忘れな草(ワスレナグサ)とは
忘れな草(ワスレナグサ)は世界中の温帯を原産地とするムラサキ科の植物です。米粒ほどのサイズの小さな花を無数に咲かせる姿は控えめながら印象的で、とても人気があります。青や白、ピンクなどカラーバリエーションが豊富で、こぼれ種でどんどん増えていく丈夫さも魅力です。姫紫(ヒメムラサキ)、瑠璃草(ルリソウ)などの別名でも呼ばれています。
名前 | 忘れな草、勿忘草(ワスレナグサ) |
別名 | Vergiss-mein-nicht(ドイツ語) Forget-me-not(英語) |
園芸分類、形態 | 草花、一年草 |
原産地 | 世界中の温帯 |
開花の時期 | 3月~6月 |
花の色 | 青、紫、白、ピンクなど |
暑さ / 寒さ | 弱い / 普通 |
忘れな草の種類
忘れな草といえば透きとおるような青色が一般的ですが、そのほかにも紫や白、ピンク色などの花色があります。つぼみのうちはピンク色で、咲き進むにつれて青色に変わっていくものもありますよ。人気の高い植物であることから園芸品種も多数開発されているので、見比べてみるのも楽しいですね。ここからは、代表的な品種をいくつかご紹介します。
エゾムラサキ
ワスレナグサ属の植物の中で唯一、日本を原産としているのがこのエゾムラサキ(Myosotis sylvatica:ミオソティス・シルバチカ)です。花は6mm~9mmとやや大きめで、花びらの切れこみが深いことが特徴です。日当たりのよい林の中や道ばたでよく見かけます。中心部の黄色とのコントラストが華やかな印象を与えますね。
ノハラワスレナグサ
淡い青色や紫色の花色で、一般的にワスレナグサというときはこのノハラワスレナグサを指すことが多いです。日本では品種改良された園芸品種として流通しています。学名は「Myosotis alpestris(ミオソティス・アルペストリス)」です。エゾムラサキと異なり、中心部が白色をしていることが特徴です。
シンワスレナグサ
もともとは観賞用として日本に入ってきたシンワスレナグサですが、花の色がややシックで薄めなので、現在ではあまり観賞用としては使われていません。野生化したり、在来種と交雑したりして全国に分布が広がっています。この品種こそが真の忘れな草であるとされていることが、シンワスレナグサという名前の由来です。
ノハラムラサキ
もともとは外来種だったものが野生化して、現在ではあぜ道や野原でも自生しているのが見られます。名前にあるとおり、山や水辺よりも平地を好んで咲く種類です。つぼみはピンク色、開花した花は青色をしているので、時期によって異なる花色を楽しめます。
忘れな草の花言葉
忘れな草の花言葉でもっとも有名なのは、もちろん「私を忘れないで」です。そのほかにも「真実の愛」「本当の友情」「思い出」といったものがあります。恋愛はもちろん、友情に関係した言葉もあるのが特徴的ですね。花言葉や花名の由来については、以下のようなふたつのエピソードが残されています。
エピソード①ドナウ川の伝説
ドイツに伝わる伝説です。ある日、騎士ルドルフとその恋人のベルタは、ドナウ川のほとりを散歩していました。川辺に咲くかわいらしい花を見つけたルドルフは、ベルタにその花をプレゼントしようと考えます。しかし花を摘んだ拍子に足を滑らせ、溺れて命を落としてしまうのです。ベルタは彼を忘れないようにと、生涯彼が摘んでくれた花(忘れな草)を髪に飾りました。ルドルフが最後に言った「Vergiss-mein-nicht(僕を忘れないで)」が、そのまま花の名前にもなりました。
エピソード②アダムがつけた名前
もうひとつのエピソードは、『旧約聖書』にまつわるものです。エデンで暮らすアダムは、楽園に咲いている花のひとつひとつに名前をつけていました。すべての花に名前をつけたと安心したとき、足元からかぼそい声が聞こえてきます。「あのう、アダム様。私はどのような名前をいただけるのでしょう?」アダムが足元を見ると、そこには小さくて可憐な花が遠慮がちに咲いていました。アダムは見落としていたことを花に謝り、二度と忘れないようにとワスレナグサと名付けたということです。
ボタニ子
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