ハスカップとは?
ハスカップとはブルーベリーのような青紫色の実をつける果物です。北海道の苫小牧が主な産地で、栄養が豊富なため昔から「不老長寿の実」として知られています。そこで、ハスカップとはどのような果物か、その特徴や栄養と効能と合わせて、気になる味やジャムを使ったおすすめの食べ方について解説します。
基本情報
学名 | Lonicera caerulea var.emphyllocalyx |
科名 | スイカズラ科 |
属名 | スイカズラ属 |
和名 | クロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽) |
分布 | 北海道、本州の標高の高い地域、シベリア |
樹高 | 約1~2m |
食べごろ | 6月下旬~8月中旬 |
産地
ハスカップは、シベリア地域を往来する渡り鳥の糞によって種子が運ばれ、北海道に根付いたと考えられています。北海道内では、苫小牧を中心にした勇払原野、大雪山や知床が代表的な産地です。
名前の由来
ハスカップの名前は「枝の上にたくさんなるもの」という意味をもつアイヌ語「ハシカプ」から付けられています。また、他にも苫小牧市では「細長い実」という意味をもつ「ユノミ」という愛称で呼ばれることもあります。
ハスカップの特徴
「ハスカップ」と聞いて、すぐに花や果実を思い浮かべることができる方は少ないのではないでしょうか。それは、生の果実の流通が一部の地域に限定されており、北海道以外では見かけないためです。なぜ生の果実の流通が限定されているのか、ハスカップの特徴から解説します。
厳しい生育条件
ハスカップは寒冷地向きの果樹のため、冬の期間は-20℃以下、夏の期間は30℃以下の環境で育てることが生育の条件になります。このため北海道のような厳しい寒さの中で育てる必要があります。また、生育には地質も大きく関係しており、枯れた植物など有機質が堆積した湿地が向いています。
クリーム色の花
ハスカップの剪定は冬~春に行われます。春になると新しく伸びた枝にクリーム色の花が咲き始め、少しずつ花から黄緑色の実が実ります。このクリーム色の花は2つずつ組みになって咲く珍しい特徴があり、2つの花から1つの実がなります。並んで咲く姿がかわいいですね。
果実
青紫色の果実
6月下旬ごろに黄緑色の実をつけます。徐々に黄緑色からブルーベリーによく似た青紫色の果実に変化していきます。ブルーベリーが約1cmの丸い形に対し、ハスカップは約1.5cmの楕円形をしています。ハスカップのほうが少し大きいサイズと覚えましょう。また、果実の表面には白い粉のような「果紛」がついています。
ボタニ子
「果粉」は自然のワックスのようなものだよ!
ボタ爺
水をはじいたり、病原菌の侵入を防いでくれるんじゃ。
手作業で収穫する
皮が薄く傷つきやすい果実のため、手作業で一つ一つ収穫します。水分を多く含み、採ってから置いたままにするとすぐ潰れてしまい、扱いが難しいともいわれています。長期保存や機械を使った作業ができないことが生の果実の流通を難しくさせている理由です。
生の果実の流通が難しい理由
- 生育条件が厳しく寒冷地でしか栽培できない
- 皮が薄く実が潰れやすい
- 水分が抜けるため長期保存ができない
- 傷つきやすいため機械作業ができない
ハスカップはどんな味?
ハスカップの果実は「不老長寿の実」と呼ばれるほど栄養が豊富に含まれています。近年ブルーベリーよりも美と健康に効果があるといわれ注目されるようになりました。そこで、ハスカップの栄養と効能、気になる味について解説します。
味
ハスカップの果実は、ブルーベリーよりも強い酸味があります。一粒食べると口いっぱいに酸味と苦味がひろがり、思わず「酸っぱい」といってしまうほどです。しかし、この酸味がハスカップの大切な栄養素になっています。近年は品種改良によって、甘みのある品種も栽培され食べやすくなってきました。
栄養成分
ハスカップに含まれる主な栄養成分
- ポリフェノール
- 鉄分
- カルシウム
- ビタミンC
- ビタミンE
ハスカップの効能
効能①眼病予防
ブルーベリーには、ポリフェノールの一種「アントシアニン」が多く含まれているため眼病予防と眼精疲労に大きな効果があります。視力の低下を防ぎ、緑内障や白内障の予防など目の健康を守る働きをしてくれます。
ボタニ子
アントシアニンがブルーベリーの10倍も含まれているそうだよ!
効能②貧血予防
鉄分も豊富に含まれているため、貧血予防になります。鉄分が不足すると貧血をおこしたり、全身に酸素が行き渡らないため疲れやすくなったりしますね。鉄分が不足しがちな女性や成長期の子供は積極的に摂りたい栄養成分です。
効能③骨粗しょう症予防
カルシウムは骨や歯を丈夫にする栄養素です。骨や歯が育つ成長期の子供や、年齢と共に骨が痩せてくる女性は積極的に摂る必要があります。ハスカップの果実と乳製品を一緒に食べると、骨粗しょう症による骨折予防にも効果があります。
効能④生活習慣病予防
ハスカップが「不老長寿の実」と呼ばれるのは、抗酸化作用が高いビタミンEと、その働きを助けるビタミンCが多いためです。ビタミンEは身体の酸化を防ぎ、がんや生活習慣病になるのを防いでくれます。また、ビタミンCには美肌効果も期待できます。
ハスカップの食べ方
ハスカップは、皮が薄く潰れやすい果実のため、収穫された後は加工されて流通することが多いです。北海道では甘みを加えたジャムや、ワインなど飲料が出回っていますね。ハスカップをぜひ食べてみたい方に購入方法とおいしい食べ方をご紹介します。
ハスカップの購入方法
ハスカップは生の果実が流通していません。収穫の時期になると、生産地のスーパーなどではパックで売られることがあるそうですが、本州から買いに出かけるのは難しいですね。ハスカップを食べるためには下記の3つの方法がおすすめです。
- 収穫時期に農園の「ハスカップ狩り」にでかける
- 冷凍ハスカップをネットショップで購入する
- ジャムや飲料に加工されたものを、ネットショップか土産屋で購入する
おいしい食べ方
ジャムを挟んで食べる
ハスカップジャムを購入し、ロールケーキやクッキーに挟んで焼くと絶品スイーツになります。甘酸っぱい味が子供達に人気ですよ。ジャムを焼きたてのパンに乗せたり、ヨーグルトに混ぜて食べることもできます。冷凍ハスカップに砂糖を加えて煮ると、自分好みのジャムを作ることが可能です。
ワインを飲む
ハスカップの酸味と甘みが凝縮されたワインはフルーティーで飲みやすいです。ネットショップか新千歳空港の土産店で購入できます。北海道限定の爽やかな味はお土産にもぴったりですね。
シャーベットにして食べる
冷凍ハスカップをシャーベットやスムージーにして食べると爽やかな味を楽しむことができます。冷凍することで酸味がやわらぎ食べやすくなりますね。暑い夏におすすめの食べ方です。
まとめ
「不老長寿の実」と呼ばれるハスカップはブルーベリーに似た果実です。ポリフェノールや鉄分などが豊富に含まれていて積極的に食べたい果実ですが、皮が薄いため傷つきやすく生のままでは流通が難しい果実でもあります。ジャムや飲料に加工することで長期保存が可能になるため、毎日少しずつ食べて健康を維持できるようにしたいですね。
出典:写真AC