ヒイラギナンテン(柊南天)とは?
ヒイラギナンテンは、ギザギザの葉が特徴的な植物です。また、秋になると葉が赤く染まり紅葉を楽しめるので、庭のアクセントにもおすすめです。どのような植物なのか、基本情報から詳しくみていきましょう。
基本情報
学名 | Berberis japonica |
科名 | メギ科 |
属名 | メギ属 |
形態 | 常緑低木 |
原産地 | 中国(台湾、ヒマラヤ) |
開花期 | 3~4月 |
樹高 | 1.5~2m |
名前の由来
数本の幹からなる立派な株立ちの樹形と、実の付き方がナンテンに似ており、葉にヒイラギのようなギザギザのとげがあることから、「ヒイラギナンテン」と名付けられました。
ヒイラギナンテンの特徴
葉の特徴
複葉で、4~9cmの葉が5~9対ほど葉軸をはさんで左右に羽状についています。葉の縁はギザギザした鋭いとげ状になっており、濃緑色でつやつやとした光沢があります。触れると痛いですが、観賞用としてとても美しい葉です。
花の特徴
早春(3~4月頃)に、枝先に黄色の小さい花がたくさんつきます。10~15cmほどの花房が垂れ下がるように咲き、光沢のある葉との対比が見事なので、生け花などにも人気があります。
実の特徴
初夏に緑色の実がなり、秋にはブルーベリーのような青紫色に変わり、粉を吹いた実が熟します。中に含まれている種子はとても繁殖力が高いとされています。
ヒイラギナンテンの成分
幹や枝に「ベルベリン」という薬用成分が含まれており、幹の断面が黄色なのはこの成分のためです。煎じて飲めば、扁桃腺や口内炎に効くとされています。
ヒイラギナンテンの育て方①管理方法
環境
日当たりのよいところ~半日陰で育てます。寒さに強いので日陰でも育てられますが、ある程度の日光に当てることで、きれいに紅葉します。また、強い直射日光が長く当たると葉が黄色くなってしまうので、そのような場所は避けましょう。
管理方法
丈夫な植物なので、管理方法はとてもシンプルです。降雨だけで水やりは十分ですが、夏の日照りが続くような場合は朝か夕方に水やりをしましょう。肥料はなくても育ちますが、花芽をつくるためには肥料が必要です。その場合は、1月上旬~2月下旬の時期に緩効性の化成肥料を与えましょう。
地植えがおすすめ
株立ちで大きくなるため、鉢植えよりも地植えがおすすめです。もし鉢植えで育てる場合は、表面が乾いたら水やりをしてください。肥料は地植えの場合と同様です。
ボタニ子
寒さにはあまり強くないので、北海道や東北では地植えでは冬を越すことが難しいです。その地域で育てる場合は鉢植えがおすすめですよ!
ヒイラギナンテンの育て方②植え付け
ヒイラギナンテンは、とげが邪鬼の侵入を防ぐといわれ、魔除けの木としても有名です。表鬼門(北東)に植えると縁起がよいとされています。また、常緑なので生垣としてもおすすめです。植え付けの方法を詳しくみていきましょう。
ボタニ子
ギザギザのとげが、悪者を追い払ってくれるんです。
植え付け方法
植え付けの季節
季節は春か秋が適しています。花が終わり新芽が伸びる前の3月中旬~4月下旬の時期か、寒くなる前の10月上旬~11月下旬の時期に行いましょう。
手順
根鉢の倍ほどの深さと幅の穴を掘り、腐葉土または堆肥を土に3~4割まぜ、株を置きます。土は市販の培養土でかまいません。培養土を使用しない場合は、緩効性肥料を混ぜましょう。株がぐらつかないように植え付けて、たっぷりと水やりをします。ぐらつきがあるようであれば、支柱を立ててください。
ヒイラギナンテンの育て方③剪定
成長が緩やかなため、大きく樹形が乱れることはありません。しかし、枝が分かれにくく、放っておくと上へ伸びていくだけで花がつきにくくなってしまいます。定期的に剪定をすることで、コンパクトにまとめたり、花を楽しんだりしましょう。
剪定方法
剪定の季節
花が終わった4月下旬~7月初旬ころまでに行いましょう。8月に花芽がつくられ翌春に咲くので、8月までには必ず剪定しておくと、花を楽しめます。
手順
長く伸びた古い枝は弱っているので、根元から切ってしまいましょう。そこからまた新しい枝が伸びてきます。また、枝先から1節目の部分で切れば、そこからも新しい枝がいくつか伸びてきます。毎年行うことで、こんもりとした樹形にできるので心がけましょう。それ以外にも、邪魔な枝や枯れ枝を取り除き、ある程度の空間を作るときれいに見せられます。
ヒイラギナンテンの育て方④増やし方
ヒイラギナンテンの増やし方には「挿し木」と「種まき」があります。「挿し木」による増やし方は、剪定した枝などを利用すれば簡単です。挿し木の方法についてみていきましょう。
挿し木による増やし方
挿し木の季節
6~7月頃に行います。剪定の時期と合わせることで効率よく増やせるので、同時に行うとよいでしょう。
手順
剪定で切った約10cmの枝を、30分ほど水揚げします。その後、挿し木用に用意した赤玉土に挿し、たっぷりと水やりをしてください。しばらくの間は日陰で管理します。地植えしたい場所が決まっているようであれば、その場所に直接挿しても発根する可能性は高いですが、鉢で行えばより確実でしょう。
ボタニ子
青い新芽を挿し木に使えば、より簡単に発根しますよ!
ヒイラギナンテン豆知識
ヒイラギとの違い
ヒイラギナンテンは、葉の形やとげが「ヒイラギ」とよく似ています。しかし、ヒイラギナンテンが「メギ科のヒイラギナンテン属」なのに対して、ヒイラギは「モクセイ科のモクセイ属」です。また、ヒイラギナンテンは黄色の花を咲かせますが、ヒイラギは白い花を咲かせ、樹高も4~8mにもなる大木です。
ヒイラギとの違い
- 科名・属名が違っており、違う品種
- 花色が違う
- 樹高がヒイラギナンテンの2倍以上になる
ヒイラギナンテンの種類
ホソバヒイラギナンテン
葉が細いので「ホソバ」ヒイラギナンテンと呼ばれています。9月に開花します。成長はヒイラギナンテンと同様、とても遅いですが2mほどに成長します。
まとめ
「激しい感情」などの花言葉をもつヒイラギナンテン。これは鋭くとがった葉に由来したもので、その花言葉どおり、凛とした佇まいを感じさせます。その葉が秋になると真っ赤に染まる様子は見事です。丈夫で育てやすいので、趣ある植物としてぜひ育ててみてください。
出典:写真AC