樹形で異なる!サルスベリの剪定方法
サルスベリの剪定の仕方は、樹形によっても異なります。瘤(こぶ)仕立て(にぎり仕立て)は落葉期に新梢をすべて切り戻す剪定方法で、毎年同じ場所で切っていると幹が瘤状になるのが特徴です。瘤を作らず、サルスベリのうねるような幹となめらかな肌を生かした、自然樹形に仕立てる剪定方法も人気があります。
瘤仕立ての剪定
瘤仕立て(にぎり仕立て)ではその年の春に伸びた枝を切ります。すると太い枝を残して毎年同じ場所で剪定することになり、枝先が大きくふくらんで瘤になるのです。瘤の部分からは毎年細い枝が10~20本出て花が密生して開花します。この剪定の仕方だと簡単に一定の樹形を維持することができ、限られたスペースで育てている場合にも管理しやすいです。
この瘤が「サルスベリらしく味わい深い」と好む人もありますし、「大きな瘤は見苦しい」と嫌う人もあります。瘤が大きくなり過ぎて取り除きたい場合は、何年かに一度冬剪定の際に、図解のように瘤より下で切るのがおすすめです。その場合は大きな切り口から水分や養分が抜けたり、雑菌が入ったりする可能性があります。そこで切り口に癒合剤(ゆごうざい)を塗って保護してあげましょう。
自然樹形に仕立てる剪定
サルスベリの自然樹形は柔らかな印象で、曲がった幹の姿や滑らかな肌など、サルスベリならではの特徴を楽しむことができます。しかし大きく育てられる環境がないと難しいことが欠点です。自然樹形の剪定の仕方は、新しく伸びた枝を15~20cm残して切るのが基本です。毎年剪定場所がずれるので瘤ができません。弱剪定となるので花房は小さめになります。
それ以外の剪定の仕方は、基本的には冬剪定と同様です。際限なく伸びないように、時には太い枝を切って大きさを制限します。迷ったら切らずに翌年まで保留することや、場合によっては切る部分を補う枝を育ててから切ることも必要です。瘤仕立ての方法より難しい気がするかもしれませんが、剪定すると新しい枝が出てくる性質があるのであまり心配いりません。
剪定したサルスベリの枝の利用方法
サルスベリを剪定した枝は、薪ストーブをお持ちであれば乾燥させて薪として使う方法があります。サルスベリの薪は高温を保って長めに燃えるそうです。その他には何か利用の仕方があるでしょうか。
挿し木に利用する
サルスベリの挿し木は、3月頃の休眠期と7~8月が適期です。どちらの時期も剪定時期と重なっているので、剪定した枝で挿し木をすると無駄なく増やすことができます。3月の挿し木では発根が遅く、防寒対策が必要なので、7~8月に挿し木を行うのが一般的です。
挿し木は乾燥しないよう水やりを
挿し木の方法は春も夏も、新しく伸びて緑から茶色に変色し固まった枝から、20cm程度の挿し穂を採取します。地温は20~25℃が最適です。挿し穂はしっかり水上げした後、小粒の赤玉土などに挿し木します。挿し木は明るい日陰で乾燥しないように、こまめに水やりしながら管理しましょう。発根したら、根腐れ防止のため水やりを少し控えめにします。
材を手工芸に利用
サルスベリの材は硬く緻密で、曲がりくねった幹に趣があります。瘤の様子も大変興味深いです。もともと幹がなめらかなので、木材用のワックスで少し磨いただけで艶が出ます。手工芸に利用したり、オブジェとして飾ったりするのもおすすめです。虫食いの穴があれば多肉植物を植えるなど、自由な発想で利用するのも面白いかもしれません。
ボタ爺
ふむふむ、サルスベリの剪定の仕方はわかったが、育て方や特徴も知っておきたいのう。滑らかな幹はサルスベリの特徴じゃが、最初からすべすべしているわけではないのじゃぞ。
ボタニ子
次ページからはサルスベリの基本情報を紹介します!
出典:筆者撮影