シーバックソーンとは?
シーバックソーンという植物を聞いたことがないという人もいるかもしれません。ここでは、シーバックソーンがどのような植物なのか見ていきましょう。
シーバックソーンの特徴
グミ科の落葉低木
アジアやヨーロッパの広範囲で自生しているグミ科の落葉低木のシーバックソーン。乾燥や塩に強く、海岸や砂漠のような過酷な環境でもすくすくと育ちます。また、耐寒性に優れている種も多く、枝には無数の鋭い棘がある樹木です。この棘の隙間を埋めるようして、花後に果実ができます。棘が多いため、収穫には少々手間がかかってしまうのが難点です。
砂漠の緑化に利用されている
シーバックソーンは、砂丘など他の樹木では育つことが難しいような厳しい環境でも根を張る植物です。岩場のような地面でも自生していることから、生命力が強さを感じられるでしょう。また、根を張る際に窒素固定を行う性質を持っているのも大きな特徴です。シーバックソーンを植えることで地面を安定させる効果があるとして、中国では砂漠緑化に役立てられています。
シーバックソーンの名前
国によって名前が異なる
シーバックソーンには多数の呼び名があり、さまざまな名前で呼ばれています。たとえば、健康食品でサジーやシーベリーなどを目にすることがありませんか。実は、これらはすべて同じ、シーバックソーンです。原産国や海外で先に奇跡の果実と呼ばれて話題になっていたということもあり、呼び方や名前に違いがあるまま浸透しています。
名前に違いがある理由
シーバックソーンが日本で有名になったのは近年ですが、原産国では昔から身近な食べ物でした。そのため、親しみを込めてそれぞれの国の言葉で名づけられていて、現地の名前のまま日本に輸入されていることが主な理由です。また、国によって微妙に栄養の割合や色味に違いがあり、区別を付ける目的もあります。
ボタニ子
シーバックソーンの果実
ここでは、シーバックソーンの果実について詳しく見ていきましょう。
オレンジ色の小さな果実
ジュースやオイルといったように、加工された状態で売られていることが多いシーバックソーンの果実。実るのは雌株だけで、雄株と一緒に植えることで果実ができる、いわゆる雌雄異株です。あざやかなオレンジ色や黄色っぽく、小さな実です。味は酸っぱさと渋みが強く、生食には向いていません。
栄養が豊富
「奇跡の果実」と呼ばれることがあるほどに、シーバックソーンにはビタミン類がとても豊富に含まれています。通常、なかなか摂れないような鉄分や油脂なども詰まっているのが魅力です。冷え性や肌荒れ、貧血の改善や予防などさまざまな病気や体調不良に対して効果や効能があるとされていて、健康に必要な栄養素をシーバックソーンで補えます。
ボタニ子
油脂が含まれている果物は非常にめずらしく、貴重と言われています。
シーバックソーンの効果・効能
シーバックソーンの効果効能①がん予防・病気予防
シーバックソーンはがん予防にもよいとされています。がん予防や抗がん作用があるとして研究結果が発表されているカロチネイドとクマリンを含んでいるからです。それだけでなく、体の免疫力を高める効能があり、風邪をひきづらくなるともいわれています。生活習慣病や血流の改善に必要な栄養があるため、たくさんの病気を予防する効果があるのです。
シーバックソーンの効果効能②腸内環境の改善
食物繊維が含まれている量は、ベリー類のなかでも特に多いです。また、腸の動きを活性化させる乳酸菌のサポートをするビタミンCや、腸内改善に役立つリンゴ酸などの有機酸もたくさん含まれています。そのため、便秘になりやすい人にはもちろん、お腹を壊しやすいという人にもぜひおすすめしたい果物です。
シーバックソーンの効果効能③美容
シーバックソーンには代謝をよくするのに効果的な栄養素や、肌や髪を若々しく保つ効果があるとされるビタミンEやカロチネイドがたくさん含まれています。体の内側からだけでなく、塗るだけでも肌や髪の悩みに効果を得られることから、美容クリームや化粧水または傷んだ髪を修復するためのオイルにも使用されています。
ボタニ子
昔から、馬の毛艶や肌のケアに利用されていました。
シーバックソーンの利用法
シーバックソーンの利用法①スムージー・サラダ
体によいとはいえ、そのままシーバックソーンだけを食べるには少し酸っぱさや渋さが目立ちます。果汁だけで作ったジュースも美味しいですが、他の野菜や果物と一緒にスムージーとして飲むのがおすすめです。また、果汁を使ったものをドレッシングや索子に混ぜて、サラダにかけたりすることで、隠し味としての利用もできます。
シーバックソーンの利用法②ジャム・ケーキ
昔からシーバックソーンが身近な食べ物だったロシアなどでは、果実を煮詰めてジャムとして食べられることが多いようです。この利用方法は日本でも人気があります。また、果汁を混ぜてつくるシフォンケーキやジェラートなどスイーツに利用されることが多いです。甘いものと合わせることで酸っぱさがやわらぎ、レモンやブルーベリーとはまた違った風味で人気があります。
まとめ
シーバックソーンは、シーベリーやサジーとして日本でも人気です。美容や健康に必要な栄養が小さな果実一粒一粒にぎゅっと詰まっています。さまざまな病気や体調不良の改善や予防をしてくれるだけでなく美容効果もあり、まさに奇跡の果実といえるのではないでしょうか。北海道では栽培も始まっているため、さらに身近になるかもしれません。
サジーやシーベリーの他に、日本ではスナジグミとチャチャルガン、また中国の沙棘も有名です。