ユーチャリスとは
「ユーチャリス」という名前は知らなくても、蘭によく似た、純白の花を見たことがある人は多いと思います。日本では「アマゾンリリー」または「アマゾンユリ」と呼ばれているので、その名前なら知っているという方もいるのではないでしょうか。ユーチャリスは主に切花やブーケとして使われていますが、自分で球根から栽培することもできます。ユーチャリスについて、詳しく見てみましょう。
ユーチャリスとは
- 科名:ヒガンバナ科
- 属名:ユーチャリス属
- 学名:Eucharis grandiflora
- 球根から育てる:春植え球根
- 別名:アマゾンリリー・アマゾンユリ・ギボウシユリ
- 原産地:中央~南アメリカ(アンデス高原)
- 花の時期:不定期(季節を問わず、高温多湿など条件がそろえば数回咲く)
- 花言葉:清らかな心・気品・純な愛情・清々しい日々
ユーチャリスとアマゾンリリー、アマゾンユリの違い
ユーチャリスは原産地で16種類自生していて、代表原種は「アマゾニカ」という品種ですが、自然交雑種で香り豊かな「グランディフロラ」という品種が日本で主に栽培されているユーチャリスで「アマゾンリリー」「アマゾンユリ」と呼ばれています。ただし「アマゾンリリー」「アマゾンユリ」と言われていますが、百合ではありません。あくまで花姿が似ているというだけです。
ユーチャリスの名前の由来は
ユーチャリスというのは、ギリシャ語の「eu(よい)」「charis(引き付ける)」を合わせた名前です。つまり、よく(人目を)引き付けるということで、美しい真っ白な花姿からとられたものです。「アマゾンリリー」「アマゾンユリ」はアンデスの高地などが原産地であることからつけられました。「ギボウシスイセン」という名もありますが、ギボウシに似た葉の間から水仙のような花を咲かすという特徴から名づけられました。
ユーチャリスの特徴は
ユーチャリスは純白で清楚な花です。また日本で栽培されている「グランディフロラ」種は「グランディフロラ(大きな花の意味)」という意味の通り、大きな花が咲きます。詳しい特徴を紹介します。
花の特徴
だいたい50〜60cmの長い花茎を伸ばして、先端に3〜6輪の花を咲かせます。花の大きさは8〜10cm、色は純白で香り豊かで水仙のような形をしています。付け根は長い筒状で、先端が6枚の花びらにわかれています。うつむき加減に咲きますが、正面から見ると六芒星のような整った清楚な姿をしています。また3〜4日ごとに一輪ずつ咲いていくので長く楽しめるのも特徴です。開花の時期は温度をしっかり管理すれば季節を問わず咲きます。
葉の特徴
葉は根だしなので地際からでてきます。そして広楕円形で先端が尖っていて、はっきりとした葉柄がついています。アマリリスのような長くしっかりした濃い緑色の葉です。
ユーチャリスの花言葉
ユーチャリス(アマゾンリリー・アマゾンユリ)の花言葉は「清らかな心」「気品」「純な愛情」「清々しい日々」です。清楚で清らかな純白の見た目からとられたものです。結婚式のブーケや髪飾りに使われるのも納得です。花言葉を込めてプレゼントにするのも素敵です。プレゼントを渡す時に花言葉も伝えると、さらにロマンティックですね。
ユーチャリスの育て方
ユーチャリス(アマゾンリリー・アマゾンユリ)は寒さに弱く、寒い季節には温室などで温度管理が必要なことから育て方は難しいので、中級者以上の方におすすめします。けれども、あの美しい花をぜひ育てたいと言う方は、しっかり育て方を確認したうえで栽培しましょう。
植え付け
用土
水はけがよく、よく肥えた土を好みます。自分で配合するなら赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜましょう。自分で配合する自信がない人は、球根用の園芸用土に植えつけてもいいですね。できれば緩効性肥料を混ぜておく方がよいでしょう。また温度管理が難しいので鉢植えがおすすめです。
植え付け・植え替え方
球根で植えつける時期は5月~6月に5号鉢に1球植えましょう。1本だけというのは寂しいと感じるならば、もう少し大きな鉢に2,3球植えるのもおすすめです。植えつける深さは浅植えで、球根の方が土の上に出るぐらいの深さに植えるのが最適です。植え替えは2年~3年に1度、新しい土に植え替えます。時期はやはりこちらも5月~6月が適しています。その際、根っこを傷めると生育が悪くなりますので、元気な根っこを折ってしまったり、傷つけないように十分注意しましょう。
育て方
中級者向けとは言え、育て方さえわかれば誰でもユーチャリスを栽培できます。特に温度と日光のあて具合がポイントです。不定期の花を数回咲かせられるように、育て方を見て行きましょう。
日常のお手入れ
ユーチャリス(アマゾンリリー・アマゾンユリ)の育て方のポイントは温度管理です。開花に適した季節はないのですが、栽培温度をうまく調節すると年に数回開花することがあります。その栽培ポイントは25度前後の気温を2週間以上保つことか、葉がしおれるぐらい乾燥する時期を数回繰り返させることです。花がしおれてきたら、1個ずつ花がらをつみとり、最後の1個が終わったら茎ごと切り取ります。
置き場所や管理方法
時期ごとに変わりますが、基本的には明るい日陰や半日陰に置きましょう。6月~9月の真夏の直射日光には当たらないように十分気をつけます。屋外管理できるのは、5月~10月までの暖かい時期だけです。室内管理する場合はレースのカーテン越しに日を当てましょう。高温多湿を好むので、湿度にも注意します。
水やり・肥料
花を何回も咲かせるためには乾燥させる栽培方法もあると書きましたが、株を傷めることにつながるのでなるべく避けます。(花を数回見たい場合は、高温多湿にする方法をとる方が無難です。)土の表面が乾いたらたっぷり水をやります。冬は生育時期ではないので控えめにします。ただし寒い季節でエアコンなどで乾燥していると感じたら、霧吹きで葉裏を湿らせるとよいですね。肥料は、10日~2週間に1度液肥を与えましょう。また、2~3ヶ月おきに置肥をやればさらに生育がよくなります。
冬場の管理
ユーチャリス(アマゾンリリー・アマゾンユリ)の管理で一番大事だと言われているのは、冬〜早春の寒い季節の越し方です。10度以下になると枯れるので、不安な方は室内用温室で管理するのをおすすめします。10月ごろから水遣りを減らして、12月~3月まで水を一切やらずに日陰で休眠させる方法もあります。けれども、生育が遅れると花が咲かないこともあるので、できれば10度以上の温度を保ち、数日に一度水遣りをしましょう。また、3月ごろの早春は栽培温度が低いと生育が遅くなり花が咲かなくなるので、特に春先は温度管理をしっかりすることが大切です。
病害虫は?
主な害虫はカイガラムシです。見つけ次第、歯ブラシ等でこそげ落としましょう。ハダニも葉裏についていることがあるので、時々確認します。殺虫剤を散布すると予防によいですね。目立った病気はないですが、植え替えした時は注意して観察した方がよいです。
出典:写真AC