ネクタリンとは
ネクタリンはバラ科モモ属の木の果実で、桃(ピーチ)の一種です。「桃」というと果皮が柔らかく産毛が生えている果物をイメージしますが、ネクタリンの果皮にはつやがあり産毛は生えていません。その光沢のある外見から、別名「油桃(ゆとう)」とも呼ばれています。見た目はすももに似ていますが、すももはバラ科サクラ属でサクランボの仲間であり、別の分類になります。
ネクタリンの基本情報
和名 | 油桃、ズバイモモ、光桃(ヒカリモモ) |
英名 | Nectarine |
分類 | バラ科モモ属 |
原産地 | トルキスタン地方(中央アジア) |
収穫時期 | 6月下旬~9月 |
ネクタリンはどんな果物
果物としての特徴
果肉はほとんどの品種が黄色い色をしています。味は、桃に似た甘みとすっきりとした酸味が特徴です。香りも桃に似た香りです。熟する前に食べると酸味が強く、完熟させると甘みが強いので好みによって食べ頃が違ってきます。生で食べるのはもちろん、果肉がしっかりとしているので加熱調理にも向いています。
ネクタリンは皮ごと食べることができますが、皮に張りがあって口に残るので、小さいお子さんや歯が丈夫でない方は皮をむいてから食べるほうがよいでしょう。
日本では希少
ネクタリンの原産地トルキスタン地方は乾燥地帯です。したがって雨の多い土地にはあまり適しておらず、病害虫のリスクが高まってしまいます。また、雨にあたった果実はひび割れてしまうこともあります。夏、実がなる時期に多湿になる日本は残念ながらネクタリンの栽培に向いているとはいえないのです。しかし、おいしいネクタリンを日本で生産するために品種改良や栽培方法の工夫に取り組む農家さんもいます。農家さんの努力もあって、数が少ないながらも国産のネクタリンを楽しむことができるのです。
ネクタリンの主な品種
ファンタジア
大きさは240~260gで、アメリカで交配育成され現在日本でもっとも多く生産されている品種です。ジューシーで甘みと酸味のバランスが良いのが特徴です。ネクタリンの中では日持ちの良い品種としても知られています。
秀峰
大きさは260~280gで、長野県発祥です。ファンタジアに次いで生産量の多い品種です。甘みと酸味のバランスがよく濃厚な味わいで、晩成種のため9月中旬ごろまで市場に出回ります。
秀峰発祥の地である長野県は、ネクタリンの生産量が日本一です。なんと、国産のネクタリンの約6割が長野県産なんですよ!
フレーバートップ
大きさは240~260gで、アメリカでフェアータイムという品種の自然交雑により生まれた品種です。甘み、酸味ともに強めで味が濃いのが特徴です。
ネクタリンの栄養・効果
ネクタリンに含まれる代表的な栄養素とその効果をご紹介します。
カリウム | カリウムには体内の細胞の浸透圧を調整する作用があります。余分な塩分を体外に排出してくれるので、高血圧の予防やむくみの解消が期待できます。 |
カロテン | プロビタミンAとも呼ばれています。体内に吸収されるとビタミンAになります。ビタミンAは皮膚や目の粘膜を健康に保ってくれます。 |
ナイアシン | アルコールの分解を助け、二日酔いを防ぐ効果が期待できます。 |
栄養素以外では、食物繊維が豊富です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。便秘解消やお通じ改善による美肌効果も期待できます。
ネクタリンの旬は?
