ハンゲショウ(半夏生)の育て方!植え付けの方法から増やし方まで!

ハンゲショウ(半夏生)の育て方!植え付けの方法から増やし方まで!

ハンゲショウは漢字で「半夏生」「半化粧」と表す、水辺や湿地に生える植物です。初夏に花のような美しい白い葉を見せるのがハンゲショウの大きな特徴です。この記事では、ハンゲショウの育て方や増やし方をご紹介します。育て方のポイントを押さえて、白い葉を楽しみましょう。

記事の目次

  1. 1.ハンゲショウ(半夏生)とはどんな植物か
  2. 2.ハンゲショウはドクダミ科の植物
  3. 3.ハンゲショウの育て方
  4. 4.ハンゲショウの生息場所
  5. 5.まとめ

ハンゲショウ(半夏生)とはどんな植物か

出典:筆者撮影

ハンゲショウは水辺や湿地に生える多年生の野生植物です。太い地下茎を広げて群生します。花のすぐ下につく数枚の葉だけ、表面が白く変化する点が特徴です。「半夏生」「半化粧」と書き、葉の片面だけを白い葉に変化させることから「片白草(カタシロクサ)」と呼ばれることもあります。白くなるのは葉の表側だけで、白くなる理由は表面に葉緑体がないからです。

ハンゲショウには、こんな一面も

出典:筆者撮影

初夏から白い葉に変化をしていく点が大きな特徴です。白い筋だけだったり、白い斑だったり、完全に白い葉に変わっていたりするなどと、見る時期によりハンゲショウが与える印象はさまざまです。また、古くからお茶席では茶花として親しまれ、俳句では初夏の季語としても用いられています。

ハンゲショウの名前の由来

出典:筆者撮影

夏至(6月21日頃)から数えて11日目(7月2日頃)を雑節では「半夏生」と呼び、農家ではこの頃を農作業の目安としています。この時期にハンゲショウは花を咲かせはじめ、葉が白く変わっていくことから「半夏生(半分の夏)」と名付けられました。また、葉の上側半分だけが白く変わるため、白粉を半分塗ったような見た目で「半化粧」とも表されます。

ハンゲショウの花と花言葉

出典:筆者撮影、四季の山野草

半夏生は7~9月に小さな白い花を穂状の花序(花穂)で開花させます。花が地味なため、昆虫を呼び寄せるように、花穂のすぐ下数枚の葉を白い葉に変化させます。葉が白くなる理由は、白い葉に花弁の役割をさせるためだったのです。花が受粉をすませると白い葉はその役割を終えて葉緑体をつくり、ほぼひと月で緑の葉に戻ります。ハンゲショウの花言葉は、小さく目立たない花のように「内気」「内に秘めた情熱」です。

ハンゲショウはドクダミ科の植物

出典:筆者撮影

ハンゲショウもドクダミもドクダミ科の仲間です。ハンゲショウの葉や茎を傷つけたり折ったりすると、ドクダミ特有の匂いがします。ドクダミの白い花弁に見えるのは真ん中の花を包む総苞で、ハンゲショウと同じように花を目立たせて昆虫を呼び寄せる花弁の役割をしています。棒状の小さな薄黄色の粒々が密生している部分が花です。

強い繁殖力

太い地下茎で地中に根を広げ、強い繁殖力をもつのも同じです。根っこを取っても少しでも残っているとまた生えてくるほどで、ドクダミは「百姓泣かせの植物」ともいわれます。生命力も強く、ハンゲショウもドクダミも冬越しが可能です。

ドクダミの花言葉

出典:筆者撮影

ドクダミの花言葉は「野生」で、繁殖力の強さやたくましさが由来です。もう1つ「白い追憶」という花言葉もありますがが、こちらの由来は定かではありません。

白い葉に変わる植物

出典:四季の山野草

「マタタビ」と「ミヤマタタビ」は、ハンゲショウと同じように、一部が白い葉に変わる植物です。「マタタビ」は蔓性の植物で、花が咲いた後に葉が白く変わります。マタタビの実はネコの好物で、においを嗅がせると陶酔状態に陥ることでも広く知られています。「ミヤマタタビ」は、白い葉にピンク色の斑が入る蔓性の低木植物です。

ハンゲショウの育て方

出典:筆者撮影

ハンゲショウの白い葉の群生の美しさを知ると「家でも育ててみたい」と考える人もいるでしょう。育て方のポイントさえ押さえれば、庭の地植えや鉢植えでも栽培は可能です。耐寒性、耐暑性が高いうえに病気や害虫にも強く、肥料も面倒な手間がかかりません。上手に育て、ハンゲショウの白い葉を家庭でも楽しみましょう。

