ビワの木を育てるポイント
苗木から育てる、種から育てる、または挿し木で増やす、という3つの方法を紹介しましたが、それぞれ収穫までのポイントとなることは同じです。ここでは植えた後、収穫するまでをまとめてみました。剪定から袋掛け、1年間の流れもありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
収穫までの1年の流れ
収穫までの1年間の流れを表にまとめてみました。栽培する地域により変わるので目安にして下さいね。
10月~2月 | 蕾がつき、花が咲き始めるので摘蕾をします |
3月~4月 | 花が終わり、実がつき始めるので、摘果をします |
3月~4月 | 摘果が終りましたら、袋かけをします |
5月~6月 | いよいよ収穫です |
~9月 | 剪定は9月までに終らせましょう |
水やり
ビワを育てる際に、大事になってくることは水やりです。鉢植えの時は、表面の土が乾かないように注意が必要です。庭植えにした時は、真夏の日照りが続いた時にたっぷりと水を与えるようにしましょう。地面の土がカラカラになった時以外は、特に水やりの必要はありません。
摘蕾・摘果について
摘蕾(*1)は10月から2月頃、摘果(*2)は3月から4月頃に行います。この摘蕾と摘果をしてあげることによって、実は大きくなり、甘く美味しいビワができるのです。また、摘蕾・摘果をせずにそのままにしておくと、隔年結果(*3)を起こしてしまう原因にもなります。
- 摘蕾(*1):木にたくさんついた花の蕾や花を間引いてあげること
- 摘果(*2):だんだんと大きくなってきた実を1房に1~3果だけ残し、あとは間引いてあげること
- 隔年結果(*3):一年おきに実がたくさん付いたり、付かなかったりを繰り返すこと
袋かけ
ビワの袋かけは、3月から4月頃、摘果が終ってから行なう作業になります。なぜ袋かけが必要なのでしょうか。
- ビワの実を虫から守るため
- ビワの実が傷つかないため
- 太陽の日差しから守るため
収穫
袋かけも終わり、後は収穫の時期を待つばかりです。収穫の時期の目安としては、5月から6月頃です。収穫時期になると実は鮮やかなオレンジ色になり、だんだんと柔らかくなってきます。これが食べごろのサインです。収穫をして食べてみましょう。
剪定
剪定の方法ですが、ビワには「間引き剪定」をします。間引き剪定とは、葉の込み合った所の枝をノコギリなどを使い切っていく方法です。時期としては、収穫が終ってから9月頃までに終らせておくのがいいでしょう。ポイントは、木の内側にも太陽の光が入るようになることです。あまり切り過ぎて花芽がつく枝先が無くなった!なんてことにならないように注意しましょう。また、切り口には癒合材を忘れず塗って下さいね。ホームセンターなどで購入可能です。
ビワの木の言い伝え
さて、ここまで紹介してきたビワですが、その色や形からは想像できないような、縁起の悪い言い伝えがあるというのです。昔から語り継がれてきたビワの言い伝え。縁起が悪いとは、どういうことなのでしょうか。本当に不吉なものなのでしょうか。
かつてはビワの木を庭に植えると不吉との言い伝えがあった
「庭にビワを植えると、病人が絶えない」。このような縁起の悪い言い伝えがビワの木にはあることを耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。これには諸説あるようですのでご紹介します。
言い伝え① ~不吉な木刀~
ビワの木はとても硬い木です。そのことから、剣道の木刀にと利用されていました。昔は稽古中、面や防具を着けずに練習していた為、怪我をしたり、当たり所が悪いと亡くなってしまうこともありました。そこから木刀の材料だったビワは不吉な木と言われ、縁起が悪いと嫌われていました。ですが、今では硬い性質を活かし、「長寿杖」として縁起の良いものとされています。
言い伝え② ~家が湿気る~
ビワは冬になっても葉が枯れることが無い、常緑樹になります。夏は生い茂った葉が日差しを遮ってくれますが、家は陰り湿った環境をもたらすこともありました。(育て方のところでもお話しましたが、ビワは放っておくとグングン成長します。)ただ、剪定などして手入れをしてあげることにより、家が湿気ってしまうこともないでしょう。
言い伝え③ ~病気をもたらす~
次の章にてご紹介しますが、ビワには多くの栄養や効能があります。その効能がゆえに、庭に植えておくと見ず知らずの病人までもが、ビワを求め、庭に入ってしまったようです。病人達が庭に入ることにより、その家の人に病気をうつしてしまった。そんなことからも、ビワの木は不吉なものといわれたことがあったようです。
ビワの効能
ビワの実は甘くて美味しいだけでなく、不吉な言い伝えを作ってしまうほど、たくさんの効果・効能を持つ果実です。また、ビワの「葉」にも実に負けない位のたくさんの効果・効能があるようですので、さいごに、ご説明しましょう。
ビワの実の効果・効能
ビワの実には、ビタミン、ミネラルといった栄養が豊富に含まれています。先ずは「ベータカロテン」。きれいなお肌に欠かせない栄養素ですね。体内の余分な塩分を排出してくれる「カリウム」。疲労回復には欠かせない「ビタミンB」。生活習慣病を予防すると言われている「ポリフェノール」。免疫力をアップさせてくれる「ビタミンC」もたっぷりです。そのためでしょうか。風邪をひいた時には、生のビワの実を食べるといいと言われています。
ビワの葉の効果・効能
ビワの葉にも、実に負けないくらいの効果があります。ビワの葉を煎じた「ビワ茶」には、「アミグダリン」という成分が含まれています。このアミグダリンは、がん予防として注目されています。ビワ茶には他にも、ダイエット効果や美白効果なども期待されています。咳を鎮め、鼻づまりなどにも効果があるため、花粉症の方にもビワ茶はおすすめですね。
ビワ茶の作り方
ビワの葉は、新しいものではなく古い葉を選びます。葉の表面を軽く洗います。この時、葉の裏にある毛はタワシで擦るといいです。ざるなどに入れ、カラカラになるまでよく乾燥させます。はさみで細かく切ります。これで完成です。この乾燥した葉20gほどを、沸騰したお湯1Lの中へ入れ、20分ほど煮出します。味も匂いもあまり無く、とても飲みやすいお茶です。ぜひ、試してみて下さい。
まとめ
見た目もまん丸で可愛らしい形をし、とても甘く、美味しいビワ。その実と葉には体に良い効果・効能があるがゆえに、かつては縁起の悪い言い伝えなんかもありましたね。このようなことを知ってから食べるビワは、一段と美味しく感じられるのではないでしょうか。
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出典:写真AC