ナイトフロックス(ザルジアンスキア)とは
月下美人のように、夜に花が咲き甘い香りの楽しめるナイトフロックス(ザルジアンスキア)をご紹介します。一度は育ててみたくなる、ナイトフロックスの品種と特徴、色や香りの魅力、さらに育て方から増やし方までをわかりやすく解説していきます。
基本情報
科名/属名 | ゴマノハグサ科/ザルジアンスキア属 |
原産地/分類 | 南アフリカ/多年草(1年草扱い) |
草丈 | 15〜45cm |
開花時期 | 3月〜5月 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 弱い |
育てやすさ | ★★★☆☆ |
ナイトフロックス(ザルジアンスキア)の種類
ナイトフロックスにはいくつかの種類があります。上の画像は「ザルジアンスキア・オレンジアイ」という種類で、花の中心がオレンジ色で個性的な印象を与えます。国内での流通はこれからの、注目のナイトフロックスです。ここでは、よく見かける品種名と流通している商品名をご紹介します。
ムーンライト・フラグランス
「ザルジアンスキア・オヴァタ」という品種名がありますが、「ムーンライト・フラグランス」という名前で流通しています。同じ品種の葉が斑入り(白く模様が入る)の種類は、「スィート・フラグランス」という名前で流通しています。園芸店でよく見かける品種です。
ミッドナイト・キャンディ
「ザルジアンスキア・カペンシス」という品種は、「ナイト・フロックス」や「ミッドナイト・キャンディ」という名前で流通しています。これも園芸店でよく見かける、人気のある品種です。
ナイトフロックス(ザルジアンスキア)の3つの特徴
早春の3月ごろから園芸店に出回り始めるナイトフロックスには、ほかの花とは違う独特な魅力があります。一度は育ててみたくなる、3つの特徴を具体的にご紹介していきます。
特徴①小花がかわいい
ナイトフロックスはグリーンの細かい葉に、5枚の小さなハート型の花びらが付いています。花の大きさは2cmほどの小さなものですが、花付きがよく小花がこんもりとした姿も魅力です。花びらの内側が白で、外側が赤ピンク色、2つの色が楽しめるのも特徴です。
特徴②夜に花開く
ナイトフロックスは、昼と夜で異なる花の表情を見せるのが特徴です。夕方から夜にかけて、ゆっくりと花が開いていきます。昼間は赤ピンク色の蕾を、夜は開いた白い花を楽しめます。夜でも暗いところでないと、花と香りが堪能できない点も特徴です。
特徴③甘い香りが楽しめる
ナイトフロックスの名称「ムーンライトフラグランス」からもわかるように、独特の甘い香りが楽しめます。夕方から夜にかけて、花が咲いてくるのと同時に甘い香りも強く感じられます。「ハニー・アーモンド・バニラ・フレグランス」といわれる、独特の甘い香りが大きな特徴です。
ナイトフロックス(ザルジアンスキア)の育て方
ナイトフロックスを寄せ植えにして玄関先に飾れば、帰宅したときに白い小花と甘い香りが出迎えてくれますね。ここでは、ナイトフロックスの育て方のポイントを解説していきます。
育て方①春に花苗を植え付ける
ナイトフロックスのポット苗が出回るのは、暖かくなってくる3月です。しっかり蕾の付いた、葉数の多い苗を選びましょう。風通しがよく日当たりのよい場所であれば、花壇への植え付けも鉢植えも楽しめます。
育て方②秋にタネから育てる
一般的なフロックスと違って、大型の園芸店でもタネの販売はほとんどなく、入手方法はネットでの購入か受粉させてタネを採種するかの2択です。一度にたくさんの花と香りが楽しめるため、チャレンジしがいのある育て方といえるでしょう。
育て方③用土選び
一年草として育てるなら、お花の培養土がおすすめです。蒸れを嫌うため花壇に植え付けるときは、赤玉土や鹿沼土をメインに腐葉土を混ぜ込みます。庭植えでも鉢植えでも、用土は水はけをよくするのがポイントです。
育て方④水やりと肥料
庭植えでは頻繁な水やりは必要ありませんが、根付くまではしっかりと水やりしましょう。鉢植えでは土の表面が乾いてきたら、水やりします。肥料は植え付け2〜3週間後から、有機質肥料を与えましょう。特に蕾がたくさん付いている時期は、肥料も水もしっかりと与えるのがポイントです。
育て方⑤置き場所
ナイトフロックスは、日当たりがよく風通しのよい場所に置きましょう。3月は暖地でも葉先や蕾が傷むため、霜対策が必要です。寒冷地では寒さが厳しい時期で、鉢植えで昼間は屋外に、夜は室内がおすすめです。夜は暗いところに置いて、花や香りを楽しみましょう。
育て方⑥病気と害虫
ナイトフロックスは蒸れが原因で、灰色かび病が発生することがあります。病気や害虫を予防するために、月に1度殺虫殺菌スプレーを散布しましょう。殺虫殺菌スプレーは、病気と害虫が同時に予防できるため1つ持っていると便利です。病気や害虫の被害にあわないよう、水やりのときなどこまめにチェックしましょう。
ナイトフロックス(ザルジアンスキア)の夏越し
多年草ですが暑さに弱く蒸れが苦手なため、暖地では1年草として扱います。「短命な多年草」といわれるナイトフロックスを、3つのポイントに注意して夏越しにチャレンジしてみましょう。
花後のお手入れ
花が終わったら全体を1/3ぐらいに剪定し、蒸れやすい株元の葉も整理します。庭植えの場合も梅雨前に鉢上げして、剪定しましょう。剪定後には、病気や害虫の予防のため殺虫殺菌スプレーをして、肥料も忘れずに与えるのもポイントです。
水はけのよい土に植える
夏越しのためには、水はけのよい用土に植え付けるのがポイントです。蒸れや暑さ対策には、土質も重要な役割があります。水はけのよい用土は通気性をよくし、根や株の蒸れを防ぐ効果があります。
風通しのよい明るい日陰に置く
雨が当たらず、直射日光や夏の暑さが避けられる場所で、夏越しさせましょう。北向きや東向きの半日陰や明るい日陰で、風通しのよいところがおすすめです。蒸れ対策として、水やりは夕方〜夜にして、量も控えめにしましょう。
ナイトフロックス(ザルジアンスキア)の増やし方
最後に、ナイトフロックスの増やし方をご紹介します。「育て方」や「夏越し」も参考にして、上手に管理してかわいい小花をたくさん咲かせましょう。
受粉させてタネを取る増やし方
花が咲いたら小筆や綿棒などを使って、自家受粉させましょう。稀にこぼれ種から発芽することもあります。採種したタネは秋に蒔いて、寒さに注意しながら春の開花を待ちましょう。たくさんの花を楽しめる、おすすめの増やし方です。
挿し木(挿し芽)での増やし方
花が終わった後の剪定した茎で、挿し木(挿し芽)にしても増やせます。茎を5〜10cmにカットしたら、下のほうの葉を落として挿し芽種まき用の用土に植え付けます。風通しのよい明るい日陰で、用土を乾かさないように管理しましょう。
まとめ
夜に花が開き、甘い香りが楽しめるナイトフロックスをご紹介しました。昼間はかわいい赤ピンク色の蕾が、夜は甘い香りと白い小花、2つの姿を持つ魅力的な植物です。ナイトフロックスを育てて、春の夜に「ハニー・アーモンド・バニラ・フレグランス」を楽しんでみましょう。
出典 Unsplash