ザクロの剪定方法
ザクロの剪定は落葉後、12月〜2月です。花芽がついた枝を切り詰めないように注意し、枝を間引き樹形を整える剪定にしましょう。花芽は前の年に伸びた短い枝の先に8月ごろに作られ、よく年の6月〜8月に開花します。6月ごろに徒長した枝を切り、挿し木にしても根が付きやすいでしょう。株元から勢いのある枝が出たら根元から切り落とします。
ザクロを収穫するための育て方
ザクロには観賞用の花ザクロと収穫用の実ザクロがあります。花ザクロも果実ができますが、食用には向きません。食べることを楽しみたい場合は地植えにして実ザクロを育てるとよいでしょう。
実つきをよくする育て方
ザクロの実をならせるコツ
- ザクロは開花時期が梅雨と重なるため、花が結実しにくい特徴があります。花の付け根の膨らみが小さいものは実にならないので、早めに取り去ります。
- 枝葉ばかりが伸びて実がつかない場合は肥料は控えめにします。鉢植えでは花芽のできる6月中下旬ごろは肥料や水やりを控えましょう。
- 日当りが悪いと、果実の発育が悪くなるだけでなく花芽のつきも少なくなります。剪定時には、枝の込み合ったところをすかして、間引き剪定をします。
- 水はけの悪い土壌では生育不良を起こし、果実が育ちません。水はけをよくし、肥料も控えめにしましょう。
収穫時期の目安
ザクロの収穫は実が割れた時です。9月の終わりから10月にかけて行います。赤みの強く重みのある果実がおいしく食べられます。
ザクロを食べる
ザクロは西洋ではシロップ(グレナディンシロップ)やドレッシングなどとして食用とされてきました。日本では主に観賞用ですが、食用の苗も多く販売されるようになりました。料理に利用することによって楽しみを増やしてみたいですね。
ザクロの食べ方
【ザクロの果実の取り出し方】
- へたから1cmくらい切り落とし、へたを取る
- 赤い実を分けている白い筋に沿って縦に切り込みを入れる
- 切り込みに沿って開き、薄皮を取り去る
- ボウルに水入れて、果皮を叩くようにして、赤い実を取り出す
ザクロは硬い果皮のなかの赤い粒々を取り出して、そのまま食べることができます。サラダなどの料理の上にトッピングするとよいでしょう。潰してジュースやスムージーに加えて飲むこともできます。種が気になるようであれば濾してください。
ザクロの薬効
ザクロは古くから人の生活に深く関わっていた植物です。乾燥させた樹皮、根皮は、「石榴皮」「石榴根皮」といい、古くから条虫の駆虫薬でした。古代ギリシアの医者ディオスコリデスの薬物誌にも記述があります。果皮を乾燥させた「石榴果皮」は下痢などの薬として用いられました。
ザクロの言われや伝説
ザクロは古くから人の生活に関わってきた樹種なので、多くの言われや伝説があります。古くは紀元前数世紀前のペルシャ遺跡でザクロ文様が施された美術品が発見されています。
ギリシャ神話のペルセポネ
ギリシャ神話でペルセポネがザクロを数粒食べたために、一年のうち約半分を冥府で過ごすことになりました。これにより世界に四季が作られたとされています。
キリストとザクロ
ザクロは実が多いことから「豊穣」を、実の赤さから血が連想されて「犠牲」を、硬い果皮のなかに多くの実が入っていることから「教会の統一」を意味し、キリスト教の絵画に多くモチーフとして取り上げられました。上の画像はボッティチェリ の「ザクロの聖母子」です。幼子のキリストがザクロを持っているのは、ザクロがキリストの受難と苦悩を表しているからといわれています。
ザクロ文様
上の画像は有名な「貴婦人と一角獣」のタピスリーです。15世紀末フランドルで作られたものとされています。青いテントの地模様にザクロ文様が使われています。ルネッサンス全盛期のイタリアでも貴族のドレスなどに高貴な果実としてザクロ文様は多く用いられました。
鬼子母神
鬼子母神は仏教の神様です。天女の姿に子供を一人抱え、右手に吉祥果を持つとされています。吉祥果はもともとはザクロではなかったのですが、日本ではザクロで表現しています。
ザクロの花言葉
ザクロの花言葉は「円熟した優雅さ」です。またザクロの実にも花言葉があり「愚かしさ」です。それはギリシャ神話のペルセポネがザクロを食べてしまったことにちなんでいます。
まとめ
ザクロは人の生活に古くから関わりの深い果樹です。置き場所や水やりなども特に気にせず、育て方も挿し木など増やし方も簡単です。美しい花を鑑賞し、特徴のある実を食べることもできます。庭木や鉢植えとして育てて、楽しんでください。
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出典:写真AC