レンブ(蓮霧)とは
レンブ(蓮霧)は「Aqueum」(無色、水のような)という学名が冠されるように、熱帯地域の爽やかな果実の植物です。植物学の辞典でもフトモモ科の果樹としてなかなか立派な解説がありますが、日本ではあまり馴染みのない果樹です。
レンブは亜熱帯地域の南国植物
主にマレーシア諸島、インドネシア、フィリピン、ハワイ諸島など熱帯、亜熱帯地域に広く分布する常緑種の高木で12m以上の熱帯樹木です。原種の果実は木に鈴なりなのでとても小さく3~5cmほどの赤い実です。台湾などの市場にあるものは食用の園芸種で手のひらに乗るサイズです。
レンブの別名は「ワックスアップル」「ローズアップル」
表面はツルツルした果物で薄皮で光沢があります。レンブの別称のワックスアップルは、ほのかなリンゴの香りとこの見た目からついたようです。ちなみにピンクの品種もあり、こちらは「ピンクワックスアップル」といわれていますが大方「ミズレンブ」をさして使われているようです。
台湾ではミズレンブも市場に出回っています
ミズレンブもレンブと同様のフトモモ科のりんごの仲間の植物です。レンブよりも小ぶりで色も薄い桃色をしています。皮も薄く水分も多目ですので生食に向いているといえます。なかなか日本では市場で見ることもないのですが、こちらも沖縄地方では希少栽培されている品種です。
おいしい旬の時期は?
本場台湾では真夏以外はパック詰めでスーパーにも並んでいるそうですが、旬は春から初夏にかけて美味しく実るようです。台湾・高尾の市場では色とりどりの南国フルーツと共に、レンブやミズレンブが並べられています。日本でも沖縄産のレンブは6月~8月にかけて市場に出回っています。
レンブの風味
原種は香りはリンゴですが、果肉は果汁も少なく海綿質なので果肉は粗いです。酸味はあるのですが園芸種でもないかぎりあまりおいしいものではなさそうです。下の画像のようにざっくり割るとリンゴと水分が少ない洋梨を足したような果肉質です(こちらは園芸種なのでかなり美味く改良されています)
薄くスライスしたり、サイコロ状にダイスカットしてサラダの彩りに加えるのもポピュラーな食べ方です。皮もそのまま食べられますがアクが強いと感じるならば下ごしらえに軽く塩水に通して(又は塩揉みして)他の食材と合わせるとよいでしょう。
痩せた土地でもたくましく育つ果物レンブ
亜熱帯、熱帯植物だと日本ではあまり育たないイメージがありますが、水さえ充分であれば痩せた土地でも生育します。但し果実は小さくてあまり結実しません。鉢植えでも剪定と肥料、土作り(ph調整)が悪いと葉はよく育だちますが実はならないということになります。
地植えの場合は、鈴なりに結実しますので、収穫までに多少間引いておかないと大きな実になりません。そして水分が少なければ表皮も硬くなります。神経質な水やりやこまめな追肥は特に必要ありませんが、本州以北の寒冷地で期待するようなレンブを収穫するにはハウスや温室栽培がいいでしょう。
次のページでは、レンブのおいしい食べ方を解説します。