はじめに
ツルナとは
ツルナは、つる性の多年草でハマミズナ科に分類されています。海岸に自生していることが多く、北海道の北東部を除く、日本各地で見かけることができます。海外では、南米やアジア、オーストラリアの砂地に生えていることがあります。漢字で書くと「蔓菜」という字になります。
ツルナの特徴
ツルナは暑さに強い一方、寒さには弱い特徴を持っています。海外では「ニュージーランドのホウレンソウ」と呼ばれています。日本ではツルナと呼ばれていますが、とくに沖縄県では「浜ほうれん草」と呼ばれることも特徴のひとつです。7月頃の若葉が一番おいしいともいわれています。
浜ほうれん草とは?
「浜ほうれん草」とは、主に沖縄県で使われている呼び名です。見た目がほうれん草に似ていることと、海岸に生育することから、この呼び名がつきました。
アイスプラントによく似ている?
ツルナの表面を光に当ててよくみてみると、アイスプラントのように濡れて見えることがあります。これは、葉の表面が細かい粒状の突起で覆われているためです。
ツルナの花
ツルナは4月下旬〜5月の上旬頃に黄色い花が咲きます。花が咲き終わった後の種を取っておいて、次の年にまくと発芽して、また栽培を楽しむことができます。
ツルナの旬はいつ?
ツルナは旬の時期が5月~10月と長く、夏野菜として扱われています。とくに7月に採れる若い葉は柔らかくておいしいといわれています。旬の時期に収穫して、保管しておき、正月の食材として使用することもあります。
旬を過ぎるとどうなる?
旬を過ぎたツルナは、茎や葉が固くなって食べられなくなってしまいます。傷みやすい食材でもあるため、摘み取ってすぐ食べるのがおすすめです。よく洗ったあとにポリ袋に入れて冷蔵庫で保存するほか、旬の時期に収穫したものを、冷凍庫で保存する方法があります。
ツルナは栄養満点
ツルナは栄養が豊富なことも特徴のひとつです。ほうれん草と同じように鉄分を多く含むほかに、カロテンやビタミンなど、人体に必要な栄養素の多くを含んでいるため、健康食材として積極的に摂取したい野菜のひとつです。
骨粗しょう症の予防になる
ツルナにはカルシウムを定着させる働きがあるビタミンKが含まれています。ビタミンKは骨粗しょう症の治療薬に用いる成分のひとつですので、ツルナを食べることで同じような効果が期待できます。
骨粗しょう症とは?
骨の量が減り、骨折しやすくなる病気です。発症する原因はさまざまですが、閉経後の女性がなりやすいともいわれています。
胃薬の代わりになる
ツルナは民間薬として用いられることがあります。胃酸過多を改善する働きや胃の粘膜を保護する働きがあるのが特徴で、「ハマジシャ」などの呼び名があります。胃炎やポリープも防ぐといわれています。
ツルナの栽培方法
ツルナは種の発芽率が高く、たくましい野菜なので、はじめて家庭菜園で育てる方でも簡単に栽培することができます。市販されているポット苗を購入するのも便利でいいですね。プランターで栽培することもできるので、ベランダなど場所を選ばず栽培することができます。
植え付け前の作業
植え付けを行う2週間ほど前に、石灰をまいて土の酸度を調整します。ph6.0程度になるように調整してください。1平方メートルに150gを目安にまき、堆肥2kgと化学肥料100gを混ぜ合わせてよく耕しておきます。
ツルナの栽培方法①植え付け時期
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
種まき | ||||||||||||
収穫 |
ツルナは3月~7月に種まきや植え付けを行います。暖かい地域なら、8月でも行うことができます。発芽するまで2週間ほどかかるため、なかなか芽を出さないと感じるかもしれませんが、気長に待ってあげてください。
発芽率を上げるコツ
ツルナはそのまま種をまいても発芽しやすいのですが、一晩水に浸してから種まきを行うと、発芽率が上がります。ぜひ、試してみてください。
ツルナの栽培方法②土づくり
ツルナを栽培する土は、赤玉土6に対して腐葉土が3、バーミキュライトを1配合して作ることができます。植え付けを行う1~2週間前には土づくりが完了していることが望ましいです。市販されている培養土はとても便利ですので、活用するのもいいですね。
ツルナの栽培方法③肥料
発芽してから、肥料を施す目安は2週間に1度です。化学肥料を5g、株元にまいて軽く土と混ぜ合わせます。プランターで栽培する場合は、液体のものを1週間に1度水やりの代わりに施すのがいいでしょう。ツルナは肥料切れを起こすと、茎が固くなり食べられなくなってしまうので肥料切れには気をつけてください。
ツルナの栽培方法④水やり
種をまいてから発芽するまで、土が乾燥しないように気をつけて水やりをします。発芽して、葉が4枚程度になったら、土の表面が乾いたら水やりをする程度にします。ツルナは乾燥に強い野菜ですが、水の量が少ないと葉や茎が固くなってしまいます。おいしさも損なわれてしまいますので、特にプランターで栽培するときには水切れに注意してください。
夏場の水やり
気温が高くなる夏場は、露地栽培、プランター栽培どちらも土が乾かないように、こまめに水やりを行います。日中は避けて、朝と夕に2回水やりを行うといいでしょう。
ツルナの栽培方法⑤剪定
ツルナはとても生育旺盛な性質があり、あっという間に葉が広がっていってしまいますので、適宜、選定が必要になります。茎や葉が固くなってきたときにも、剪定を行います。刈り込むことで、病気や害虫対策にもなりますので思い切って剪定を行ってください。
剪定のコツ
剪定ははさみを使って行います。本葉が8枚くらいになったら、株元から5節残して摘み取り、脇芽を伸ばしていきます。剪定したあとは、肥料を施してあげることで新芽が伸びやすくなり、長い期間収穫を楽しむことができます。
ツルナの育て方⑥害虫対策
ツルナは病気や害虫被害が少ないのが特徴ですが、風通しが悪いと病気になったり、カメムシやシロオビメイガという虫がついたりすることがあります。カメムシは特に被害はないのですが、シロオビメイガは葉を食いちぎってしまい、場合によっては枯れる原因になることもあります。市販されている害虫スプレーなどを散布して、対策をする必要があります。
黒かれ病になる
株が密集していたり、高温多湿な状態が続いたりすると葉が褐色に変色し、しおれてしまうことがあります。この状態を「黒かれ病」といいます。放っておくと病気がどんどん広がってしまうので、発見したら早めに切り戻しを行い、病気が広がるのを防ぎます。
出典:写真AC