ツルボ(穂蔓)とは?
ツルボの基本情報
ツルボはユリ科ツルボ属で、日本、中国、朝鮮半島に分布する多年草の植物です。学名はScillaScilloides、和名はツルボ(蔓穂)、参内傘(サンダイガサ)です。他の花のような華やかさはなく、雑草扱いで一般の園芸用品店で売り出していることは滅多にありません。ツルボの仲間の植物である「シラー」はヨーロッパ原産で種類は100種以上あります。
名前の由来
ツルボの名前には、球根の外側の皮をはがすとつるつるとした坊主頭に似ており「つるぼうず=ツルボ」になったという面白い説があります。また、和名の参内傘(サンダイガサ)の由来は、昔お公家さんが宮中に参内するときに家来に持たせていた傘をたたんだときの形に似ていたためといわれています。
ツルボの特徴
葉、茎の特徴
茎の長さは20~40cmほどです。葉は細長い線状で、根元から2枚生えてきます。長さは10~20cmほどで、開花の時期には葉がなく茎のみの場合もあります。
実の特徴
実は花が咲いた後にでき、熟すると下部が裂けて種子が放出されます。風により散布される「さく果」です。
球根の特徴
球根は小さく、地下に埋まっています。外側の皮は黒いですが、剥くと中身はつるつるしています。
薬効のある植物
ツルボには、薬としての効果もあるといわれています。球根をすりおろしてガーゼにつけ、湿布として使用すれば火傷、切り傷、神経痛、皮膚病に効果があると期待されていました。近年の研究で、実にもさまざまな効能があることがわかっています。医薬品として、ツルボエキスを原料としたうがい薬や化粧水なども販売されています。
食用としても
ツルボの鱗茎にはデンプンが多く含まれており、戦後の食糧が少ない時代に重要な栄養源として食べられていました。球根の根と外側の皮をきれいに取り除いてから食べやすい大きさに切り、塩で数回茹で返してから好みの味付けをして食べるようです。
花びらの色は?
ツルボの花びらの色は赤か紫または薄紫色が一般的ですが、花の色が白い「シロバナツルボ」という植物もあります。花びらの数は外花被片3枚、内花被片3枚の計6枚で花の中央にあるおしべの数も同じ6本です。花は下から上に向かって順番に咲いていきます。
ツルボの見分け方
ツルボと他の植物との見分け方
ツルボとよく似た植物に「ヤブラン」があります。ヤブランもツルボと同じユリ科の多年草で開花時期も同じです。花の色も赤や紫で見分けがつきにくいですが、ヤブランはツルボに比べて葉が固くて色が濃く、長さもあります。見分けるときは葉を見るとよいでしょう。
ツルボとルツボ
ツルボのことをネットで調べようとして間違えて「ルツボ」と検索してしまっても、ツルボの画像が出てきます。どうやらツルボとルツボを間違えている人が多いようです。似ていますが正しくは「ツルボ」です。間違えないように注意しましょう。
ツルボの育て方
雑草として扱われるくらい、ツルボは丈夫です。育て方も難しくありません。ここでは、ツルボの育て方を詳しく見ていきます。
どんな環境で育つの?
日当たりのよい場所を好む
ツルボは耐寒性があり、日当たりのよい場所を好みます。日本では北海道から沖縄までの全国各地に分布しています。国内の野山や田畑、海岸や土手などの日当たりのよい広い場所で見られるでしょう。
育て方のポイント
水やり
庭にツルボを植える場合は水やりは必要なく、降雨で十分です。鉢植えの場合は、日照りが続き土がカラカラになってしまったら水やりをしましょう。
用土
水はけがよいアルカリ性寄りの土が適しています。肥料は特に必要ありません。
植え替えや増やし方
数年は植えたままでOKです。増えてきたら春に球根を分球して球根で増やします。
ツルボの開花時期はいつ?
ツルボの開花時期は夏の終わりが見えはじめ、涼しくなってきた8月の終わりから9月頃です。観賞期間は10月頃までで、ツルボの花を見ることで秋を感じられるでしょう。球根ではなく種まきからはじめた場合は、開花まで2年以上かかります。
まとめ
雑草とは思えないほどかわいらしい花を咲かせるツルボ。いろいろな場所に分布しているため気軽に見られ、強い植物で家庭で育てる場合もとても簡単です。涼しくなってくる秋のはじまりには、ツルボの花を探しにお散歩に出かけてみるのもよいですね。
出典:写真AC