ヘリコニアとは?
ヘリコニアは赤や黄、オレンジなどの鮮やかで鋭い形が特徴の南国風の花です。個性的な南国風の雰囲気で、アレンジメントや鉢植えのギフト、インテリア用の観葉植物にも使われます。ヘリコニアについて詳しく見ていきましょう。
ヘリコニアの基本情報
ヘリコニアはショウガ目オウムバナ科オウムバナ属です。熱帯アメリカや南太平洋諸島原産で、100種類以上が分布しています。花が咲いた後も枯れない多年草の植物です。気温が高い地域の植物ですので、暑さや日陰には比較的強いですが、寒さには弱いです。
ヘリコニアの特徴
ヘリコニアは、ギリシャ神話に出てくる女神、ムーサの住まいがあるギリシア南方地域のヘリコン山にちなんで付けられました。特徴のある花の連なり方をヘリコン山に見立てたと伝えられています。他にどのような特徴があるのでしょうか。
特徴①オウムのくちばしのような花苞(かほう)
オウムのくちばしのような特徴のある形の花に見えますが、実際には花ではなく苞です。花苞は花の周りを包んでいるもので、その部分が鮮やかで目を引くために花と間違えられやすいのでしょう。
ロブスターに例えられることも
ヘリコニアの花苞はロブスターに例えられることもあります。大きな花苞のふたまたに分かれた形がロブスターの爪の部分に似ているからです。赤い色をしているとよりロブスターに見えますね。
花はどこ?
ヘリコニアの花はどこにあるのかと疑問に感じる方もいるかもしれません。花苞の中にある小さな細い芯のような形をしたものが花です。鮮やかで大きな苞に比べると、非常に地味ですね。
特徴②茎に見える部分は葉
地上に出ている茎のような部分は長さのある葉で、偽茎(ぎけい)です。長い葉を交互に出して、筒のように重なり合い、ヘリコニア全体を支えています。実際の茎は根茎(こんけい)といわれ、地中にあることが多いです。茎に見える部分は直立するタイプと垂れ下がるタイプがあります。
特徴③サイズは色々
出回っているサイズはフラワーアレンジメントや生け花、ドライフラワーに利用できる50cmくらいの長さから、鉢植えでインテリアにできる1mくらいまで様々です。最大で7mくらいにまで成長する場合もあるといわれています。
ヘリコニアの花言葉
ヘリコニアには、「風変わりな人」や「不寛容」という眉をひそめられそうな花言葉があります。独特な花苞の形からつけられたのでしょう。ただし、人目を引くという点では、「注目」や「脚光」という良い内容の花言葉もつけられています。
ギフトにするなら
ヘリコニアは10月31日・11月28日・12月2日などの誕生花です。仲の良い方の誕生日にあたるなら、ヘリコニアをギフトに贈るとよいですね。注目や脚光という花言葉から、独立して新しい事業を立ち上げた方に開店や開業祝いのギフトとしてプレゼントするのも素敵です。
ヘリコニアの育て方と管理のコツ
ヘリコニアをアレンジメントではなく鉢植えで楽しみたい場合、どのような育て方をしたらよいのでしょうか。好む環境や管理の仕方を考えてみましょう。
好む環境
気温が高い地域原産のヘリコニアは、日差しが強く暑い環境が好きなイメージがあります。確かに15℃以下の寒い環境は苦手で、冬の時期は室内のほうがおすすめです。しかし、夏の暑さには強くても強い日差しには弱く、屋外で育てるなら遮光ネットを掛けたり、真夏は日陰の場所に移動させたりしたほうがよいでしょう。
室内での育て方
日陰にも耐えられますが、日光が当たったほうがしっかりした丈夫なヘリコニアになります。おすすめは日が差す窓辺です。レースなどの薄い生地のカーテン越しに置いて世話をするとよいでしょう。ただし、エアコンの風で傷むので、吹出口には置かないようにしてください。
温度管理
寒さに弱く10℃以下になると枯れてしまうことがあります。寒い冬場の期間は、できるだけ暖かい室内に置き、戸外に出さないほうがよいでしょう。
水やり