育て方①植え付け

以下は、「地植え」「鉢植え」のどちらであっても共通する植え付け時のポイントです。

  • 植え付け時期:2月~4月、9月~10月
  • 植え替え時期:2月~3月
  • 元が水生植物で乾燥を嫌うため、水やりはこまめにする
  • 肥料は春に緩効性の化学肥料を土中に埋め込むとよい
  • 株元からしっかり茎の上がっているものを選ぶ

地植えでのハンゲショウの植え付け

出典:筆者撮影

地下茎で繁殖をする植物のため、植える場所は広めのスペースを選びましょう。土は一般の庭土でも十分に栽培は可能ですが、市販の土であれば水はけのよい「荒木田土」か、保湿性の高い「水生植物用土」が適しています。植え付ける場所の庭土に混ぜて土壌を作りましょう。植え付け後は、こまめに水やりをします。植え替えのときも同様に土壌を作り、水やりをします。

鉢植えでのハンゲショウの植え付け

鉢植えの場合の土は市販の草花培養土でもよいですが、粘土質の重い土を混ぜると水持ちがよくなります。湿地状態を作るために、鉢の底皿から吸水させるようにします。受け皿の水はつねに溜まっているように水やりをし、毎日取り換えましょう。鉢は株よりも二回りほど大きめのものを用意してください。地下茎が広がるためで、4号以上が望ましいです。睡蓮などを栽培する睡蓮鉢を使用すると、乾燥の心配もなく育てやすいでしょう。

育て方②環境・手入れ

出典:写真AC

以下は、「地植え」「鉢植え」のどちらであっても共通するお手入れのポイントです。

  • 株や肥料は水生植物を扱う園芸店で購入可能
  • 強すぎる直射日光は避けるが、日当たりのよいほうが葉に白い斑がきれいに入る
  • 冬越しは霜などがおりない場所を選んで植えたり、鉢を置いたりするようにする
  • ​​​​病気や害虫にはかなり強い植物。しかし、放置すると枯れてしまうこともあるため、日々観察は必要

育て方③増やし方

出典:「四季の山野草」 
 

ハンゲショウは、太い地下茎で繁殖する植物です。地中に伸びているのは茎であり、植え付け、植え替えをするときにはこの地下茎に注目しましょう。節目から根が出ており、その部分(上の画像の赤い矢印)を切って植えるようにします。増やし方も同様です。切った根の部分を地植えや鉢植えにします。鉢植えの場合は2月~3月の頃に株分けをし、別の鉢へと植え替えてください。

ハンゲショウの生息場所

出典:筆者撮影

ハンゲショウは、東アジア(朝鮮半島、中国、フィリピン)の亜熱帯性の湿地に分布します。日本では本州以南の日当たりのよい湿地で育ちますが、近年は自生する地域が減少しています。南関東以南の暖かい地では冬越しも可能です。しかし、霜が降りるような寒さの地では冬越しの生育に適していません。このことも自生が減少している一因です。絶滅危惧種認定をしている県も増えています。

ハンゲショウを観に行くのなら

出典:筆者撮影

ハンゲショウの優美さを観賞できる寺院や植物園をいくつかピックアップをしました。

関西方面

京都の「建仁寺」の塔頭の1つ「両足院」は、ハンゲショウが美しいと有名です。池を取り囲むように群生するハンゲショウが緑の苔に映え、見事な一幅の絵のようです。奈良では、アジサイ寺としても知られる「東大寺別院・周防阿弥陀寺」が人気を集めています。

関東方面

出典:写真AC

東京では、季節の花が美しい「皇居の東御苑」でハンゲショウが見られます。また、板橋にある「赤塚植物園」もユリやクチナシの見頃とともに、ハンゲショウも色付きます。ハンゲショウの葉が白く変わりはじめる初夏に訪れてみるとよいでしょう。

まとめ

出典:筆者撮影

初夏から夏にかけ美しい白い葉をしげらせる「ハンゲショウ」の魅力や仲間の植物などの紹介をまじえ、家庭での育て方をお伝えしました。ハンゲショウは、庭でも鉢植えでも育てられる植物です。家で葉が白く変わっていく「ハンゲショウの観賞」ができるのは素敵なことでしょう。ぜひ、ハンゲショウを栽培してみてください。

Beniakane
ライター

Beniakane

ファッション業界でドップリ浸かっての仕事の疲れ。ベランダや室内の観葉植物の鉢植え、ガラス瓶に挿した一輪の薔薇がカサコソした気持ちを潤してくれるのですよね。 山歩きの楽しさを知ってから、山野の植物、道端の草木、緑に触れ囲まれる心地よさの贅沢な時間を楽しんでいます。

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