カニステルとは
カニステルという名前を聞いたことがありますか?あまり多くは流通していないマイナーな果物で、食べると喉が渇くという珍しい特徴があります。まずは、カニステルの基本情報を紹介します。
カニステルの基本情報
別名 | エッグフルーツ、クダモノタマゴ |
分類 | アカテツ科オオミアカテツ属 |
形態 | 常緑広葉樹小高木・果実 |
原産地 | 熱帯アメリカ |
樹高 | 3~7m |
葉形 | 長い楕円型 |
花色 | 淡い緑色 |
結実期 | 1~6月 |
耐寒性 | 比較的強い(-3℃以上) |
耐暑性 | 比較的強い(35℃以下) |
特徴
原産地は熱帯アメリカ
カニステルの原産地は中央アメリカからキューバのあたりだといわれています。現在の主な栽培地はフロリダ・キューバ・ブラジル・台湾・ベトナム・タイなどです。
国内では沖縄で栽培されている
カニステルは日本でも生産されています。沖縄では、庭木としても古くから栽培されてきましたが、その存在を知っている人は多くないといいます。市場にもあまり出回っていませんが、近年になって栽培農家が増えてきました。
果実の別名はエッグフルーツ
カニステルの果実は、5~10cmの大きさで、大きな種を2~6個含んでいます。別名のエッグフルーツやクダモノタマゴとしても知られています。名前の由来は、水分がなく粉質で、茹でた卵の黄身のような食感がするところからきています。
食感は、蒸して裏ごししたカボチャやサツマイモのようになめらかで、アボカドのようなねっとり感もあります。まるで野菜のような印象ですが、分類は果物です。
果実は栄養価が高い
カニステルは栄養価が高いことでも人気です。アンチエイジングに効果的なカロテンや、代謝を促すナイアシンが特に多く含まれています。
ほかにもタンパク質の生成に不可欠なビタミンC、抗酸化作用のあるポリフェノールだけでなく、果物には珍しく炭水化物も多いという特徴があります。栄養満点で老化防止にもなる、今注目のフルーツです。
かつては「蟹捨てる」や「金捨てる」とも呼ばれていた
完熟しないと美味しくないカニステルですが、熟したかどうかの判別が難しく、味にも大きな個体差があります。またエグみもあるので、美味しくないという人までいるほどです。そのため、かつては売り物にならない果物として、「蟹捨てる」や「金捨てる」といわれていたこともありました。
カニステルの食べ方
カニステルは完熟しないと美味しくないので、食べ頃を見極めるのがポイントです。工夫次第でいろんな食べ方ができますよ。
選び方
表皮に傷の入っていない果実を選ぶようにしましょう。傷があると、食べ頃になるまでに痛みが進行してしまいます。
食べるタイミング
完熟していないカニステルは、甘みがないだけでなく渋みが残っています。そのため、収穫後の追熟が必要です。黄色く艶のある果実の艶が消えて、色や柔らかさが変わって完熟するまでには日数が必要です。
完熟のタイミングは色やかたさの変化
果皮の色が黄色から濃いオレンジ色に変わって柔らかくなったときが、完熟のタイミングです。その後、黒っぽいシミがまだらに付いて果皮が弾けます。
追熟を早めるには塩を使う
カニステルは常温で食べ頃になるまで待つのが一番ですが、追熟を早めることもできます。少々の水で湿らせた塩をヘタのまわりにのせておくと、数日で熟して食べられるようになります。
食べ方
カニステルの食べ方①そのまま食べる
カニステルを半分に切って種を取り除いたら、そのままスプーンですくって楽しむこともできます。ただし、完熟してないと柔らかくないので、果皮の色が茶色っぽく濃くなっているものを購入するか、黄色い果実は室温で追熟させるようにしましょう。
カニステルの食べ方②サラダなどのトッピング
沖縄でも定番といわれているカニステルの食べ方は、野菜のようにサラダにする方法です。蒸したサツマイモのような使い方ができ、カニステルの自然な甘みがアクセントになります。シンプルに塩コショウやレモン汁、マヨネーズをかけて食べてもおいしいですよ。
カニステルの食べ方③食感が楽しいスープ
カニステルをポタージュにすると、卵の黄身のような独特の食感を楽しめます。皮を剥いたカニステルを適度なサイズにカットして、水と一緒に火にかけて崩れてきた塊を潰しましょう。牛乳・タマネギ・コンソメを入れて、塩コショウで味を整えます。
カニステルの食べ方④焼き菓子にする
カニステルの甘みやねっとりしてホクホクした食感をいかして、お菓子作りをするのもおすすめです。スイートポテトのサツマイモの代わりにカニステルを使ったり、きれいな黄色を活かしてタルトやパイを作ったりするのもいいですね。
カニステルの食べ方⑤なめらかプリン
かぼちゃプリンのように、カニステルでプリンを作るのもおすすめです。まろやかな味わいが口の中に広がります。カボチャのように柔らかくする手間も省けて簡単ですよ。
カニステルの食べ方⑥濃厚なアイスクリーム
カニステルの果肉を潰して練乳と混ぜ合わせ、牛乳やヨーグルト、生クリームなどでのばします。冷凍庫で数時間冷やすと、あっという間に濃厚カニステルのアイスクリームの完成です。
カニステルの栽培方法
カニステルは栽培方法も難しくなく、ある程度の耐寒性もあるので、自分で栽培して収穫するのもおすすめです。種から育てると、早くて3年目には果実が収穫できますよ。接ぎ木で育てると、種から育てるより1年ほど早く果実が実ります。
カニステルの育て方①苗の植え替え
種から育てている場合も、苗を入手した場合も、すぐに定植しないことをおすすめします。50cmほどの大きさになるまで半年~8か月は室内で育てましょう。
カニステルの育て方②用土・種まき
カニステルは痩せた土地でも育ち、土を選びません。腐葉土など一般的な水はけのよい土で育てましょう。種は果実から取り出してから数日のうちに植えるようにします。外側の殻を除いて植えると、3週間以内に発芽します。
土壌によって実のなり方が違う
痩せた土壌で育ったカニステルは、小さなサイズの果実が多く実ります。反対に肥沃な土壌で育つと、大きなサイズの果実が少なめに実ります。
カニステルの育て方③水やり
カニステルは比較的乾燥に強い植物です。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れるまでたっぷりと水やりしてください。冬のあいだは水やりの回数を控えめにします。
カニステルの育て方④日照
カニステルは日光を好みますが、若木の場合は直射日光を避けて半日陰の明るい場所で育てましょう。
カニステルの育て方⑤肥料
カニステルは肥料なしでもしっかりと育ちます。生育の様子を見ながら、必要であれば有機肥料を10月に施しましょう。
カニステルの育て方⑥開花・結実
基本的には年に2回、春と夏に花が咲きます。果実は日照時間などの生育環境によって、年に1回または2回実ります。
カニステルの育て方⑦病気・害虫
病気や害虫による大きな被害はあまりありません。カイガラムシがついた場合の駆除には、薬剤散布・捕殺・剪定などの方法が有効です。
まとめ
カニステルは、沖縄でも栽培されているユニークな果物です。食べ頃を見極めて、いろんな食べ方を楽しみましょう。栽培もしやすいので、食べた後の種を植えて育ててみるのもいいですね。
出典:写真AC