- 春から秋(気温が15℃以上)…土の表面が乾燥していたら十分に水やりをしましょう。
- 冬(気温が15℃以下)…土の表面が完全に乾ききってから2日後くらいに水やりをします。水やりを減らして強い乾燥状態を保つことで、冬を越しやすくなるでしょう。
土・肥料
ヘリコニアを育てる土は、水はけのよい赤玉土や川砂を多めにして、通気性のよい腐葉土を少し混ぜるのがおすすめです。肥料は特に入れる必要はありません。しかし、春から秋の時期に成長を早めたい場合は液体の化成肥料を入れるとよいでしょう。冬は成長しにくいので、肥料はいりません。
植え替え
植え替えをしないと、根が成長して植木鉢の中に詰まってしまいます。初夏の5月~6月に植え替えし、おおよその目安で2~3年に1回程度、ひとまわり大きい鉢に植え替えしましょう。
増やし方
ヘリコニアの増やし方は、ひとつの株をいくつかに分けて鉢に植える方法でできます。植え替えをして鉢に入りきらない場合、株を分けて他の鉢に植えましょう。作業時期は植え替えと同様に5月~6月が最適です。増やし方がうまくいくコツは、株を分けた1週間後までは遮光ネットなどで日光を遮って半日陰で管理するとよいでしょう。
剪定
剪定は、ヘリコニアの古い葉を生花用のハサミでカットします。剪定をすると通気性が良くなり、元気に育ちます。夏から秋頃の成長期の後半の時期に剪定するとよいでしょう。
害虫
ヘリコニアにつく害虫はハダニ・アブラムシ・カイガラムシ・ナメクジ・ダンゴムシ・バッタです。室内に置いておくと、ナメクジやダンゴムシなどの害虫はある程度防げるでしょう。戸外では防虫ネットがあるとバッタからはある程度守れます。
葉水で害虫予防
ハダニやアブラムシなどの害虫は霧吹きで葉水をやることで、ある程度予防できます。葉が乾燥するのを防ぐ効果もあるので、1日に1回は葉水で湿らせるようにするとよいでしょう。
土で害虫予防
ヘリコニアには水はけの良い土が欠かせません。特に表面を赤玉土のようにミネラルが入った無機質な土で覆うことにより、コバエを発生させないように対処できます。コバエの発生で困るようなら試してみるとよいでしょう。
葉のお手入れ方法
室内でヘリコニアを育てていると、葉にホコリが溜まってしまうこともあります。葉水をやった後にティッシュなどで軽く拭うと汚れが取れますよ。時々モップで払うようにすると、綺麗になります。
ヘリコニアの種類
ヘリコニアの種類は、鳥を媒介にして受粉することから交雑が進んでいるものもあります。種類が多いので全部は紹介しきれません。代表的なヘリコニアを見ていきましょう。
種類①ヘリコニア・ロストラータ
ヘリコニア・ロストラータは、コロンビアやペルーなどの熱帯雨林地域原産です。長さは3~7mと非常に大きくなります。ヘリコニア・ロストラータの花苞は赤く、先の部分が緑色で派手で目立つ配色が特徴です。ヘリコニアの中でも代表的な形で、偽茎が垂れ下がり左右に10~15個くらいの花苞をつけています。
種類②ヘリコニア・プシッタコルム
ヘリコニア・プシッタコルムは、西インド諸島や南米原産の花です。オレンジ色でロブスターのハサミのような形をした小型の種類のヘリコニアです。長さは1mほどで、切り花やアレンジメントでも使われています。
種類③ヘリコニア・ワグネリアナ
南米原産のヘリコニア・ワグネリアナは、川などに近い水辺に生息しています。オレンジがかった黄色の花苞が特徴で、大輪種の花苞は直径20cmを超える場合もあります。「地上で最も美しい花」とも呼ばれています。
まとめ:自宅で楽しめるヘリコニア
ヘリコニアは切り花であれば7~10日は日持ちがします。寒い場所を避けてカーテン越しに日が当たるリビングに置いて楽しみましょう。鉢植えの場合は、極端に暑い時期や寒い時期は戸外に出さずに室内のインテリアとして育ててあげるのがおすすめです。南国風のトロピカルな雰囲気でゆったりした空間を演出できますよ。
出典:写真AC