ネクタリンは桃と同じく夏が旬の果物です。品種や栽培地によって差はありますが、ネクタリン全体の収穫時期は6月下旬~9月で、最盛期は8月です。ただし、品種ごとの旬は2週間から1カ月程度と短いので、食べてみたい品種やお気に入りの品種がある場合は時期を逃さないように気を付けましょう。
おいしいネクタリンの選び方と保存方法
ネクタリンの選び方
おいしいネクタリンを選ぶには、以下のことに気を付けましょう。
- 全体的に赤く色づいている
- 果皮に張りがある
- ずっしりとした重みを感じる
- 縫合線(果実に縦に入っている溝)が浅い
全体的に赤く色づいている
果皮がきれいに赤く色づいていることが食べ頃のサインです。まだ色づいていないところが多い果実は未熟で、酸味が強い可能性があります。
果皮に張りがある・ずっしりした重みを感じる
果皮に張りがあるのは、鮮度が良くみずみずしい証拠です。鮮度が落ちると水分が少なくなり皮の張りが失われます。重みを感じるのも同様で、水分をしっかり含んでみずみずしいため重く感じるのです。
縫合線が浅い
縫合線とは、桃や梅などの果実に縦に1本入っている溝のことをいいます。この溝が深い果実は「核割れ」という生育不良の可能性があります。核割れが起きてしまった果実は甘みが少なくなるので、避けたほうがよいでしょう。
ネクタリンの保存方法
追熟をさせよう
ネクタリンは桃と同じで、追熟をさせる果物です。果実が硬かったり色づきが薄かったりするものは収穫直後で完全には熟していません。おいしく食べるためには追熟をさせましょう。乾燥を防ぐために新聞紙などでくるみ、直射日光の当たらない場所で常温(15~20℃くらい)保存しましょう。果実が柔らかくなり、甘い香りがしてきたら食べ頃です。
すでに熟している場合は
すでに熟してしまっているネクタリンはあまり日持ちがしません。放っておくと熟れすぎて皮も茶色っぽくなり、風味が損なわれます。熟成が進まないようにと冷蔵庫で保存してしまうと低温障害を起こしたり、甘みが落ちてしまったりすることもあります。なるべく早く食べるようにしましょう。
冷蔵庫での長期保存はおすすめできませんが、食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れて冷やしてから食べるとおいしいですよ!
ネクタリンの食べ方
ネクタリンの切り方
食べ方の前に、上手な切り方をご紹介します。ネクタリンは果実の中心に大きく硬い種があるので、リンゴなどのように半分に切ることはできません。上手に切るには縫合線に沿って縦に包丁を入れ、種の周りを一周するように切り込みを入れます。切り込みの左右を手で包んで逆方向にひねるようにすると、ふたつに割れて種がきれいに取れます。アボカドの切り方と同じです。
そのまま生で
やはりネクタリン本来の風味やジューシーさを感じられるのは生食です。そのうえ、ネクタリンに含まれるビタミン類は熱に弱く、加熱することで消えてしまいます。栄養の面からも生で食べることは有用といえるでしょう。そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトにトッピングするのもおいしいです。果皮にはポリフェノールが含まれているので、皮が気にならない場合は皮ごとかぶりつくのもよいでしょう。
コンポートにして
あまり日持ちがしないネクタリンですが、コンポートにすることで保存期間を延ばすことができます。また、加熱することで酸味が和らぎ、砂糖やはちみつも加わるので、すっぱいものが苦手な人にはよいでしょう。タルトやケーキに載せてもおいしいです。
ジャムにして
ジャムにするのもおすすめです。ネクタリンは果肉がしっかりしているので、果肉感が強いジャムができます。滑らかにしたい場合はミキサーにかけましょう。皮をむかずに入れるときれいなピンク色のジャムができます。
まとめ
ネクタリンの特徴や食べ頃・食べ方についてご紹介しました。ネクタリンは日本の気候では栽培が難しく、出会える機会はあまり多くありません。しかし、甘酸っぱくて濃厚な味わいのとてもおいしい果物です。近年では輸入品が大型スーパーに並ぶことも増えてきたという情報もあります。もし見かけることがあったら、ぜひ味わってみてください!
桃の仲間は、産毛の有無でネクタリンと桃に分けられます。ネクタリンと桃を交配したものでも、産毛が無ければネクタリン、産毛があれば桃になります。