ハコネウツギとは
ハコネウツギ(箱根空木)はスイカズラ科の落葉性低木です。北海道から九州にかけての広い範囲で見られ、海岸に近く日当たりのいい場所に自生しています。かつて植栽された種が野生化して増えたのか、箱根の近辺に分布が偏っています。ハコネの名がついているのもそれが理由です。
一般名 | ハコネウツギ(箱根空木) |
別名 | ゲンペイウツギ、サキワケウツギ |
形態 | 落葉低木 |
原産地 | 日本(固有種) |
開花時期 | 5月から6月 |
花の色 | 白、薄いピンク、濃い紅 |
暑さ / 寒さ | 強い / 強い |
増やし方 | 挿し木 |
特性 | 庭植えに向いている、病気に強い、害虫に強い |
ハコネウツギの特徴
ハコネウツギは日本固有の落葉性低木です。5月から6月に開花し、ろうとのような特徴的な形の花をつけます。ちょうど桜が散り、新緑が美しく映えるころです。花の色は始めは白ですが、咲き進むにつれて薄いピンク色へ、最後には濃い紅色へと変化していきます。開花の進み具合によって色が異なるため、ひとつの枝で3色の花が楽しめてとても見応えのある花です。
ハコネウツギの別名
ハコネウツギは「ゲンペイ(源平)ウツギ」や「サキワケ(咲き分け)ウツギ」などと呼ばれることもあります。由来はいずれも、花の色が変化することです。ゲンペイというのは源氏と平家のことで、源氏が白、平家が赤をシンボルカラーとしていたことにちなんでいます。
ハコネウツギの花言葉
ハコネウツギは6月12日の誕生花で、花言葉は「移り気」「秘密」「人の魅力を引き出す」「親切」です。花の色が白から赤へ変わることが理由で、「移り気」という少しネガティブな花言葉がついてしまいました。しかし控えめで愛らしい花の姿は「秘密」や「魅力を引き出す」といった他の花言葉にもぴったりですよね。
ハコネウツギに似た植物
同じウツギの仲間の中でも特にハコネウツギに似ているのは、以下の2種類です。
①ニシキウツギ
ハコネウツギと同じように、花の色が2色に変化するためニシキ(二色)ウツギと名付けられたと言われている種です。ハコネウツギとよく似ていて、判別するのはとても難しいです。ハコネウツギが平地に自生するのに対して、ニシキウツギは山間部に多く見られることが見分けるポイントのひとつです。
タニウツギ
タニウツギはハコネウツギと同じタニウツギ属の花ですが、ハコネウツギとは咲かせる花の色が違います。ハコネウツギは白から赤へと色を変化させますが、タニウツギの花は薄いピンク色か紅色をしています。タニウツギの仲間で、花の色が白いシロバナタニウツギという種類もあります。分布は日本中幅広くしていますが、その名のとおり自生している場所は谷が多いことが特徴です。
ハコネウツギは庭植えがおすすめ
ハコネウツギを育てるなら、圧倒的に庭植えがおすすめです。とにかく伸びるのが早いことが特徴のハコネウツギは、鉢植えにしてもあっという間に大きくなってしまいます。強剪定をしても追いつかないほどの成長速度なので、ハコネウツギは庭植えで育てる方がいいでしょう。どうしても鉢植えで育てたい!という場合には、初めから大きな鉢を使って育てるようにします。
ハコネウツギの育て方
四季の移ろいのある日本で自生する種であるハコネウツギは、耐寒性にも耐暑性にも優れた花であることが特徴です。日当たりのいい場所を好みますが日陰にも耐え、肥料も少なくて済みますし、病害虫にも強い種です。たいへん丈夫で、初心者でも育てやすい花木であるともいえます。庭植えに適していて、潮風にも強いことから防潮用樹として海沿いに植えられることもあります。 植え付けや水やりの方法・病害虫への対策などの育て方をご紹介します。
ハコネウツギの育て方①栽培環境
ハコネウツギが好むのは水はけと日当たりがいい環境、嫌うのは過度の暑さと1日中の日陰です。日照時間については1日数時間程度あれば成長には問題ありません。そのため日陰と言っても、明るい日陰(半日陰)に植えることはできます。しかしよく日に当てた時間は花付きのよさに影響するため、可能であれば日陰よりも日当たりのいい場所に植えるのがおすすめです。
ハコネウツギの育て方②越冬と越夏
耐寒性・耐暑性に優れていることが、ハコネウツギの大きな特徴のひとつです。対策も特に必要がありません。季節に合わせて手入れをする必要がないため、非常に栽培のしやすい花木です。ちなみに落葉樹のため、冬には裸になります。また冬に落葉してからは新芽が出るまで時間がかかります。「枯れてしまったかも…」と焦ってしまうかもしれませんが、正常なサイクルのため心配はありません。
ハコネウツギの育て方③水やりと肥料
水やり
庭植えであれば、ほとんど水をやらなくても育ちます。根付いたあとは自然に降る雨だけでほとんど問題ありません。ただし乾燥には若干弱いという特徴があるため、夏場の乾燥しやすい時期に限っては、水やりも行うのが無難です。
肥料
肥料についても、花の付き方や育ち方に問題がない場合は必要ありません。肥料を施す場合は冬場である1月から3月の間、ハコネウツギの根が休眠している時に、緩効性の化成肥料や固形の油粕を株元に使うようにしましょう。ただし、あまりにも根に近い場所に肥料を与えると木が痛んでしまいます。葉が枯れる、花が咲かないなどの悪影響を及ぼしてしまうこともあるため、肥料を使う場合には注意してくださいね。
ハコネウツギの育て方④植え付け
ハコネウツギの植え付けは、落葉期である11月から3月の間に行います。元となる根鉢の3倍程度の穴を掘り、植穴とします。庭土にはたっぷりと腐葉土を混ぜましょう。植え付けの後はたっぷりの水をやり、棒でつつくなどして庭土を馴染ませるといいですよ。
出典:写真AC