トウゴマとは?薬草としての特徴や利用法から毒性までをご紹介!

トウゴマとは?薬草としての特徴や利用法から毒性までをご紹介!

インドで栽培が盛んなトウゴマという植物の、種子から採取できる「ひまし油」は古代より多くの人が利用してます。現在の薬草としての特徴や美容面で利用法を紹介します。また、約1cmの大きさのトウゴマの種子の恐ろしい毒性についてもお伝えします。

記事の目次

  1. 1.トウゴマとは?
  2. 2.トウゴマの特徴
  3. 3.トウゴマの育て方
  4. 4.トウゴマから採取「ひまし油」の利用
  5. 5.トウゴマの生薬利用
  6. 6.トウゴマの毒性
  7. 7.トウゴマの歴史
  8. 8.まとめ

トウゴマとは?

出典:写真AC

トウゴマは春に種をまくと夏には花を咲かせてくれる草本(そうほん:木部が発達せず、1年から数年で枯れる植物)です。熱帯地方では本木(ほんもく:木部が発達し多年にわたり生存しつづける植物)として栽培できます。花が咲く時期にはトゲのある赤い実がつき、美しく葉もきれいな木です。

基本情報

学名 Ricinus communis
和名 唐胡麻
科名 トウダイグサ科
属名 トウゴマ属
別名 ヒマ(蓖麻)・蓖麻子

トウゴマの産地

原産は熱帯アフリカ東部、以前はインド、中国、ブラジルがひまし油の3大生産地でした。現在の生産量1位はインドで世界の供給の約7割です。日本も中国から種子を輸入し、ひまし油を搾油していましたが、1994年中国の輸出停止によりインドから原油輸入しています。インドの主産地は西部のグジャラート州で、インド全体の70~80%です。

トウゴマの特徴

特徴①木

出典:写真AC

トウゴマの木は高さは1~3mで冬に枯れます。熱帯では多年草で温帯では一年草です。直径30~40cmほどの大きさの葉は、指を開いた手のひらの形に似ており、葉には深い切れ込みが5~11入り、葉の周りはギザギザです。花期は7月~8月で、上側に赤い雌花、下側に黄色い雄花を咲かせます。果実は約2cmの大きさで丸く色は赤茶色です。

特徴②果実

花は7月~8月頃咲き、果実は約2cmの大きさで丸い赤茶色、受粉すると実ります。果実の周りには赤いトゲトゲがあります。果実は褐色に熟して、3つに割れます。中には大きさ1cmほどの種子が入っており、種子の表面は文様があり、学名「Ricinus」はラテン語でダニを意味する単語が付いています。

出典:写真AC

ボタニ子

ボタニ子

次はトウゴマの育て方をお伝えします。

トウゴマの育て方

出典:写真AC

トウゴマは夏の暑さには強いですが、冬の寒さに弱く霜に当たると、木が枯れてしまいます。性質は強いので病害虫の発生はほとんどなく、育てやすい植物です。種を採取しておき、春にまきましょう。こぼれ種でも勝手に発芽してくれます。

環境

トウゴマは日がよく当たる場所と水はけの良い環境を好む木です。高さは1~3mほどで、幅は70~100cmの大きさに成長するので、大きなスペーを必要とします。鉢で育てる場合は、大きさ12号以上の鉢を用意してください。

水やり

トウゴマを地植えの場合は、特に水やりをしなくても、自然の雨で大丈夫ですが、真夏に雨が降らず乾燥が続くようなら、朝か夕方に水やりを行って下さい。鉢植えの場合は、表面の土が乾いたらたっぷりとあげるようにしましょう。

肥料

トウゴマにあたえる肥料は、植え替えや苗植えのとき、前緩効性化成肥料や堆肥を用土に混ぜると、大きく育ちます。地植えの場合は、追肥のはしなくて大丈夫です。鉢植えの場合は、成長をみながら緩効性化成肥料を置き肥しましょう。

種まき

種まきは4月~5月が適しています。種は硬いので一晩水に漬け、発芽しやすくします。種が隠れるように土をかぶせます。直まきは日当たりがよく、風通しのよい場所で水はけのよい土に種をまきましょう。1mほど間隔をあけてください。鉢植えは大きさ12号以上の鉢に植えて、水はけのよい土を用意してください。発芽までは土乾かさないように注意しましょう。

植え付けと植え替え

植え付けの時期は、5月~6月が適しています。地植えの場合は、日当たりがよく、風通しのよい場所を選び水はけの良い環境を作ってください。大きく成長させたいときは、土に堆肥や緩効性化成肥料を混ぜます。大きく成長するので1mぐらい間隔を開けてください。トウゴマは移植を嫌うので、植え替えはしない植物です。

種の採取

トウゴマの赤いトゲトゲの果実が褐色に熟して、やがて茶色になります。果実は簡単に割れて種が取り出せるので、天気の良い日に採取してください。採取した種は乾燥させ、紙袋などに入れて涼しい場所で保管します。春にまきましょう。

ボタニ子

ボタニ子

次は生薬「ひまし油」「ひまし」の詳しい利用方法をお伝えします。

トウゴマから採取「ひまし油」の利用

トウゴマは古くから薬草として利用されてきた植物です。薬効があり生薬名は蓖麻子油(ひまし油:種子から採取できる脂肪油)、蓖麻子(ひまし:種子)です。使用部位は種子で、ひまし油の約7割はインドで生産されています。

ひまし油とは?

ひまし油は、薬草のトウゴマ(ヒマ)の種子から採れる油のことです。種子を圧搾(あっさく:強い力を加えてしぼる)することで、採取できます。油の色は、淡い赤黄ではちみつのような色をしています。castor oilとして販売されています。

ひまし油の生薬以外の利用

ヒマシ油は低温でも固まりにくい性質で、航空機の潤滑油としても利用され、第二次世界大戦前後には、大量に栽培されていました。ほかの利用としては、ひまし油を下剤として服用したり、印刷のインキ、印肉油、化粧品などに使われます。花材として利用され、観賞用に栽培されることもあります。

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トウゴマの生薬利用

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