野菜以外にべと病が発生しやすい植物
①ブドウ
主に葉での発生が多いですが、野菜とは違い果実や新梢、巻きひげにも発生するため、ブドウでは防除が難しい重要な病害の一つでもあります。部位別にどのような症状が出るのか紹介します。
葉の被害
葉では淡い黄色や褐色の多角形をした斑点ができ、その裏側には純白色のカビが生じます。葉で被害が多いと、秋に早い時期に落葉してしまい、果実の成熟に影響が出てしまいます。
果実の被害
まだ小さい果実の段階で感染した場合、水がしみたような光沢のある黄緑色の斑点ができます。そしてその上に白いカビが生えてきます。進行するとその病斑は褐色に変わっていきます。
果房への被害
果実だけでなく、果房全体に感染してしまうと、菌糸がまん延して日焼けしたような症状が見られるようになります。次第に果実が褐色から黒く変色し、レーズンのように乾いた状態になって落ちてしまいます。
②バラ
葉、茎、新芽や花柄などバラ全体に発生します。葉では水がしみたようないびつな小斑点ができ、次第に大きな灰褐色の病斑になります。湿度が高いときには病斑の裏側に白いカビも生じます。新芽や花柄も同じような症状ですが、茎ではやや陥没した状態になります。
べと病の予防対策
予防対策①排水をよくする
水がないとべと病菌は発芽できないため、水はけをよくすることが何よりも効果があります。畝を高くしたり、周りに溝を掘って水が逃げやすくすることが有効です。また畑には毎年しっかり堆肥や土壌改良材をすきこみ、腐植質を増やすことで水はけのよい土づくりを行いましょう。
予防対策②風通しをよくする
株と株の間が混みあい、葉が茂りすぎた状態になると、風通しが悪くなり蒸れやすくなります。日が当たりにくく湿った場所は、病原菌が最も好む場所になります。植え付けるときにはしっかり株間をとり、葉が茂りすぎた場合は株の葉全体にしっかり日が当たるように葉や枝を間引くことも大切です。
予防対策③雨よけをする
露地栽培で地面に近いところで育つ野菜には、マルチや敷き藁などを利用して泥はねからの感染を防ぐのも有効です。株の高さがある野菜には市販の雨よけセットなどを利用するのもよいでしょう。
予防対策④肥料を与えすぎない
株を大きく育てて果実の収量を増やすには、肥料をどんどん与えればよいと思っている方も多いのではないでしょうか。しかしそれは逆効果になる場合があり、肥料の与えすぎによって次のことが起こります。
組織が軟弱になる
肥料の中でも特に窒素肥料分が多くなると、徒長したり組織が軟弱になるため傷つきやすく、病気が侵入しやすくなります。また虫も加害しやすくなるため、そこからさまざまな病気が媒介されることもあります。
株が茂りすぎる
肥料が多すぎると株が茂りすぎて、蒸れや病害虫の温床になることも少なくありません。途中まで元気がよかったが、暑い時期になって急に病気になった…という場合はこのパターンも考えられます。
予防対策⑤肥料切れさせない
多く肥料を与えるとダメといって、全く与えないのもよくはありません。特に果実がつく野菜や果樹などは、結実期に多くの肥料分が取られます。収穫期の肥料切れは株を弱らせる原因にもなります。肥料を与える際は、しっかりと作物ごとの適量と時期を守り、長くバランスのよい管理が大切です。
予防対策⑥抵抗品種を選ぶ
苗や種を購入する際にべと病に抵抗力の強い品種を選ぶことも重要です。きゅうりなどウリ科の野菜では病気への耐性が強い台木を使用した接ぎ木苗も多く出回っていますのでそれを利用するのもよいでしょう。種はどんな病気に耐性があるかはパッケージに記載がありますので確認してみてください。
予防対策⑦農薬を散布する
病気が出てしまってから慌てて農薬を散布する方が多いかもしれませんが、実はそれでは遅いのです。殺菌剤の多くは予防目的で作られているものが多く、発病前に定期的に散布することで効果が高まります。一つの農薬だけではなく、複数をローテーション散布するのも有効です。どのような農薬を使うか詳しく後ほど説明します。
べと病が発生したときの治療方法
治療方法①発病した葉は取り除く
葉に発病が見られた場合、そこから胞子が飛ぶ恐れがあるので早めに取り除きます。取り除いた葉は必ず畑の外へ出し、土中深くに埋めるかゴミとして処分します。ハサミなどを使う場合は、器具の消毒も忘れず行いましょう。
葉の取りすぎに注意
治療目的とはいえ発病した葉をどんどん取ってしまうと、光合成ができなくなりさらに株を弱らせることもあります。発病初期であれば農薬で抑えられることもありますので、症状がひどい葉を重点的に除去しましょう。
治療方法②農薬を散布
予防殺菌をしていても、環境や天候によってどうしても発病してしまうことはあります。野菜類のべと病に関しては治療専用の農薬はありませんが、予防治療兼用の農薬がありますのでそれを利用するとよいでしょう。
治療方法③株を抜き取る
それでも発病が抑えられず、他の株への感染のおそれが大きくなる場合は、株を抜き取り処分する必要があります。葉と同様に必ず畑の外へ持ち出し処分します。抜き取ったあとの生育環境を確認し、土壌改良や土壌殺菌などの対策をしましょう。