ギンバイ(銀梅花)ってどんな植物?
ギンバイカ(銀梅花)は、常緑性の低木で、春になるとよい香りがする白い花を咲かせます。さまざまなタイプの庭木に使えるため、日本でも庭木として人気があります。
原産地は地中海沿岸
ギンバイカの原産地は、温暖な気候の地中海沿岸部です。そのため暑さに強いのが、ギンバイカの特徴です。ただし寒さにはあまり強くないので、豪雪地帯や冬の気温が10℃以下になる地域での栽培には適していません。
愛と美と性の女神を象徴する花
ギンバイカの花は、古くから愛と美と性の女神の象徴です。しかも世界各国の女神たちの象徴とされているため、名前を挙げるだけでも古代ギリシャの女神アフロディーテ、古代ローマの女神ウェヌス、シュメールのイナンテなどがあります。
ギンバイカの別名
ギンバイカは別名が多い植物です。属性がギンバイカ属Myrtusなので、「ミルタス」または「ミルトス」として園芸店で販売されることも多いです。なおドイツ語では「ミルテ」、英語では「マートル」とも呼ばれています。
ギンバイカは和名も多い
別名が多いギンバイカですが、ギンバイカを表す和名はミルタス、ミルトス、ミルテ、マートルとは別にあります。ギンバイカを漢字表記にすると「銀梅花」ですが、同じ読み方で「銀盃花」とも書きます。さらに銀香花(ギンコウバイ)もギンバイカの和名です。
「祝いの木」という別名もある
古代ギリシャでは、ギンバイカの花は愛を司る女神に捧げる花とされていました。その名残から今でも地中海沿岸部やヨーロッパ圏では、花嫁の髪飾りにギンバイカが使わています。なおイギリスでは花嫁のブーケに一枝のギンバイカを加えるのが、伝統的なロイヤルウェディングのスタイルです。
名曲のモデルにもなった
ドイツを代表する作曲家のロベルト・シューマンは、ギンバイカの花をモデルにした「ミルテの花」を作曲しています。ミルテの花はゲーテやハイネなどとともに制作した連作歌曲ですが、ゲーテは「最愛の花嫁」というテーマでミルテの花を作曲しました。
実も食べられる
ギンバイカは、ブルーベリーのように粒の小さな黒褐色の実をつけます。ただし生の状態では苦みが強いので、フレッシュな状態で実を食べることはあまりありません。
リキュールにするのが一般的
生食だと苦みが気になるギンバイカの実なので、原産地の地中海沿岸やヨーロッパではリキュールにして楽しむのが一般的です。黒褐色の実からは想像がしにくいのですが、3か月ほど漬けると琥珀色に変色するため、見た目にも楽しめるリキュールになります。
ギンバイカの3つの特徴
愛と美と性の女神に捧げる花として大切にされてきたギンバイカですが、結婚式の装飾用として使われる以外に庭木として利用されることが多いです。その理由には、ギンバイカの3つの特徴が関係します。
特徴①庭木に適している
日当たりのよい場所を好むギンバイカは、生育が早く丈夫な常緑樹なので、庭木として扱いやすい特徴があります。しかも花だけでなく葉も繊細な美しさがあるので、グリーンガーデンにも適しています。
オールラウンドに使える庭木素材
明るい緑の葉と美しい花が魅力のギンバイカは、庭のジャンルを問わずオールラウンドに使うことができる庭木です。そのため趣(おもむき)のある日本家屋との相性もよいですし、葉の美しさを生かしたシェードガーデンの素材にも適しています。
花を楽しむなら剪定のタイミングが重要
ギンバイカを栽培するポイントは、剪定のタイミングを間違えないことです。剪定のタイミングは花の見ごろが終わった時期で、この時期以外で剪定をすると翌年に花が咲かない場合があります。
特徴②生垣としても人気
日当たりと風通しのよい場所を好むギンバイカは、生垣の素材にも適しています。寒さに弱いため寒冷地の生垣には適していませんが、日本でも温暖な地域では地植えが可能なので、ギンバイカを生垣にして楽しむことができます。
ディズニーランドホテルの生垣にも使われている
洋風ガーデンの庭木としても人気のギンバイカは、世界中で人気のディズニーランドでも栽培されています。なかでもディズニーランドのホテルでは「ギンバイカをアレンジした美しい生垣がみられる」とファンの間で人気があります。
特徴③病害虫に強い
害病中にも強いことも、ギンバイカの特徴です。そのためほとんど手入れをしなくても、生育環境さえ整っていれば、数年もたたないうちに3mの高さまで成長します。
ボタニ子
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