ニゲラの利用方法
ニゲラは花の時期を楽しむだけでなく、実も種子も幅広く利用されている植物です。品種によってはスパイスや薬、香料としても利用されています。
観賞やアレンジとして利用
花も実も観賞できるニゲラは、長期間にわたって庭を彩る園芸植物として、鉢植えや地植えにされます。和風の庭にも洋風の庭にも合い、特にナチュラルな雰囲気を演出したいときにぴったりです。病気や害虫にも強く、手入れに手間がかからないのが魅力です。切り花としてブーケやフラワーアレンジメントに利用するのもよいでしょう。
ドライフラワーとして利用
ニゲラの実は形が面白いので、ドライフラワーとして利用されます。スワッグとして飾りながら、乾燥してゆく様子を楽しむのもおすすめです。天気がよい時期ならば1週間程度で乾燥します。梅雨の時期はエアコンの風などを当てましょう。
ドライフラワーにする手順
- 実が大きくふくらんだ時期を見計らって、花茎を切り取る
- 数本ずつ、輪ゴムで束ねる(輪ゴムは、乾燥して茎が細くなったときに抜け落ちるのを防止するため)
- 輪ゴムの上から麻ひもを巻いて、吊り下げ紐をつける
- 束ねたものを風通しのよい日陰に逆さまに吊るして乾燥させる
ボタニ子
麻ひもは茎を傷めにくく、ナチュラルで見栄えもよい素材だよ。
スパイスとして利用
ニゲラ・サティバ(ニオイクロタネソウ)の種子は「ブラッククミン」と呼ばれ、スパイスとして利用されます。スパイスとしての別名は、「ローマンコリアンダー」「ブラックキャラウェイ」「オニオンシード」、インドでは「カロンジ」などさまざまです。
カレーやナンなどの料理に
種子の香りはオレガノに似ており、噛み砕くと独特の辛味と苦味があり、クミンやブラックペッパーに似た強い香りが広がります。インドや中東諸国ではカレーのスパイスや、料理やナンの香りづけなどに広く使われている香辛料です。
ニゲラ・サバティにはどんな効果がありますか?
ニゲラ・サティバの種子は、古くから薬としても利用されてきました。種子には、鎮痛や抗菌などの効果が期待できます。また、種子から抽出した油「ブラッククミンシードオイル」も販売されています。しかし、種子には少量ながら毒性のある物質も含まれており、効果を期待するあまり大量に摂取することは控えましょう。
香料として利用
ニゲラ・ダマスケナの種子には甘い芳香があります。人によって、バラやバニラやメロンなどに例えられる香りです。アルカロイドのダマニセンや、揮発性油のニゲルエールなどがその成分として知られています。
甘い香りでよい夢を
砕かない状態での種子の香りは、ニオイクロタネソウと呼ばれるニゲラ・サティバよりも強く、甘い香りが香料として利用されます。ヨーロッパでは、刈り取った全草を乾燥させて刻んで枕に詰めると、よい夢を見られるという伝説もあります。
ニゲラ・ダマスケナの種も健康に役立つ?
