梨とは
秋になると青果店やスーパーに並ぶ梨は、みずみずしく、甘くて美味しい果物です。生食だけでなく、ケーキやタルトなどさまざまな食べ方で楽しめます。育て方のコツさえつかめば、庭植えでも鉢植えでも育てられます。特に、自分で育ててこそ食べられる完熟した梨は絶品ですよ。
基本情報
科・属 | バラ科ナシ属 |
原産地 | 中国 |
耐寒性 | あり |
樹高 | 中高木 |
形態 | 落葉樹 |
梨の原産地は古代中国といわれ、西に伝わったものが西洋梨、中国に留まったものがチュウゴクナシ、東に渡ったものが二ホンナシになったとされています。日本では、弥生時代から食べられていた、なじみ深い果物です。また一説には、二ホンナシはもともと日本にあった梨の原種が品種改良されたものともいわれていますが、定かではありません。
季節ごとの梨の木の栽培作業
春 | 摘蕾 花摘み 肥料 |
夏 | 摘果 袋掛け 早生種収穫 |
秋 | 中生種・晩生種収穫 肥料 |
冬 | 剪定 肥料 植え付け・植え替え |
梨は四季を通して管理しなくてはなりません。特に美味しい梨をつくるには、摘蕾や花摘み、摘果などで1本の木になる実の量を調整する必要があります。また、病気や害虫予防のために、袋をかけるのも大切な作業です。
梨の木の一生
1年目 | 植え付け |
2~3年目 | 少しずつ実を付け始める |
9~10年 | 梨の実をつけるピーク時期 |
15年 | 梨の寿命 実をつけられなくなってくる |
家庭で梨を育てる場合、15年前後で実をつけなくなってきます。しかし、野生の梨は50年以上の寿命のものも少なくありません。また、栽培されている梨であっても、うまく管理すると80~90年たってもおいしい梨の実をたくさん実らせてくれる木もあります。梨の寿命を延ばすには、愛情持って、適切な管理をすることが大切です。
梨の木の育て方
梨を家庭で育てる場合は、庭植えでも鉢植えでも管理できます。暑さにも寒さにも強い果樹で、栽培環境を選ばず、日本のどこでも育てられます。品種によってはかなりの寒さも耐えられるため、越冬のための対策も特に必要ありません。
育て方①栽培環境
梨を庭植えにする場合は、できるだけ日当たりと風通しのよい場所を選びましょう。日当たりが悪いと、健やかに成長できません。鉢植えの場合も同様に、年間を通して日当たりのよい場所に置きましょう。ただし、強風には弱いため、強く風が当たる場所は避けてください。
育て方②植え付け・植え替え
梨の植え付けや植え替え時期は、冬から春にかけてです。厳冬期は木が弱るため植え付けは避けて、ほどよく晴れた日を選びましょう。また春になって新芽が出てくるまでには、植え付けや植え替えを終わらせておきます。新芽が出てから植え付けや植え替えをすると、木が弱る・芽がうまく育たないなどのトラブルが起こる可能性があります。鉢植えで植え替える場合には、一回り大きい鉢を用意しましょう。
植えるときに混ぜるもの
庭植えの場合は、元肥を入れて先になじませておきます。腐葉土と有機肥料、緩やかに効くタイプの化成肥料を混ぜておきましょう。鉢植えの場合は、使い勝手のよい固形タイプの有機肥料を元肥として使うのがおすすめです。
育て方③用土
梨は、水持ちと水はけがよい土を好みます。庭植えにする場合は、水持ちと水はけをよくするために、元肥と一緒に腐葉土やピートモスなどを混ぜるのがおすすめです。また、鉢植えの場合は手軽な市販の果樹専用の培養土を使うとよいでしょう。自分で土をブレンドする場合には、赤玉土6:腐葉土4程度の割合で混ぜてください。
育て方④水やり
庭植えで梨を育てる場合、水やりは必要ありません。自然に降る雨で十分大きく育ちます。ただし、真夏にあまりに日照りが続く場合は、水切れになる前に水やりをしましょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら、鉢底からたっぷり水が出るくらいに水やりをします。しかし、水が多いと根腐れの危険があるため、湿っている状態で水を与え続けるのはやめておきましょう。
育て方⑤肥料
梨に肥料を与えるのは、2月、5月、10月です。庭植えの場合は、できるだけ栄養分の高い有機肥料を与えましょう。鉢植えの場合は、有機肥料を与えるとコバエや害虫が寄ってくる危険があるため、速効性のある化成肥料がおすすめです。肥料は木の成長に欠かせないため、忘れずに与えましょう。
育て方⑥袋掛け
梨の実が膨らみ始める6月上旬ごろに、袋掛けをしましょう。袋を掛けなくても大きく育ちますが、害虫や病気が発生する確率が高くなります。特に害虫予防には、袋を掛けるのが効果的です。さっとかけて袋の口を閉じるだけのため、家庭で栽培する1本や2本であれば、それほど手間はかかりません。袋は園芸店やホームセンターなどで販売されています。
育て方⑥収穫
梨の収穫時期は、品種によって異なります。晩生種で遅くに収穫する梨は、雪が降る前にはすべて収穫を終えておきましょう。袋をかけた梨は、収穫するまで袋をはぐ必要はありません。袋ごともぎ取ります。軸の付け根の部分に指をあて、軽く上を向かせると、簡単に収穫できます。