ナゴランの植え替え・植え付け方法
ナゴランは自然の中で、木や岩などに着生して空気中の水分や雨で育つ植物です。そのため、「土」に植えるより水はけが良く、風通しのよい「水ごけ」に植える方法や「ヘゴ板」などに着生させる栽培方法が基本です。しかし、水ごけを使う場合、ただ土を水ごけに変えるだけではなく、ちょっとしたポイントがあります。
基本は水ごけを使った植え方
植え方とポイント
水ごけを使った植え方のポイントは、水ごけの中に「芯」を作ることです。植え方は4ステップです。
- 鉢に入るサイズの発泡スチロールや木炭などを芯を用意します。
- 水ごけを芯の上に山を作るようにかぶせます。
- その上にナゴランの根をおらないよう注意しつつ広げてのせます。
- さらに水ごけでやんわり包むか、木綿糸で根を固定し、そのまま鉢に入れ込めば完成です。
置き場の環境ごとに一工夫
木炭などで芯を作った植え方以外にも、もっと通気性がよく、乾きやすくしたい場合は、芯を入れるのではなく、中を空洞にしてしまう方法もあります。芯の部分を鉢に植える前に取ってしまい、空洞にして、そのまま鉢に入れ込めば空洞植えの完成です。ナゴランを栽培する環境に合わせて、植え方を工夫してあげるのもお手入れとして大事なことですね。
注意点
水ごけは劣化するものです。そのため、2年に1度は交換が必要になります。交換の際は、根をおらないよう慎重に水ごけを取ってあげましょう。このとき、芯にしている素材が劣化しているようなら、こちらも交換することが大切です。
流木・ヘゴ板に着生させる方法
植え方とポイント
流木・ヘゴ板などに着生させる植え方のポイントはナゴランをつける向きとくくりつけ方です。植え方は3ステップです。
- ナゴランの葉の表面(光沢がある面)を外に向けます。
- 株が下を向くようにつけます。
- 麻糸や針金で本体と根をくくりつけます。しかし、本体は一回巻く程度で、根を中心にしっかり固定します。
樹木に着生させる方法も
自然と一番近い状態の育て方が、実際の樹木に着生させる栽培方法です。樹木に着生させる場合、幹の部分や、枝元などにくくりつけるのがベストです。冬でも気温が5℃以下になりにくい地域ならこの方法も可能です。通気性も抜群、適度な雨もあり、さらに、木陰ならではの柔らかな日差しもあるという、ナゴランにとってはよい環境ですね。
植え替え・植え付けの時期
ナゴランの植え替え・植え付けは、5月ごろが適しています。気温が温かくなり、元気に成長し始めるこの時期に植えることで、しっかり根を張ってくれます。
ナゴランの増やし方
増やし方としては、2通りあります。種から育てる方法と子株を株分けする方法です。
①種から育てて増やす方法
種から育てる場合、無菌培養で育てる必要があります。無菌培養とは、微生物や菌などがいない状態で、なおかつ、成長に必要な栄養分のある環境で人工的に育てる培養方法です。家庭でできるやり方もありますが、本格的にするには専用の施設が必要となる一般には馴染みのない方法です。
②株分けでの増やし方
大きな株の横から子どもの株がでてきた場合、株分けで増やすことができます。子株がでてきたら、子株からも新しい根がでてきます。親株と子株の境目を慎重に見分けつつ、切り離し、あとは水ごけに植えるか、ヘゴ板などに着生させて育てていきます。
【番外編】増やすのが難しいナゴラン
子株がつきにくい
ナゴランは、近隣種であるフウランより増やすのが難しいとされています。その理由の1つが、子株がつきにくいという点です。フウランは成長するにつれ、よく子株をつけてくれます。一方ナゴランは、葉を数十枚つけるほど大きくなっても、子株をつけない場合があります。
子株をつけるかは個体差がある
ナゴランによっては、よく子株をつけるものもあるようですが、個体差があり、その差の理由は明らかになっていません。しかし、手入れを怠らず大事に育てれば、10年以上も元気に育ってくれるナゴランです。1つの株を大切に、大きく育ててあげるのも楽しいですね。
まとめ
フウランとよく似た見た目と、コチョウランのような花の咲き方をするナゴラン。小さくともいくつもの花をライン上に咲かせる姿は可憐で美しいですね。大切に育てれば、毎年香りのより花を咲かせてくれるのも嬉しい限りです。置き場にも困らない小さなランですので、お部屋の中で大事に育てて、お部屋でお花見なんて贅沢を楽しむのもいいですね。
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