ニゲラ・ダマスケナの種子には有毒なアルカロイドが含まれ、大量に摂取すると腹痛や嘔吐、皮膚炎などを起こす危険性があります。食するのは控えましょう。毒性物質はニゲラ・サティバの種子にも含まれますが、含有量が少ないというだけです。
ニゲラはいろいろな利用方法があるのね。次項ではニゲラの育て方をご紹介します。
ニゲラの育て方
ニゲラは秋まきの一年草で、初心者でも育てやすい花です。暑さには弱いですが、秋に植え付けて夏前には実をつけて枯れる植物のため特に問題はありません。耐寒性があり、開花期も長く、花がら摘みや剪定の手間もないことから、気軽に長く楽しめます。
育て方①生育環境
ニゲラは日当たりと風通しがよい場所を好みます。用土は中性~アルカリ性で、水はけと通気性がよく、なおかつ適度な保水力のある土が最適です。市販の草花用培養土に植え付けることもできます。自分で配合する場合には、赤玉土小粒5:腐葉土3:軽石か川砂2の割合で混ぜたものに、緩効性化成肥料を規定より少なめに混ぜ込みます。
地植えの場合は土壌を中和
日本の土壌は酸性のため、地植えにする場合はあらかじめ中和しておかなければなりません。植え付け2週間前に苦土石灰を混ぜて土壌を中和し、1週間前に腐葉土を混ぜて寝かせておきましょう。
育て方②種まき
覆土を厚めに
ニゲラは暑さに弱いため、9月上旬~10月下旬に種まきします。種まき用ポットで苗を育てることもできますが、移植を嫌う性質があり、花壇や鉢に直接種まきするのがおすすめです。種まきしたら、上からしっかりと(5mm~1cm程度)土を被せます。ニゲラの種は暗発芽種子で、光があると発芽しにくい性質があるからです。
定植までは乾燥に注意
発芽温度は20℃前後で、2~3週間で発芽します。それまでは明るい日陰で土が乾燥しないように管理しましょう。芽が出たら日光に当て、ポットに根が回って本葉が2~3枚になって植え付け可能になるまで育てます。
寒冷地は早めの種まき
寒冷地では早めに種まきをすることをおすすめします。まだ苗が小さいうちに霜柱に持ち上げられると、根が傷んで枯れることがあるからです。寒冷地で種まきの時期を逃した場合には、春先に種まきをして、3月中旬~4月下旬に植え付けることもできます。
育て方③植え付け
植え付けに適した時期は、10月上旬~11月下旬です。ポットの苗よりも二回り大きな鉢か花壇に植え付けます。根が傷みやすく、基本的には移植を嫌う植物のため、根鉢を崩さないようていねいに植え付けましょう。根付くまでは水切れしないように注意します。耐寒性はありますが、凍って根が傷まないように、敷き藁などの簡単な冬越し対策は必要です。
育て方④水やり・肥料
水やり
ニゲラは乾燥気味の環境を好みます。水やりし過ぎて過湿になると、軟弱になったり根腐れを起こしたりするため注意が必要です。鉢植えの場合は、土の表面が完全に乾いたのを確認してから、鉢底から水が出るまでたっぷりと水やりをしましょう。地植えの場合は、苗が育って根がよく張った後なら降雨だけで十分です。日照り続きで極度に乾燥した場合は、水やりをします。
肥料
植え付けの際に、用土に元肥として緩効性肥料を混ぜます。地植えの場合は基本的に追肥は必要ありません。生育が悪いときやポットでの育苗中は、液肥を2週間に1回程度与えます。肥料が多すぎると軟弱になって倒れやすくなるため、規定よりもやや少なめに施肥することが大切です。
育て方⑤病気・害虫
ニゲラは病気や害虫に強く、ほとんど手がかかりません。しかし春から秋にかけて、アブラムシがつくことがあります。アブラムシは茎や葉や新芽について汁を吸い、生育を阻害する害虫です。防虫剤を散布して予防したり、よく観察して早めの発見で駆除したりします。風通しのよい場所を選び、窒素過多にならないように注意すると、病気や害虫が発生しにくくなります。
育て方⑥増やし方
ニゲラは種まきで増やします。果実が茶色く熟したら、中に入っている黒い種子を採取しましょう。種子は乾燥させて、通気性のよい紙袋などに入れて冷暗所で保存します。ニゲラはこぼれ種でもよく増える丈夫な植物です。こぼれ種で増やす場合は、果実が乾燥して種子が自然に落ちるまで放置します。ただし家庭で採れた種子は、元の株と同じ性質を受け継ぐとは限りません。
個性的なニゲラを楽しもう
ニゲラは初心者でも種から簡単に育てられます。病気や害虫にも強く、日常の育て方にも手間がかかりません。花の時期が長く、実の姿も魅力的です。ドライフラワーにすれば、さらに長い間楽しめます。個性的で魅力あふれるニゲラを、ぜひ庭やベランダで育ててみましょう。
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出典:写真AC