ネコノメソウ(猫の目草)とは?
ネコノメソウはすき間なく密になって生えることが多く、地表を覆うようにして自生地を増やしていきます。花の近くにつく苞葉(ほうよう)と呼ばれる小さい葉と、下側につく大きな葉の色の違いによって鮮やかな緑色のグラデーションが生まれ、群生する場所はまるで緑の絨毯ようです。
基本情報
名前 | ネコノメソウ |
和名 | 猫の目草 |
学名 | Chrysosplenium grayanum |
分類 | ユキノシタ科:ネコノメソウ属 多年草 |
草丈 | 5cm~20cm |
開花時期 | 4月~5月 |
原産地と分布
日本や朝鮮半島、ロシアが原産地で、山間や草原の湿った場所に自生します。北海道や本州のほか九州の北部地域にも分布し、北海道では日本で一番大きな湿原に指定されている「釧路湿原」に自生しています。
ネコノメソウの特徴
特徴①葉
葉の大きさは約5mm~10mmほどで、卵のような形です。葉は鋸歯(きょし)と呼ばれる切れ込みがあり、縁がもこもこと山になっています。花近くの苞葉は鮮やかな黄緑色で、下の葉は緑色、葉にはわずかに厚みとつやがあります。ランナーと呼ばれる親株から伸びる茎には子株がつき、子株からも茎が伸びて地面を覆うように成長していきます。
特徴②花
苞葉に囲まれた中央部分に、約2mmほどの小さな花が密集してつきます。花には花弁がなく、変わりに花弁のような形をした萼裂片(がくれつへん)が4枚あり、萼裂片のなかに雌しべ2本と雄しべが4本あります。花色は苞葉と同じく黄緑色が鮮やかです。
特徴③果実
果実は鳥のくちばしのような形で、果皮が乾いてくると中央から縦に裂ける「さく果」になっています。果実のなかには茶褐色の小さな種が無数にあり、降雨の衝撃によって種が外へ飛散します。
名前の由来
裂けた果実のようすと、明るい場所で瞳孔を細めた猫の目が似ていることが由来になっています。
ネコノメソウの種類①ツルネコノメソウ(蔓猫の目草)
【基本情報】
名前 | ツルネコノメソウ |
和名 | 蔓猫の目草 |
学名 | Chrysosplenium flagelliferum F.Schmidt. |
高さ | 5cm~15cm |
特徴
湿地や渓流、湖畔沿いなどの場所に自生する多湿を好む植物です。日本では近畿地方や四国に分布し、4月~5月に開花時期をむかえます。開花後、ランナーが親株から精力的に伸びて子株を増やしていきます。
ネコノメソウとツルネコノメソウの見分け方
苞葉の色や葉の形、葉柄のつき方で見分けられます。
- 苞葉の色…ネコノメソウの苞葉は黄緑色の部分が多く、ツルネコノメソウの苞葉はつけ根部分がわずかに黄緑色になっています。
- 葉の形…ネコノメソウの葉は縦に伸び、ツルネコノメソウの葉は幅広です。また、ツルネコノメソウの縁にある切れ込みの数が少ないのも、見分け方のポイントになります。
- 葉柄の付き方…ネコノメソウは茎に葉柄が対性で生え、ツルネコノメソウは互い違いの互生で生えます。
ネコノメソウの種類②ハナネコノメソウ(花猫の目草)
【基本情報】
名前 | ハナネコノメソウ |
和名:別名 | 花猫の目草:花猫の目 |
学名 | Chrysosplenium albam var. stamineum |
高さ | 5~10cm |
特徴
谷沿いの涼しい場所で見かけることが多く、1年通して湿っている環境を好みます。日本での分布地は東北から近畿に及び、3月~4月に開花します。ネコノメソウと同じく花弁はなく、白い花びらに見えるものは萼裂片です。
ネコノメソウとハナネコノメソウの見分け方
以下のように、花(愕)の色と苞葉の形や数で見分けられます。
- 花(愕)の色…ネコノメソウの花(愕)は黄緑色なのに対し、ハナネコノメソウは白です。
- 苞葉の形…ハナネコノメソウは鋸歯の数が少なく、鳥の足のような形をしています。
- 苞葉の数…ハナネコノメソウの苞葉は3枚ほどで、ネコノメソウのように密集して生じることはありません。
ボタニ子
次ページでは、ヤマネコノメソウのご紹介と、ネコノメソウの育て方について触れていきます!
出典:写真AC