ユーカリとは
ユーカリとはオーストラリアなどに棲息する植物です。アロマオイルや観葉植物として楽しまれることもあります。挿し木で増やせないため種からの栽培となりますが、ユーカリの種は森林火災などの刺激がないと発芽しない、火とともに生きる植物です。森林火災にあってユーカリの葉や枝や木の表面が燃えても、芯が生きていて2~3週間後には芽吹きます。
ユーカリの基本情報
学名 | eucalytus |
科属 | フトモモ科ユーカリノキ属 |
原産国 | オーストラリア、タスマニア、ニュージーランド |
形態 | 常緑高木 |
高さ | 6m~100m |
成長速度 | 早い |
耐乾性 | 強い |
花 | 白、ピンク、赤 |
花言葉 | 思い出、記憶 |
ユーカリの特徴
ユーカリの花は硬い入れ物に入って蓋がされています。名前の由来はギリシャ語の「eu(よく)」「kalyptus(つつまれている)」からきています。ユーカリの葉は木が幼い頃は卵型です。大樹になると肉厚で鎌のように反り返ります。小油点をもつ葉だけでなく、木全体に樟脳(しょうのう)に似たすっきりとした清涼感のある香りがします。日本には明治時代初期に輸入されました。
ユーカリの種類
ユーカリの種類は850以上です。葉もそれぞれ違い個性的ですので、観葉植物として楽しまれる方もいます。レモンユーカリは強いレモンの香りがします。ツキヌキユーカリの葉は丸い葉の真ん中に串を刺したかのような形に茎がありユニークです。ハートリーフユーカリの葉はその名の通り、ハート型のかわいらしい形をしています。
コアラとは
コアラはオーストラリア東部の熱帯地方や温帯地域の森林やユーカリ林に棲息しています。双前歯目、コアラ科、コアラ属です。カンガルーなどと同じ有袋類で、お腹にある袋で子育てすることから、「コモリグマ」「フクログマ」という別名があります。東部に棲息するコアラよりも南部のものが大型です。早朝や夕暮れに活発になる薄明薄暮性で野生での寿命は13年~18年です。
コアラの生態
普段は縄張り意識がとても強いので単独行動です。特定の巣は作りません。移動は短い距離だとジャンプで木を渡り、長距離になると地面に降りて歩きます。しかし、歩くのはまれで、樹上生活が基本です。1日の睡眠時間は18時間~20時間でほとんどを寝てすごします。繁殖期には雄同士、雄雌で激しく争いますが、人に抱かれるなどの外的ストレスには非常に弱く、病気になることもあります。
コアラの食べ物
コアラの食べ物といえば、ユーカリです。かたくなにユーカリ以外は食べません。パンダのように笹の葉が主食でもリンゴなども食べると動物園での飼育も楽なのですが、850種類以上あるユーカリの中でも可食なのは40種類前後です。しかもよく食べるのは
- ロブスタ
- プンクタータ
- カマルドレンシス
- テレチコルニス
なぜユーカリが好きなのか?
コアラがユーカリ以外を食べないのは、ユーカリを他の動物が食べないからです。ユーカリも他の動物に食べられないようにと毒素を身につけたのですが、コアラは他の動物と争うことなく食事ができるように進化しました。しかし、ユーカリは栄養が少なく消化に非常に時間がかかります。そのため、コアラは体力を温存するために寝る時間が長くなり、食物繊維が固いので便秘がちです。
コアラにユーカリの毒素は効かない?
ユーカリには青酸が含まれています。しかし、コアラにはユーカリの毒素は効きません。コアラは大量の微生物と腸内細菌を保有しているため、また肝臓の解毒酵素が強いために毒素を消化できるのです。さらに嗅覚も優れているので、毒素の多い葉と少ない葉をかぎ分けられます。睡眠時間が長いのも、毒素があり繊維質の多いユーカリを消化するのにエネルギーがいるからです。
離乳食パップ
赤ちゃんコアラは母親の袋の中にある乳首から出る母乳で育ちます。6カ月~7カ月を過ぎるとパップを食べるようになります。このパップを食べることにより、はじめてユーカリの葉を食べることができるようになるのです。母親の特別な排泄物であるパップには、豊富なたんぱく質のほかに母親の体内にいる微生物が含まれています。この離乳食のおかげで体内に微生物が定着します。
コアラの天敵
コアラの天敵は、フクロウやワシ、ニシキヘビやオオトカゲです。これらはもともとオーストラリアにいた生物ですが、深刻な天敵は飼いイヌやキツネ、大型のネコなど人間が持ち込んだ動物です。ディンゴももとは野生化した飼いイヌなので、やはり人間が関わっています。ユーカリ以外は食べないコアラが、他の木へ食べ物を求めて移動中に襲われることが多いです。
まとめ
有毒のユーカリを主食としているコアラの生態や毒性への対処法、天敵などについて解説いたしました。縄張り意識の強いコアラですが、繁殖後はカップルで一緒にいたり、親子で同じユーカリを食べたりする姿が見られます。食べるユーカリの種類もその日の気分によって変わるので飼育するのは大変です。そんなグルメなコアラを動物園に見に行くのも楽しいですね。
出典:flickr