの厳しい時期にきちんとしたやり方で手入れをして無事に冬越しができれば、また次のシーズンも大きくなって楽しめますので、ぜひお気に入りのシンゴニウムを育ててみましょう。
出典:写真AC