紅葉が美しいフウ(楓)類
楓という漢字が名前に入りますが、「フウ」と読み、カエデとは別の品種です。よく見ると、カエデの仲間とは葉のつき方などが異なります。しかし秋になると、もみじや楓のように美しい色に変化します。大きく育つため、庭で育てる際は注意が必要です。
もみじのようなモミジバフウ(紅葉葉楓)
漢字で書くと、とてもおもいろい名前ですね。こちらもフウの仲間なので、楓ではありません。しかし、もみじの形にとても似ていて、きれいに紅葉します。葉のふちには小さなギザギザがあり、切れ込みも入っています。一般的なもみじの葉に似ていることから、この名前がつきました。夏は黄緑色で、秋になると、オレンジ色や黄色、真っ赤になることもあります。
一般的なもみじとの見分け方
モミジバフウと、ほかのもみじの一番大きな違いは、その実の付き方です。モミジバフウは、紅葉の時期になると、たくさんのトゲトゲの実をつけます。一般的にもみじと呼ばれている樹木は、小さな羽のような種をつけます。
葉の色の変化について
おすすめのもみじの品種を紹介しましたが、葉の色の変化について少し解説します。秋になると、もみじが赤色やオレンジ色になったり、イチョウが黄色くなったりしますよね。このように、葉の色が変化することを一般的には「紅葉」と呼んでいます。しかし正確には、赤色、黄色のほかに茶色もあることをご存知でしょうか。赤色、黄色、茶色にわけてご紹介します。
赤くなる「紅葉」とは
「紅葉」と聞いて思い浮かべるのが、赤色ですね。その名の通り、紅葉とは、イロハモミジやノムラモミジのように、葉が赤色になることです。これは、季節の移り変わりによる温度や湿度の変化に伴い、葉の中で科学的な変化が起こり、アントシアニンという色素が作られることで起こります。アントシアニンは、ブルーベリーやナスなどに含まれる色素として有名ですが、同じ色素がもみじの中にもあるというのは驚きですね!
黄色になる「黄葉(こうよう)」とは
「こうよう」と聞くと「紅葉」を想像しますが、葉が黄色く変化することも黄葉(こうよう)といいます。黄葉する代表的な樹木といえば、公園や街路樹でおなじみのイチョウですね。また、ハート型の葉を持つカツラの木も秋になるときれいに黄葉します。
茶色になる「褐葉(かつよう)」とは
褐色というと、どんな樹木だろうと考えてしまいそうですが、秋になり、茶色くなって落ちる葉の多くは、実は「褐葉」です。紅葉しないで枯れているように見えますが、確かに、夏の緑色から茶色に変化していますね。これも、葉の中で科学的な変化が起きることで見られる現象です。
紅葉しないのはなぜ?
同じ品種の樹木でも、きれいに紅葉をする木と、あまり紅葉しない木がありますね。これは何が違うのでしょうか。昔から言われているのは、「昼夜の寒暖差が大きいと、色鮮やかに紅葉する」ということです。山あいで、とてもきれいな紅葉を見たことはありませんか?紅葉の名所などがそうですね。これらの場所は、日中はぽかぽかと暖かく、夜は冷える場所にあります。
寒暖差が小さいと?
寒暖差が小さい場合、あまり紅葉しないで葉が落ちてしまいます。山あいできれいに紅葉していたから、家でも見たいとその樹木を持ち帰り庭に植えたとします。しかし、山あいのように寒暖差大きくないと、同じもみじなのにきれいに紅葉しない場合があるので注意しましょう。
日当たりがよく、湿度もある場所がおすすめ
きれいな葉の色の変化を見るためには、あたたかく、日光が十分に当たる場所であることも大切です。しかし、日差しが強すぎて乾燥してしまうのはよくありません。適度に湿度がある場所がよいでしょう。
山で見られる、きれいなもみじの秘密
時折、遠くからでもきれいに見える、山に生えているもみじの木がありますね。遠目でも見えるということは日光がしっかり当たる場所に生育しているということです。そして、夜は気温が下がり、地面や他の植物により湿度も適度に保たれています。このような条件が、美しい紅葉を生み出しているのです。
もみじが紅葉しない場合
せっかくもみじを購入したのに、期待していたように紅葉しないと残念な気持ちになりますね。前述したように、もみじの紅葉はその場所の環境が大きく関係しています。寒暖差が小さすぎたり、乾燥しすぎたりという環境だと、紅葉しない場合があります。これらに注意した上で、寒暖差がつくような場所に置いたり、日光や湿度を確認したりしてみましょう。
ネット購入の注意点
ネットショッピングで購入した場合は、環境の違いにより、インターネット上の写真と同じように紅葉しないという場合があります。また、同じ品種であっても個体差があるので、同じようにならない可能性もあるということに注意して選びましょう。
あまり紅葉しない年もある
ノムラモミジなど、真っ赤に紅葉するイメージがありますが、年によってはあまり紅葉しない時もあります。それは、もみじの紅葉が温度や湿度などの天候に左右されるためです。これらは、自分ではどうにもできない部分もあります。しかし、「ほとんど紅葉しないで葉が落ちてしまった」と残念に思う必要はありません。翌年は真っ赤な紅葉が見られることもあるからです。自分が選んだ品種の特徴を確認して、毎年の天候によって表情が変わることも楽しみながら育ててみましょう。
もみじの種類を選ぶポイント
もみじは、色や形など多種多様です。もし、もみじを庭木として考える場合は、各季節での自分が描いている庭のイメージを大切にしましょう。春、夏にどのような色の葉が見たいのか、秋にはどんな紅葉が見たいのか、和風がいいのか、洋風がいいのか、枝垂れなど多くの品種を持つもみじだからこそ可能なことがあります。ほかの樹木との色合いや、葉の形、大きさなどを考慮して選びましょう。
まとめ
もみじは、秋だけではなく、年間を通してどの季節でも楽しめる樹木です。葉の形や色合いなど風情があり、昔から日本人に愛されてきました。庭に植える場合は、アクセントになったり、シンボル的な木になったりと、さまざまな用途に用いられます。庭がない家庭でも、小さな鉢植えで四季の移り変わりを味わうことができるため、盆栽としてもおすすめです。今年はぜひお気に入りのもみじを見つけて、その情緒ある外観を楽しんでみましょう。
出典:写真AC